犬の適切な胃腸薬は、症状や原因によって異なります。
この記事では、犬の胃腸症状について、主な症状や原因、薬の種類、使い分けなどを解説しています。
【この記事を読んでわかること】
- 犬の主な胃腸症状は、嘔吐や下痢、食欲不振など
- 犬の胃腸薬は「消化管の運動を改善」「腸内バランスを整える」など種類は様々
- 症状と原因に応じて、適した治療薬を選択することが重要
- 嘔吐や下痢の裏に重大な病気が隠れていることもある
最後まで記事を読んで、犬の胃腸薬について学んでみましょう。
胃腸薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。
犬の胃腸症状の種類

犬の胃腸症状の種類には、主に嘔吐や下痢、食欲不振などがあります。
以下に、それぞれの症状から考えられる原因をまとめました。
症状 | 考えられる原因 |
---|---|
嘔吐 | ・中毒 ・寄生虫 ・異物誤飲 ・巨大食道症 |
下痢 | ・中毒 ・寄生虫 ・腸リンパ管拡張症 ・がん |
食欲不振 | ・中毒 ・巨大結腸症 ・急性腎障害 ・巨大食道症 |
同じ症状でも原因によって様子が異なり、下痢であれば、ジアルジアという寄生虫に感染すると血便が生じます。
一方、腸リンパ管拡張症※では、脂肪が混ざった下痢や軟便が長時間続くことが特徴です。
※腸リンパ管拡張症:腸のリンパ管が詰まって、リンパ液が腸の中に漏れてしまう病気
このように、犬の胃腸症状は種類によってさまざまな原因が考えられます。
市販の主な犬用胃腸薬
では、犬用の胃腸薬にはどのような種類があるのでしょうか。
ここからは、市販の主な犬用胃腸薬を6つ紹介します。
【市販の主な犬用胃腸薬の適応】
プロナミド錠

有効成分 | モサプリドクエン酸塩水和物 |
適応 | 嘔吐、食欲不振 |
プロナミド錠は、消化管の運動を促進することで、嘔吐や食欲不振を改善する治療薬です。
有効成分の「モサプリドクエン酸塩水和物」が、アセチルコリンという消化管の運動に働く神経伝達物質の分泌を促進することで、症状を緩和すると考えられています。
ディアバスター錠

有効成分 | ・タンニン酸ベルベリン ・次硝酸ビスマス ・ゲンノショウコ乾燥エキス ・五倍子末 ・ロートエキス散 |
適応 | 下痢、腹痛 |
ディアバスター錠は、5種類の有効成分を含む下痢のお薬です。
各成分が以下のようにさまざまな作用を示し、下痢の症状を抑えます。
有効成分 | 作用 |
---|---|
タンニン酸ベルベリン | 殺菌・収れん・止血 腸内でベルベリン(殺菌)とタンニン酸(収れん・止血)に分解される |
次硝酸ビスマス | 粘膜保護・止瀉 潰瘍面に保護皮膜を形成、硫化水素と結合し腸運動を抑制 |
ゲンノショウコ乾燥エキス | 止瀉・収れん 小腸蠕動抑制、盲腸逆蠕動促進、タンニンによる粘膜保護皮膜形成 |
五倍子末 | 抗炎症・収れん・抗菌 高濃度タンニンにより炎症抑制、収れん、止血、抗菌・抗ウイルス作用 |
ロートエキス散 | 抗コリン・鎮静 ベラドンナアルカロイドによる副交感神経抑制、胃酸分泌抑制、腸運動抑制 |
後述のビオイムバスター錠と併用することで、より高い効果が期待できるといわれています。
ビオイムバスター錠

有効成分 | ・有胞子性乳酸菌 ・パンクレアチン |
適応 | 下痢、食欲不振、消化不良 |
ビオイムバスター錠は、乳酸菌や消化酵素の働きによって下痢や食欲不振を改善するお薬です。
有胞子性乳酸菌が腸内細菌のバランスを整え「消化吸収の補助」「免疫機能の活性化」などの効果をもたらします。
また、パンクレアチンにはさまざまな消化酵素が含まれており、糖やタンパク質、脂肪を分解することで、消化吸収を助ける役割をします。
乳酸菌が含まれているため、抗菌薬との併用により本剤の効果が弱まる可能性があるため注意が必要です。
前述のディアバスター錠と併用することで、より高い効果が期待できるといわれています。
ボミットバスター錠

有効成分 | 塩酸メトクロプラミド |
適応 | 嘔吐、食欲不振 |
ボミットバスター錠は、主に嘔吐を改善するお薬です。
有効成分の「塩酸メトクロプラミド」が、脳の嘔吐中枢に作用し、吐き気を抑えます。
また、アセチルコリンによって消化管の運動を促進する作用もあるといわれており、食欲不振にも効果が期待できます。
デルクリアー

有効成分 | ・タンニン酸ベルベリン ・ゲンノショウコ末 ・ロートエキス3倍散 ・ウルソデオキシコール酸 |
適応 | 下痢、食欲不振、消化不良、腹痛 |
デルクリアーは、4つの有効成分が含まれた下痢のお薬です。
各成分が以下のようにさまざまな作用を示し、下痢や食欲不振を改善します。
有効成分 | 作用 |
---|---|
タンニン酸ベルベリン | 腸内の有害細菌に対する殺菌と収れん防腐作用 |
ゲンノショウコ末 | 便通を整え、腹部膨満の改善作用 |
ロートエキス3倍散 | 鎮痛及び鎮痙作用 |
ウルソデオキシコール酸 | 利胆及びリパーゼ活性促進作用 |
タンニン酸ベルベリンはディアバスター錠にも含まれていますが、デルクリアーは2倍量のタンニン酸ベルベリンを含んでいる点が特徴です。
動物用ビオスリー

有効成分 | ・ラクトミン ・糖化菌 ・酪酸菌 |
適応 | 下痢 |
動物用ビオスリーは、3種類の生きた菌が含まれたお薬です。
腸内に届いた菌が乳酸や酪酸を産生し、腸内を酸性にすることで病原菌の発育を阻害します。
また、これらの菌は消化酵素を産生し、消化吸収を助ける役割も担います。
生きた菌が含まれているので、本剤の効果を弱める可能性のある抗菌薬には注意しましょう。
犬の胃腸薬の使い分け
犬の症状や原因によって、適した胃腸薬は異なります。
検査をしても原因が特定できない場合や、検査自体が難しい場合には、以下の様な症状を和らげるための対症療法が行われます。
一方で、症状の原因が明らかになった場合には、その原因疾患の治療が優先されます。
- 胃潰瘍や食道炎が原因→消化管粘膜保護剤
- 炎症性腸疾患が原因→ステロイド
- 寄生虫感染が原因→駆虫薬
このように、胃腸薬の使い分けは症状や原因によって異なりますが、一般的な嘔吐や下痢でも重大な病気が隠れている可能性があります。
もし嘔吐や下痢が長引いたり、症状が悪化したりするようであれば、自己判断せず必ず獣医師に相談しましょう。
まとめ
ここまで、犬の胃腸症状について、主な症状や原因、薬の種類、使い分けなどを解説してきました。
この記事のまとめは、以下のとおりです。
- 犬の主な胃腸症状は、嘔吐や下痢、食欲不振など
- 犬の胃腸薬は「消化管の運動を改善」「腸内バランスを整える」など種類は様々
- 症状と原因に応じて、適した治療薬を選択することが重要
- 嘔吐や下痢の裏に重大な病気が隠れていることもある
胃腸薬は症状に対する対症療法として使用されることが多いですが、症状が続く場合は、自己判断せずに獣医師に相談することが大切です。
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帯広畜産大学獣医学部卒業後、獣医師免許を取得。その後、製薬系会社にて医薬品の安全性管理に従事。数々の臨床試験や市販後の調査に携わる。現在は医療・動物分野を中心に、医療ライターとして執筆・監修活動を行っている。