マダニから感染する猫のSFTSとは?感染経路や症状、予防法を解説

この記事では、猫のSFTSについて、感染経路や症状、治療法、予防法などを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • SFTSはマダニに噛まれることで感染する
  • 猫の主な症状は「元気がなくなる」「食欲が減る」など
  • SFTSによる猫の死亡率は約60%
  • 猫のSFTSに対する有効な治療法はない
  • 感染を防ぐにはマダニ駆除薬を使い、猫を外に出さないこと

最後まで記事を読んで、猫のSFTSについて学んでみましょう。

なお、マダニ駆除薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


最近、SFTSに関するニュースをよく目にしますが、いったいSFTSとは何なのでしょうか?

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、SFTSウイルスによる感染症です。

SFTSウイルスは2011年に中国で初めて発見されて以来、東アジア~東南アジアに広がりました。

日本では、2017年に和歌山県で初めて猫の発症が確認され、それ以降、西日本を中心に発生しています。

2024年には、国内で約200匹の猫が感染したとの報告があり、近年は茨城県や千葉県など、関東圏にも感染が広がりつつあります。

SFTSウイルスはいったい、何が原因となり感染するのでしょうか?

その答えは「マダニ」です。

ウイルスを持ったマダニに噛まれることで、猫はSFTSに感染します。

マダニと聞くと、「うちの猫は屋内飼育だから安全」と感じる方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、完全屋内飼育の猫でも、家の外に逃げ出したり、屋内に侵入したマダニに噛まれたりすることで感染する恐れがあります。

なお、マダニが猫に付着したり、猫を噛んだりしても必ずウイルスが移るわけではなく、感染しても発症しない場合があります。

感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は、約6日~14日といわれています。

猫がSFTSに感染し発症した場合、主に以下のような症状が見られます。

  • 元気がなくなる
  • 食欲が減る
  • 下痢になる
  • 吐きやすくなる
  • 粘膜や皮膚が黄色くなる(黄疸)

このような症状が猫に見られたら、まずは動物病院に相談しましょう。

猫はSFTSに対する感受性が高く、発症した場合の死亡率は約60%といわれています。

重症例では急速に状態が悪化し、5日程度で亡くなります。

出典:国立感染症研究所「獣医療関係者の SFTS 発症動物対策について」

死亡率の高さに驚いた飼い主さんも多いと思いますが、残念ながら、猫のSFTSに対する有効な治療法はありません(2025年7月時点)。

人では「アビガン」という抗ウイルス薬が、SFTSの治療薬として承認されていますが、動物での有効性や安全性はまだ研究段階です。

そのため、治療は点滴や抗菌薬などの対症療法が中心となります。

対症療法とは、病気の原因を取り除くのではなく、病気によって起きている症状を和らげたり、なくしたりする治療法

出典:国立国語研究所

猫のSFTSは有効な治療法がないため、SFTSに感染しないよう予防することが重要です。

マダニに噛まれないよう外に猫を出さない、マダニ駆除薬を定期的に使用するなどの対策を行いましょう。

完全屋内飼育の猫でも、外に逃げ出した際に感染した事例があります。

マダニに噛まれないよう猫は屋内飼育に努め、マダニ駆除薬を定期的に投与することがオススメです。

出典:茨城県「県内における飼い猫の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染事例について」


ここまで、猫のSFTSについて解説してきましたが、飼い主さん自身も感染に注意が必要です。

SFTSは、猫から人へも感染するといわれています。

近年、SFTSを発症した動物から人に感染する事例が増えており、2025年6月には、三重県でSFTSに感染した猫を診療していた獣医師が死亡しました。

猫の血液や唾液、尿、便にウイルスが含まれており、それに触れたり、噛まれたりすることで人は感染します。

人の主な症状は発熱、腹痛、嘔吐、頭痛などで、人がSFTSに感染したときの死亡率は約27%です。

人の死亡率も非常に高いため、日頃からマダニに噛まれないよう長袖の服を着る、猫との過剰なふれあいを避けるなどの対策を意識する必要があります。

出典:NHK「マダニ媒介ウイルス感染ネコ治療の獣医師死亡 三重」


マダニ駆除薬による予防の重要性が分かったら、マダニ駆除薬を購入できる場所が気になりますよね。

マダニ駆除薬が購入できる場所は大きく2つあり、「動物病院」または「ドラッグストア」で購入できます。

また、動物用医薬品であるマダニ駆除薬には「一般医薬品」と「要指示医薬品」の2種類があり、それぞれ購入方法が異なります。

動物用医薬品とは、もっぱら動物に使用する医薬品のこと

出典:日本動物用医薬品協会

一般医薬品と要指示医薬品の違いを以下の表にまとめました。

【一般医薬品と要指示医薬品の違い】

一般医薬品要指示医薬品
獣医師の処方箋や指示書不要必要
購入できる場所動物病院、ドラッグストアなど動物病院、薬局、ドラッグストアなど(処方箋や指示書の提出が必要)
医薬品の例・ディアバスター錠(下痢止め)
・ビオイムバスター錠(整腸剤)
ブラベクトスポット(マダニ駆除薬)
・ビクタスSS錠(抗生物質)
・ラプロス(慢性腎臓病の薬)
・チロブロック錠(ホルモン剤)

一般医薬品は誰でも購入できますが、要指示医薬品の購入には「獣医師の処方箋や指示書」が必要です。

一部のマダニ駆除薬は一般医薬品であり、ドラッグストアで処方箋なしに購入できます。
※獣医師の指導のもとご使用ください

【一般医薬品であるマダニ駆除薬の例】


ここからは、猫のSFTSについてよくある質問をまとめました。

疑問点がある方は、ぜひ参考にしてください。

残念ながら、マダニ駆除薬を使っていれば絶対に感染しないわけではありません。

薬はマダニを殺す効果があるだけで、ウイルスの感染を防ぐわけではないからです。

薬を使用していても、SFTSを持っているマダニに噛まれたら感染する可能性があります。

猫のウイルス感染を予防する薬やワクチンは今のところ開発されていません。

マダニ駆除薬を使っていても、猫はなるべく外に出さないようにしましょう。

マダニは翅(はね)を持たないため、猫についているマダニが人に飛び移ってくることはありません。

基本は、猫に直接触れることでマダニは人に移ります。

しかし、最近の研究では、直接触れなくても静電気の力によってマダニが付着できることが判明しました。

近づくだけでマダニが移る可能性があるため、マダニがついた猫にはなるべく近づかず、動物病院に相談しましょう。


ここまで、猫のSFTSについて、感染経路や症状、治療法、予防法など幅広く解説しました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • SFTSはマダニに噛まれることで感染する
  • 猫の主な症状は「元気がなくなる」「食欲が減る」など
  • SFTSによる猫の死亡率は約60%
  • 猫のSFTSに対する有効な治療法はない
  • 感染を防ぐにはマダニ駆除薬を使い、猫を外に出さないこと

この記事の内容を参考に、猫のマダニ対策を始めてみてくださいね。

なお、マダニ駆除薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店なら、決済から最短翌日に薬を受け取れます。

薬についてお困りの場合は、24時間いつでもLINEから薬剤師に相談受付可能です。

ねこあざらし薬店で販売しているマダニ駆除薬はこちらからご覧ください。