【獣医師監修】犬猫のお腹のお薬ガイド~ディアバスター・ビオイムバスター・ボミットバスターの違いと使い方~

愛犬や愛猫が「下痢」や「吐き気」を起こした際、動物病院で使用される代表的なお薬に『ディアバスター』『ビオイムバスター』『ボミットバスター』があります。名前が似ているため「どれが何のお薬?」と困ってしまう飼い主さまも少なくありません。

このコラムでは、上記3つのお薬を比較しながら分かりやすく解説します。

【この記事を読んでわかること】

  • 症状別の適切な使い分け(下痢止め、整腸剤、吐き気止め)
  • 3つのお薬の有効成分と承認されている効能・効果の違い
  • 各薬剤の体重別用法・用量と臨床改善効果
  • 抗生物質との併用注意など飲み合わせのポイント
  • 嫌がる子にお薬を上手に飲ませる安全な工夫

動物病院では、愛犬・愛猫のその時の症状に合わせてこれらのお薬を選んだり、組み合わせて処方したりします。

【症状1】つらい下痢や軟便をピタッと止めたいとき
👉 ディアバスター錠(下痢止め)

【症状2】食欲がなく、消化不良やお腹の乱れが気になるとき
👉 ビオイムバスター錠(整腸・消化酵素)

【症状3】何度も吐いてしまう・吐き気でご飯が食べられないとき
👉 ボミットバスター錠(吐き気止め)


薬剤名有効成分(1錠中)承認されている主な効能・効果
ディアバスター錠・タンニン酸ベルベリン
・次硝酸ビスマス
・ゲンノショウコ乾燥エキス
・五倍子末
犬・猫:
下痢の症状緩和
ビオイムバスター錠・有胞子性乳酸菌
・パンクレアチン
犬・猫:
食欲不振、消化不良、単純性下痢
ボミットバスター錠2mg・塩酸メトクロプラミド犬: 胃炎・腸炎等に伴う嘔吐、駆虫剤投与時の嘔吐
猫: 胃炎・腸炎等に伴う嘔吐・食欲不振

●有効成分(1錠中)
・タンニン酸ベルベリン:25.0mg
・次硝酸ビスマス:100.0mg
・ゲンノショウコ乾燥エキス:25.0mg
・五倍子末:25.0mg

●用法・用量(1日2回経口投与)
・5kg未満:1回 1/2錠
・5〜20kg未満:1回 1錠
・20kg以上:1回 2錠

●主な役割・作用
腸内の殺菌・腐敗抑制: 腸内有害細菌の増殖を抑え、有害アミンの発生(腸内腐敗)を防ぎます。
腸運動の抑制・粘膜保護: 過剰なぜん動運動を静めるとともに、荒れた腸粘膜に保護膜を形成して炎症を鎮めます。
高い改善効果: 急性下痢を起こした犬に対する試験では、平均2.3日で完治・改善に至る効果(改善率87.1%)が確認されています。

●注意点・併用のポイント
整腸剤(ビオイムバスター錠等)と組み合わせて使用することで、より高い相乗効果を発揮します。

●有効成分(1錠中)
・有胞子性乳酸菌(Bacillus coagulans):30.0mg
・パンクレアチン:60.0mg

●用法・用量(1日2回経口投与)
・小型犬・猫(5kg未満):1回 1/2錠〜1錠
・中型犬(5〜20kg未満):1回 1錠〜2錠
・大型犬(20kg以上):1回 2錠〜3錠

●主な役割・作用
生きて腸まで届く乳酸菌: 殻(胞子)に守られた乳酸菌のため胃酸に負けずに腸へ到達し、腸内フローラを整えます。
消化のサポート: 総合消化酵素パンクレアチンが脂肪・タンパク質・でんぷんの分解を助け、胃腸の負担を軽減します。

●注意点・併用のポイント
抗生物質との併用注意: 抗生物質(抗菌薬)と同時に服用すると、本剤の乳酸菌の働きが弱まるため、投与タイミングをずらす(2時間ほどあける)等の注意が必要です。
下痢止めとの併用: 下痢止め(ディアバスター錠)と併用することで、総合改善率が98.6%まで向上することが確認されています。
アレルギー: 原材料に魚由来ペプチド、豚パンクレアチン、酵母エキスが含まれるため、アレルギーのある方は事前に獣医師へ相談してください。

●有効成分(1錠中)
・塩酸メトクロプラミド:2.0mg

●用法・用量(1日2回経口投与)
・犬・猫共通:体重1kgあたり塩酸メトクロプラミドとして0.2〜0.5mgを基準とし、1日2回経口投与します。

●主な役割・作用
吐き気のブロック: 脳にある「嘔吐のスイッチ(CTZ)」を抑え、吐き気を根本から鎮めます。
胃腸の運動促進: 消化管の運動障害を改善し、胃内容物の逆流や嘔吐を抑えます。
高い改善効果: 臨床試験において、犬で89.74%、猫で92.59%という高い改善効果が示されています。

●注意点・併用のポイント
慎重投与・副作用: 幼若動物や低体重のペットでは過剰投与にならないよう慎重な投与が必要です。まれによだれが出たり、体がふるえたりソワソワしたりする副作用が出ることがあります。
分割時の注意: 錠剤を分割して使用する場合は、吸湿を防ぐため速やかに投与してください。


お腹の調子や気分が悪いときは、いつも以上にお薬を嫌がってしまうことがあります。
無理なく飲ませるための工夫をご紹介します。

●投薬補助ペーストやおやつで包む
粒のまま飲むのが苦手な子の場合は、投薬用ペーストや、一口サイズのウェットフード・お肉などに包んでそのまま飲み込ませる工夫が効果的です。
(※錠剤を割ったり潰したりして与える場合は、味の苦味が出たり吸湿劣化したりすることがあるため、あらかじめ獣医師にご相談ください。)

●吐き気や嘔吐がある時の与え方
強い吐き気がある時にお薬やごはんを無理に口へ入れると、そのまま吐き戻してしまうことがあります。
嘔吐が続いている場合のお薬を飲ませるタイミングや順番については、自己判断せず獣医師の指示に従いましょう。


動物病院で使用される「バスターシリーズ」は、愛犬・愛猫のその時の症状(下痢・消化不良・吐き気)に合わせて的確に使い分けられています。

この記事のまとめ

  • 下痢を止める「ディア」、お腹を整える「ビオイム」、吐き気を鎮める「ボミット」とそれぞれ目的が異なる
  • 症状が治まったように見えても自己判断で途中でやめず指定期間飲ませ切る
  • 抗生物質など他のお薬と併用する場合は時間間隔など獣医師の指示を守る

動物用医薬品に関するご不明点やご相談がある場合は、動物のお薬の専門店『ねこあざらし薬店』にお気軽にお問い合わせください。