愛猫の目に目やにがついている・涙やけが気になる・目が充血している……そんな症状が見られたら、それは愛猫からのSOSかもしれません。
特に、目やにの色がいつもと違う、片目だけに症状が出ている、目をしょぼしょぼさせているといった変化があるときは、早めの対応が必要です。
このコラムでは、猫の目の健康を守るための正しい知識から日々のケア方法、病院を受診すべきタイミングまでを分かりやすく解説します。
【この記事を読んでわかること】
- 正常な目やにと異常な目やにの見分け方
- 目やにの原因となる主な病気(結膜炎、角膜炎、猫風邪など)
- 自宅でできる正しい目のケア方法
- 動物病院を受診すべきタイミングと緊急性の高い症状
- 猫種別の注意点と日常的な予防法
最後まで記事を読んで、愛猫の目の健康について学んでみましょう。
第1章:猫の目やにの基本知識

目やにとは何か
猫の『目やに』は、涙、粘液、そして目の表面から剥がれ落ちた古い細胞などの老廃物やほこりなどの異物が混ざり合ってできた自然な分泌物です。
人間でも朝起きたときに目やにがつくことがあるように、猫にとっても目やには生理的な現象のひとつなのです。
正常な目やにの特徴
健康な猫にも少量の目やには出ます。
以下のような特徴があれば、基本的には心配する必要はありません。
- 色:薄い茶色から透明、あるいは黒っぽい茶色
- 量:毎朝起きたときに目頭に少量ついている程度
- 質感:乾燥してカサカサしている、またはやや湿っているが粘り気はほとんどない
- 頻度:毎日少量出る程度で、日中に何度も拭く必要がない
異常な目やにのサイン
以下のような目やには何らかの異常がある可能性が高いため、注意が必要です。
色が濃い、または異常な色
- 黄色、黄緑色、緑色の目やに → 細菌感染の可能性
- 血が混じった赤い目やに → 眼球に傷がある可能性
その他の異常サイン
- ドロッとした膿のような質感
- 悪臭がする
- 一日に何度も拭く必要があるほど大量に出る
- 片目だけに集中して出る
- 目の充血、腫れ、涙が止まらない
- くしゃみ、鼻水、発熱などの全身症状を伴う
これらの異常なサインが見られたら、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
第2章:目やにの主な原因と病気

1. 環境要因(乾燥・ほこり・刺激物)
空気の乾燥やハウスダスト、花粉、煙草の煙、芳香剤などが目を刺激すると、涙の分泌量が増えて目やにも増加します。
対策
- 室内の湿度を50〜60%に保つ
- こまめに掃除をして清潔な環境を維持
- 猫の近くで喫煙や強い香りのスプレーの使用を避ける
2. アレルギー性結膜炎
花粉、ハウスダスト、ダニ、カビ、特定の食物などが原因で、目のかゆみや充血、目やにの増加などが起こります。透明から白っぽい水っぽい目やにが特徴です。
秋はヨモギやブタクサなどの花粉によって症状が出やすい時期です。目をこすることで二次的に細菌感染を起こすと、黄色い目やにに変わることもあります。
3. 細菌・ウイルス感染(猫風邪)
猫ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアなどによる感染症は、目やにの主要な原因のひとつです。
症状の特徴
- 黄色から黄緑色、緑色のドロッとした膿のような目やに
- 大量に出て目が塞がってしまうことも
- 目の充血と腫れ
- 発熱、くしゃみ、鼻水、食欲低下
子猫や高齢猫、免疫力が低下している猫は重症化しやすいため、早期の治療が必要です。
ワクチン接種で抵抗力を高められる病気も多いので、定期的なワクチン接種も重要です。
4. 結膜炎
まぶたの内側と眼球の白目部分を覆っている結膜に炎症が起こる状態です。感染性、アレルギー性、刺激性などさまざまな原因で起こります。
症状
- まぶたの内側が赤く腫れる
- 白目が充血する
- 目やにが増える((透明〜黄色)
- 涙が多く出る
- 目をこする、しょぼしょぼさせる
- 目を開けにくそうにする
早期に適切な治療を行えば比較的短期間で改善しますが、放置すると慢性化したり、角膜炎に進行したりする恐れがあります。
5. 角膜炎・角膜潰瘍
目の表面を覆っている角膜に炎症や傷ができる病気です。猫同士のケンカによる引っかき傷、異物混入、ウイルス感染などが主な原因です。
症状
- 透明から黄色の目やに
- 涙が大量に出る
- まぶしそうに目を細める
- 目を開けられない
- 目の表面が白く濁る
重症化すると角膜に穴が開き、最悪の場合は失明する危険性もあります。緊急性の高い疾患なので、すぐに動物病院を受診しましょう。
6. 涙やけ・鼻涙管閉塞
涙が常に目から溢れ出して、目の周囲の毛が茶色く変色してしまう状態です。鼻涙管という細い管が詰まると、涙が正常に排出されず目から溢れ出てしまいます。
特に短頭種(ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなど)は、生まれつき鼻涙管の流れが悪かったり、鼻涙管の構造が正常でなかったりすることがあります。
対策
- 鼻涙管閉塞の原因が先天的か疾患によるものかまずは受診する
- 目の周りの毛を短くカットする
- 毎日こまめに涙や目やにを拭き取る
第3章:自宅でできる目のケア

基本の拭き取り方法
準備するもの
- 清潔なコットンやガーゼ
- ぬるま湯(人肌程度)または動物用アイローション
※ティッシュペーパーは繊維が粗く、目を傷つける恐れがあるため避けましょう。
拭き取りの手順
- コットンやガーゼにぬるま湯を含ませます
- 目尻から目頭へ向かって優しく拭き取ります
- 強くこすらず、優しく押し当てるようにします
- 使用したコットンは一度使ったら必ず捨てます
- 片目だけに症状が出ている場合は、別のコットンで使い分けます
固まった目やにの対処法
目やにが乾燥して固まっている場合は、無理に引っ張らず、まずぬるま湯で湿らせてふやかします。数秒間優しく押し当てて、目やにが柔らかくなってから取り除きましょう。
点眼のコツ
動物病院で目薬を処方された場合の点眼方法です。
- 利き手に目薬を持ち、反対の手で猫の下あごを支えます
- 上まぶたを軽く持ち上げ、目の上から点眼します
- 猫の背中側から、体を包み込むような体勢で行うとスムーズです
- 点眼後はたくさん褒めてあげましょう
環境管理
清潔な環境を保つ
- 飼育環境のこまめな掃除(週2〜3回以上が目安)
- 空気清浄機の使用
- 寝具の定期的な洗濯(週1回程度が目安)
- 湿度管理(湿度50〜60%を保つ)
アレルゲンとの接触を減らす
- 花粉の季節は体を拭く(外出する猫の場合)
- 香りの強い芳香剤や柔軟剤は避ける
- 猫の近くでの喫煙は絶対に避ける
- 飛び散りにくい猫砂を選ぶ
定期的なチェック
毎日の触れ合いの中で、以下をチェックしましょう。
- 目やにの色、量、質感
- 目の充血や腫れ
- 涙の量
- 瞬膜が出ていないか
- 目の周囲の毛の変色(涙やけ)
早期に異常を発見することで、適切に対処することができます。
第4章:動物病院を受診すべきタイミング

緊急性の高い症状
以下のような症状が見られる場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
すぐに受診が必要な症状
- 黄色・緑色・血の混じった目やに
- 目を開けられない・痛がる
- 片目だけに症状が出る
- 目が腫れている・変形している
- 目の表面が白く濁っている
全身症状を伴う場合
目やにに加えて、くしゃみ、鼻水、発熱、食欲不振、元気がないなどの全身症状がある場合は、猫風邪などの感染症が疑われます。特に子猫や高齢猫では早急な治療が必要です。
改善しない・悪化する場合
自宅でケアをして1〜2日経っても症状が変わらない、あるいは悪化している場合は、早めに獣医師の診察を受けましょう。
受診時に伝えるべき情報
- いつから症状が始まったか
- 目やにの色、量、質感の変化
- どちらの目に症状があるか(片目/両目)
- 他に見られる症状
- 最近の環境や食事の変化
- ワクチン接種の状況
また、自宅での目をこする様子や目やにの状態などを動画で撮影しておくと、獣医師への説明がより正確になります。
特に、普段は見せない行動や、夜間に激しくかゆがる様子など、診察室では確認できない症状を記録しておくことで、診断の大きな手がかりになります。
第5章:猫種別の注意点

短頭種(ペルシャ、エキゾチックショートヘアなど)
顔の骨格が独特で、鼻涙管が圧迫されやすく、生まれつき鼻涙管閉塞による涙やけになりやすい傾向があります。また、目が大きく飛び出しているため、異物が入りやすく、傷つきやすいリスクもあります。
ケアのポイント
- 毎日必ず目やにと涙を拭き取る
- 目の周りの毛を短くカットする
長毛種(メインクーン、ノルウェージャンフォレストキャットなど)
長い被毛が目に入りやすく、それが刺激となって涙や目やにが増えることがあります。
ケアのポイント
- 目の周りの毛を定期的にカットまたはトリミング
- ブラッシングで抜け毛が目に入らないよう注意する
老猫(シニア猫)
7歳以上のシニア猫は、涙の分泌量や質の変化、免疫力の低下、自浄作用の低下などが起こり、目やにが増えやすくなります。
ケアのポイント
- 飼い主さんが毎日ケアしてあげる
- 年に1〜2回の健康診断で目の状態もチェック
- 栄養バランスの良い高齢猫用フードを与える
第6章:日常的な予防法

定期的な顔まわりのケア
愛猫とのスキンシップの時間を使って、毎日、目の状態をチェックする習慣をつけましょう。
少量の目やにであれば、毎朝清潔なコットンで優しく拭き取ります。
特に換毛期(春と秋)は、こまめなブラッシングで抜け毛を取り除きましょう。
健康診断(年1〜2回)
健康そうに見えても、年に1〜2回は動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。若い猫は年1回、7歳以上のシニア猫は年2回が目安です。
猫風邪など、目やにの原因となる感染症の多くは、ワクチンで重症化を防ぐことができます。
ストレスや免疫低下を防ぐ環境づくり
猫はストレスに弱い動物といわれており、ストレスが免疫力を低下させ、さまざまな病気にかかりやすくなるとの報告もあります。
対策
- 静かで落ち着くことができる場所を用意する
- 高い場所に登ることができるようにキャットタワーを設置する
- 隠れられる場所を複数用意する
- 規則正しい生活リズムを保つ
多頭飼いの場合は、感染症が広がりやすいため、一匹に『目やに』や『猫風邪』などの症状が出たら、すぐに隔離して他の猫への感染を防ぐようにする必要があります。
まとめ
猫の目やには、単なる汚れではなく、愛猫の健康状態を知らせてくれる大切なサインです。
この記事のまとめ
- 正常な目やには薄い茶色〜透明で少量、異常な目やには黄色・緑色・血混じりで大量
- 主な原因は環境要因、アレルギー、感染症、結膜炎、角膜炎、鼻涙管閉塞など
- 自宅ケアは清潔なコットンで優しく拭き取り、環境を清潔に保つことが基本
- 黄緑色の目やに、目を開けられない、片目だけの症状などは早急に受診が必要
- 短頭種や長毛種、高齢猫は特に注意が必要
- 日常的な予防として定期的なケア、健康診断、ワクチン接種が重要
早期発見・早期治療が鍵
目のトラブルは、放置すると急速に悪化したり、慢性化したり、最悪の場合は失明につながったりする可能性があります。異常なサインが見られたら、できるだけ早く受診しましょう。
日常のケアと観察が予防につながる
毎日の目やにチェックと拭き取り、清潔な環境の維持、バランスの取れた食事、ストレス管理など、日常的なケアが目のトラブルの予防につながります。
飼い主としての責任
猫は自分の不調を言葉で伝えることができません。だからこそ、飼い主さんが日々の観察を通じて、小さな変化に気づいてあげることが大切です。
愛猫の目がいつもキラキラと輝いていられるように、日々のケアと観察を大切にしていきましょう。少しでも気になることがあれば、遠慮せずにかかりつけの動物病院に相談してください。
動物用医薬品に関するご不明点やご相談がある場合は、動物のお薬の専門店『ねこあざらし薬店』にお気軽にお問い合わせください。

岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社での保険金査定業務などに従事。現在は製薬関係の業務に携わりつつ、ペットの健康相談業務、動物関係のライティングに加えてペット用品並びに犬猫の健康記事に関する監修経験多数。なおプライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理実施中。
