犬の皮膚病〜マラセチア性皮膚炎に対する正しい知識とケア方法~【獣医師執筆】

愛犬の皮膚が赤くなり、強いかゆみと独特の臭いが続く「マラセチア性皮膚炎」。
慢性的な症状は愛犬のQOL(生活の質)を著しく低下させ、飼い主さんも心を痛めることが少なくありません。
しかし、マラセチア性皮膚炎は適切な知識と治療、そして日々のケアで症状をコントロールできる疾患です。

このコラムでは、マラセチア性皮膚炎の正しい知識から最新の治療法、そしてご自宅で愛犬を支えるための具体的なケア方法までを分かりやすく解説します。


マラセチア性皮膚炎は、酵母(カビ)の一種であるマラセチア・パチデルマティス(Malassezia pachydermatis)という皮膚常在菌が異常増殖することで起こる皮膚疾患です。

この疾患は犬の皮膚科診療で最も頻繁に遭遇する疾患の一つであり、症状を抑えるだけでなく、「なぜ菌が増えたのか」という根本原因を特定し、長期的に管理することが再発予防の鍵となります。

マラセチアは、犬の皮膚から分泌される皮脂(脂質)を必須の栄養源とする脂質依存性(リポフィルス)という性質を持ちます。

そのため、皮脂腺が豊富で湿度が高くなりやすい部位、特に皮膚と皮膚が重なる間擦部や耳の内部で活発に増殖します。

好発部位(高湿度・高皮脂エリア)誘発される症状
間擦部(脇、股、指間、顔の皺、尾の付け根)紅斑や苔癬化、悪臭が発生
皮膚表面の脂っぽいベタつき
外耳道・耳介左右対称性の外耳炎
ベタベタしたワックス状の耳垢を形成

異常増殖したマラセチアは、皮脂を分解する際に酵素(リパーゼ)や代謝産物を大量に産生します。これらの物質が皮膚細胞を刺激し、炎症を引き起こします。

また、マラセチアの細胞壁成分がアレルゲン(抗原)として認識されることで、過敏症(アレルギー)を併発することがあります。これにより、掻痒が劇的に悪化し、単なる殺菌だけではコントロールが難しくなります。


マラセチア性皮膚炎のリスクを高める基礎疾患は、主に皮膚のバリア機能の破綻や皮脂の過剰分泌を引き起こします。

特にウエストハイランド・ホワイト・テリアやシー・ズーは、犬アトピー性皮膚炎(CAD)と脂漏症の両方の好発品種であり、遺伝的素因が深く関与しています。これらの犬種を治療する際は、生涯にわたる基礎疾患の管理が必要となる場合も少なくありません。

基礎疾患の種類好発犬種(遺伝的素因)マラセチア増殖への影響
犬アトピー性皮膚炎
(CAD)
ウエストハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズー、ゴールデン・レトリバー、チワワなど慢性炎症による皮膚バリア機能の低下と微小環境の悪化
原発性脂漏症ウエストハイランド・ホワイト・テリア、シー・ズー、アメリカン・コッカー・スパニエル、ミニチュア・シュナウザー皮脂の過剰分泌(マラセチアの栄養源)が強力に増大
解剖学的要因ブルドッグ(しわが多い短頭種)、垂れ耳の犬種皮膚が蒸れやすく、高湿度環境を形成する

診断は、実際の臨床症状(紅斑、脂漏、悪臭など)と皮膚の細胞診(テープによる押捺法)によって行います。

細胞診では「雪だるま型」のマラセチアが多数認められます。菌数が少ないにもかかわらず、かゆみが非常に強い場合は、マラセチアに対する過敏症(アレルギー反応)が起きている可能性があります。この場合は殺菌だけでなく、マラセチアに対する過敏症をコントロールするための複雑な管理が必要となります。


マラセチア性皮膚炎の治療では、「菌の抑制(殺菌)」、「炎症と掻痒の緩和」、「基礎疾患のコントロール」の3つが重要なポイントです。

主には、外用療法(シャンプーや塗布薬など)と経口薬による全身療法があります。

シャンプー療法は、皮膚表面のマラセチアを物理的に洗い流すことで微生物負荷を迅速に軽減し、マラセチアが産生した炎症物質や皮脂を除去するため最も不可欠な治療です。

目安は週に1~2回で、症状に合わせて行っていきます。

治療薬製品例と主な成分成分の作用機序と効果
薬用シャンプー・マラセブ
・マラセブ ライト
・マラセキュア
(ミコナゾール硝酸塩2% / クロルヘキシジングルコン酸塩2%)
ミコナゾール(抗真菌):マラセチアの細胞膜必須成分であるエルゴステロールの合成を阻害し殺菌作用を発揮する

クロルヘキシジン(殺菌):細菌やマラセチアの細胞膜に障害を与え、広範囲の抗菌・抗真菌作用をする
外用抗真菌薬・ケトコナゾールクリーム
・ミコナゾールクリーム
アゾール系クリームは、患部に直接塗布することでエルゴステロールの合成を阻害し、マラセチアを殺菌・抑制する

広範囲の病変、重度な感染、あるいは外用療法の実施が困難な場合には、経口薬が選択されるケースもあります。治療初期の症状が重度な時期に使用し、その後はなるべく外用療法のみで維持できるようにするのが目標です。

治療目的薬剤の種類作用機序と注意点
抗真菌薬・イトラコナゾール
・フルコナゾール
・ケトコナゾール
アゾール系経口抗真菌薬。全身作用で真菌を抑制する。長期投与で肝障害の副作用リスクがあるため定期的な血液検査が推奨される。
掻痒・炎症の緩和・JAK阻害薬
(アポキル錠 / オクラシチニブ)
アレルギーの掻痒と炎症を惹起するサイトカイン(特にIL-31)のシグナル伝達経路であるヤヌスキナーゼ(JAK)を選択的に阻害し、痒みサイクルを早期に断ち切る。
掻痒・炎症の緩和・グルココルチコイド
(ステロイド)
炎症性サイトカインや炎症メディエーターの産生を抑制し、免疫反応を調整することで強い抗炎症・止痒作用がある。肝障害や易感染などの副作用リスクのため、症状に応じて用量・期間を調整する。
掻痒・炎症の緩和・抗体製剤
(サイトポイント / ロキベトマブ)
IL-31を直接的に中和し、長期的な掻痒をコントロールする。

【JAK阻害薬(アポキル錠/オクラシチニブ)について】
アポキル(オクラシチニブ)は、副作用リスクがステロイドに比べて低く、マラセチア性皮膚炎での掻痒に対してもよく使用されています。投与後4時間以内に速やかに効果を発現するなど、ステロイドに匹敵する即効性が大きな特長です。長期投与を行う際は、年に数回の血液検査を実施し、副作用(白血球減少など)をチェックすることが推奨されます。

マラセチア性皮膚炎は、根本原因となる基礎疾患を治療戦略の中心に据える必要があります。

基礎疾患疾患の管理方法
犬アトピー性皮膚炎
(CAD)
アレルギー治療薬(JAK阻害薬、抗体製剤、シクロスポリンなど)による長期的な炎症管理。食物アレルギーの除外のための除去食試験の実施。
脂漏症遺伝的または代謝異常による皮脂の過剰分泌を管理するため、食事療法、サプリメント(必須脂肪酸)、角質溶解作用のあるシャンプー(硫黄、サリチル酸など)によるスキンケアの実施。
内分泌疾患
(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症など)
治療方法は疾患により異なるため、まず全身の精査(血液検査・超音波検査など)により確定診断を行う。マラセチア性皮膚炎の治療とともに疾患の治療を並行して行い、全身状態を正常化させる。

マラセチア性皮膚炎の治療は長期にわたりますが、病態を正しく理解し、定期的な通院と日々のケアを続けることで、症状をコントロールすることが可能です。
かかりつけの動物病院でよく相談し、愛犬が快適な毎日を送れるように支えていきましょう。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • マラセチアは皮脂を栄養源とする皮膚常在菌で、異常増殖すると皮膚炎を引き起こす
  • 脇、股、指間、耳などの湿った部位で増殖しやすい
  • シャンプー療法が最も重要な治療で、週1~2回が目安
  • 犬アトピー性皮膚炎や脂漏症などの基礎疾患のコントロールが再発予防の鍵
  • 定期的なスキンケアと衛生的な生活環境の管理が重要

マラセチア性皮膚炎は再発しやすい慢性疾患ですが、適切な治療と日常的なケアで症状をコントロールすることが可能です。
愛犬の皮膚トラブルに気づいたら、まずはかかりつけの動物病院を受診し、獣医師と相談しながら最適な治療方針を決めていきましょう。定期的なシャンプーや生活環境の管理など、日々のホームケアが愛犬の快適な生活を支える大きな力となります。

動物用医薬品に関するご不明点やご相談がある場合は、動物のお薬の専門店『ねこあざらし薬店』の薬剤師にお気軽にお問い合わせください。

【獣医師監修】犬と猫のアレルギー ~原因・症状から治療法まで、正しい知識とケアで愛犬・愛猫を支える~

愛犬や愛猫が頻繁に体を掻いている、皮膚が赤くなっている、毛が抜けている…そんな症状が見られたら、それはアレルギーのサインかもしれません。
特に、食事内容や生活環境を変えた後にこれらの症状が現れたときは、何らかのアレルゲンが影響している可能性があります。

このコラムでは、アレルギーの正しい知識から治療法、そしてご自宅でできる具体的なケア方法までを分かりやすく解説します。

【この記事を読んでわかること】

  • アレルギーは免疫システムが無害なものに過剰反応して起こる
  • 犬アトピー性皮膚炎が最も多く、食物アレルギーを併発することも多い
  • かゆがる様子の動画撮影が診断に有効
  • 治療にはアレルゲンの回避、薬物療法、食事療法などがある
  • 環境管理(掃除、湿度管理)と定期的な皮膚の状態チェックが重要
  • ノミ・マダニもアレルギーの原因になるため定期的な予防が必要
  • おやつや人の食べ物を与えない、疾患によっては療法食を続けることが大切

最後まで記事を読んで、犬と猫のアレルギーについて学んでみましょう。


アレルギーとは、体の免疫システムが本来は無害な物質に対して過剰に反応し、炎症を起こす状態です。

私たちの体には、ウイルスや細菌などの外敵から身を守る「免疫応答」が備わっています。免疫応答では「抗体」という武器をつくりだして異物を排除します。この戦いの過程で炎症が起こります。

アレルギーは、この免疫応答が花粉など体にとって問題のないものに対しても起こってしまい、炎症を引き起こすことをいいます。

アレルギーというと皮膚の病気を連想する方が多いと思いますが、実は皮膚症状以外にも鼻炎や下痢などさまざまな症状を引き起こすことがあります。

アレルギーの原因となるもの(アレルゲン)には、ノミ、マダニ、ダニ、花粉、食べ物などがあります。

犬のアレルギー性皮膚炎の中で最も多いものが犬アトピー性皮膚炎となっています。
犬アトピー性皮膚炎では食物アレルギーを併発していることも多いと報告されています。

アレルギーの種類主な原因
犬アトピー性皮膚炎花粉、ダニ、カビ、ハウスダスト
食物アレルギー牛肉、鶏肉、小麦、卵、乳製品
ノミ、マダニアレルギー性皮膚炎ノミやマダニの唾液
接触性アレルギーシャンプー、洗剤、植物、化学物質

アレルギーは複数の原因がかさなって起こっている場合もあるため、総合的な対策が必要です。

食物アレルギーは食べ物が原因でおこるアレルギーのことですが、実はアレルギー全体から見ると、純粋に食物が原因のアレルギーはそれほど多いわけではありません。

食物アレルギーの場合は、食べ物に含まれるタンパク質が主な原因といわれています。ただ、どのタンパク質が原因なのかは犬・猫1頭1頭それぞれで異なります。

●犬でアレルゲンとして報告されることが多い食材
犬のアレルゲンとして報告されている主な食材には、牛肉、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、鶏肉、小麦、卵、大豆、ラム肉、トウモロコシなどがあります。

猫でアレルゲンとして報告されることが多い食材
猫のアレルゲンとして報告されている主な食材には、牛肉、魚類(特にキャットフードによく使用されるマグロ、サバ、サーモンなど)、鶏肉、乳製品、小麦、卵、ラム肉などがあります。
これらの食材は一般的なペットフードに含まれることが多いため、長期間摂取することでアレルギーを発症する可能性があります。

食物アレルギーの特徴
食物アレルギーは初めて食べたものに対して起こることがある一方で、過去に摂取したことのある食材が原因となることも多いと報告されています。
つまり、今まで問題なく食べていたものでも、ある時から突然アレルギー反応を示すようになることがあります。


激しいかゆみが最も特徴的で、頻繁に体を掻いたり、床や壁などに顔や足をこすりつけたりするしぐさが見られます。皮膚の赤みや炎症、かさぶたや脱毛も一般的です。足先を執拗に舐める行動や外耳炎も多く見られ、重症化すると皮膚が黒く厚くなることがあります。また、消化器症状として嘔吐や下痢などが見られることもあります。

皮膚が薄い部位に症状が現れやすい傾向があります。具体的には、顔(目や口の周り)、耳の内側、お腹、足の裏、わきの下、内股などです。

過剰なグルーミング(執拗に体を舐め続ける)、脱毛(特に耳の後ろ、お腹、内股)、皮膚の赤みやかさぶたなどが見られます。

猫はもともとグルーミングをよく行う動物ですが、アレルギーがあるとかゆみからひたすら特定の部位を舐め続け、その部分の毛が薄くなったり脱毛したりすることがあります。また、消化器症状として嘔吐や下痢などが見られることもあります。

1歳までに発症した、うんちの回数が多い、季節に関係なくかゆがる、口や目のまわり・背中などに炎症がある、下痢や嘔吐を伴うなどの兆候がみられる場合は、食物アレルギーが疑われます。


かゆがっている様子をスマートフォンなどで動画撮影しておくことが診断に非常に役立ちます。

夜間に激しくかゆがる様子など、診察室では確認できない症状を記録することで、診断の大きな手がかりになります。

かゆみの原因は多く存在するため、段階的に検査を進めていきます。

ステップ1:外部寄生虫の検査
ノミやマダニなどの寄生虫の予防状況を確認します。この時点で適切な予防を行っていなければ、まずは駆除薬を投与して症状の有無を観察します。

ステップ2:感染症の検査
膿皮症、マラセチアなどの感染がないか確認します。多くの場合は症状がある部位の皮膚の一部を採取し、顕微鏡で観察します。感染が見られれば抗生剤や抗真菌薬などの投与を行います。

ステップ3:アレルギーの検査
食物アレルギーを疑う場合は、アレルゲンとなる食材が含まれている可能性の低いフードのみを与える「除去食試験」という検査を行います。8週間ごとにフードの種類を変え、症状の改善が認められるかをみていきます。また、同時に、血液検査でアレルゲンに対する反応を調べる検査も行う場合があります。

ステップ4:アトピー性皮膚炎の可能性
1~3の検査や治療を行っても改善が見られない場合は、アトピー性皮膚炎の可能性が高くなります。
ステップ3のアレルゲンを調べる血液検査では、同時に環境のアレルゲン(ダニ・花粉など)についても調べることができますので、その結果も診断の大きな手掛かりになります。

診断の際には、いくつかの重要なポイントがあります。
まず季節性があるかどうか、つまりアレルゲンとなりやすい花粉の時期に悪化するかどうかを確認します。発症年齢も重要で、多くは1〜3歳で発症することが多いとされています。
また、症状の出る部位が特定の部位に集中する傾向があるかも診断の手がかりになります。

診断には時間がかかる場合がありますが、獣医師とよく相談しながら検査を進めることが重要です。


アレルギーの対処方法の基本はアレルゲンを取り除くことです。
ノミやマダニが原因であれば適切なスケジュールにて予防を行うと共に、清潔な環境を整えることが大切です。食物アレルギーであればアレルゲンを含まない食事を与えることが重要です。
アトピー性皮膚炎と診断された場合でも、フードを変更することで症状がよくなる場合も多くあります。

アレルゲンを取り除くことに加えて症状の程度によっては以下のような薬物を使用することもあります。

分子標的薬(JAK阻害薬・ヤヌスキナーゼ阻害薬

  • 比較的副作用が少なく、かゆみや炎症を抑える効果があります
  • かゆみ止めの第一選択として使われることも多い薬です
  • オクラシチニブは『犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドライン(2015年アップデート版)』において、急性及び慢性の犬アトピー性皮膚炎に「推奨度A」で推奨されています

抗ヒスタミン剤

  • かゆみや炎症を抑える効果があります
  • 副作用が少ないですが、効果も比較的穏やかで、効き目には個体差があります

ステロイド剤

  • 強力な抗炎症作用があります
  • 長期使用には副作用のリスクがあるため慎重な管理が必要です

免疫抑制剤

  • 重度のアレルギーに使われることがあります
  • 長期使用には副作用のリスクがあるため慎重な管理が必要です

抗生物質・抗真菌薬

  • 細菌やマラセチアなどによる二次的な皮膚感染症を治療します

食物アレルギーが疑われる場合は、食事療法が取り入れられます。
基本的には原因となっている食べ物を与えないことが大切です。
具体的には、今まで食べたことのないタンパク質を選ぶことになります。
その際、できるだけ消化性の高い良質のタンパク質を、できるだけ種類を限定して与えます。多くの場合、除去食試験の際に使用して改善が見られた療法食を継続して使用します。

●新奇タンパク食(今までに食べたことのないタンパク質の食事)
最近では、ペットフード会社から以下に示すような様々な新奇タンパク質源となる肉を使用したフードが販売されています。

  • ダック(鴨・アヒル)
  • ターキー(七面鳥)
  • 鹿肉
  • バイソン
  • カンガルー
  • うさぎ
  • うずら
  • ダチョウ

これらは一般的なペットフードにはあまり使用されないタンパク質源です。
ただし、個体ごとに食歴が異なるため、獣医師が今まで食べたことのないタンパク質を選択します。

加水分解タンパク食(アミノ酸オリゴペプチド食)
タンパク質をアミノ酸や、アミノ酸が2〜数十個結合したオリゴペプチド(ペプチド)にまで細かく分解することで、免疫システムが反応しにくくなるように調整した療法食となります。


食事アレルギーに対する食事管理は、一生のおつきあいとなります。獣医師の指導のもと、継続して行いましょう。また、その他の治療方法としてアレルゲンを洗い流したり、皮膚のバリア機能を正常化したりすることを目的としてシャンプー療法も行われることがあります。


食事管理は獣医師の指導のもと継続して行いましょう。

1. おやつ、人の食べ物は与えないようにしましょう
せっかく食物アレルギーに対応した療法食でタンパク質の種類を限定しているのに、おやつや人の食べ物を与えてしまうと、与えるタンパク質の種類を限定することができなくなってしまいます。
療法食以外は何も与えないようにしましょう。

家族のなかで知らない間におやつや人の食べ物を与えてしまっている人がいないように、家族全員におやつや人の食べ物をあげてはいけないことを知らせ、守ってもらうようにしましょう。また、拾い食いにも注意しましょう。

2. 食事療法食の使用を勝手にやめないようにしましょう
基本的にアレルゲンとなってしまった食べ物は生涯ずっとアレルゲンであり続けるため、療法食は生涯ずっと続けていく必要があります。
また、皮膚が新しく生まれ変わるには3~4週間ほどの時間が必要なこと並びに治療を始めてから変化が見られるまで少なくとも犬で5週間、猫で6週間かかり、90%以上の犬猫で症状が改善するには8週間かかるとの報告もあります。

よって、改善しないからといって使用をやめるのではなく、まずは獣医師が選んだ療法食を続けて様子を観察しましょう。


●清潔な環境を保つ
特にアトピー性皮膚炎の場合は環境アレルゲンを減らすために、家の中を清潔に保つことを心がけましょう。
こまめな掃除(週2〜3回以上が目安)、空気清浄機の使用、寝具の定期的な洗濯(週1回程度が目安)、湿度管理(湿度50〜60%を保つことが推奨されます)などが効果的です。

ダニやカビの発生を防ぐためにはこまめな掃除や湿度管理が効果的です。これにより、症状が悪化するのを防ぐことが期待できます。

●アレルゲンとの接触を減らす
アトピー性皮膚炎にすでに罹患してもいなくても、可能な限りアレルゲンとなる物質との接触は控えることが大切です。
花粉の季節は散歩後に足や体を拭くこと、香りの強い芳香剤や柔軟剤は避けることなども有効です。

毎日の触れ合いの中で、皮膚の赤みや腫れ、脱毛の有無、かさぶたや傷、耳の汚れや赤みなどをチェックしましょう。早期に異常を発見することで、適切に対処することができます。

皮膚と被毛の健康は、食事から摂る栄養にも大きく左右されます。良質なタンパク質を含むバランスの取れた食事を与えることで、皮膚トラブルを予防できる可能性があります。

適切なスケジュールにてノミ・マダニの予防を行っていない場合、脱毛の原因として、まずは外部寄生虫によるものかどうかの確認が大切です。

ノミアレルギー性皮膚炎は、たった1匹のノミに刺されただけでも激しいかゆみと脱毛を引き起こすといわれており、ノミ・マダニ駆除薬を使用することで症状が改善することがあります。

定期的なノミ・マダニに対する予防は、これらの寄生虫による皮膚トラブルを未然に防ぐために非常に重要です。

もし、皮膚に何かしらの皮膚炎症状を発見したら、患部を清潔に保ち、エリザベスカラーなどを利用して掻きむしりを防ぐこと、ストレスを軽減することが大切です。シャンプーや患部の洗浄は、かえって皮膚に刺激を与えることがあるため、無理に洗浄せず、そのまま動物病院を受診するのが最善です。

脱毛やかゆみが続く、膿や血が出ている、脱毛が広がっている、皮膚から悪臭がする、食欲がない、元気がないといった症状が見られたら、早めに獣医師に相談してください。軽度の皮膚トラブルでも、放置すると悪化し、治療が長引くことがあります。

診察の際には、自宅での様子、症状が出始めた時期、最近の環境や食事の変化、他に見られる症状、過去の病歴などの情報を獣医師に伝えると診断がスムーズになります。

また、自宅でのかゆがる様子や掻く頻度、グルーミングの状態などを動画で撮影しておくと、獣医師への説明がより正確になります。

特に、普段は見せない行動や、夜間に激しくかゆがる様子など、診察室では確認できない症状を記録しておくことで、診断の大きな手がかりになります。

これらの情報を基に、獣医師が正確な診断を行い、適切な治療を開始できるでしょう。

●人用の薬を勝手に使わない
人間用の薬は、犬や猫には有害なものがあります。例えば、猫はアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)に対して中毒を起こすことが知られており、命に関わることもあります。お薬投与の際には必ず獣医師の診察を受けてください。

症状が改善しても勝手に治療をやめない
アレルギーは慢性疾患であり、症状が治まっても根本的な体質は変わりません。治療を中断すると再発する可能性が高いため、獣医師の指示に従って継続することが大切です。

過度な洗浄やシャンプー
かゆがっているからといって、頻繁にシャンプーをすると、かえって皮膚のバリア機能を低下させることがあります。獣医師から指示された通りの頻度と方法で行いましょう。


アレルギーの治療は長期にわたりますが、病態を正しく理解し、定期的な通院と日々のケアを続けることで、症状の頻度を抑えてあげることが可能です。

この記事のまとめ

  • アレルギーは免疫システムが無害なものに過剰反応して起こる
  • 犬アトピー性皮膚炎が最も多く、食物アレルギーを併発することも多い
  • かゆがる様子の動画撮影が診断に有効
  • 治療にはアレルゲンの回避、薬物療法、食事療法などがある
  • 環境管理(掃除、湿度管理)と定期的な皮膚の状態チェックが重要
  • ノミ・マダニもアレルギーの原因になるため定期的な予防が必要
  • おやつや人の食べ物を与えない、疾患によっては療法食を続けることが大切

犬と猫のアレルギーは適切な知識と治療でコントロールできる慢性疾患です。

アレルギー性皮膚炎は、犬や猫にとってつらい症状を引き起こしますが、適切なケアや治療で症状を和らげることができます。早期の発見と治療が大切であり、日常生活での予防やケアも欠かせません。

愛犬や愛猫の皮膚や被毛に気になることがあれば、早めに動物病院を受診することをおすすめします。まずはかかりつけの動物病院を受診し、獣医師と相談しながら最適な治療方針を決めていきましょう。日々の観察と記録、そして適切な投薬管理が、愛犬・愛猫の穏やかな生活を支える大きな力となります。

動物用医薬品に関するご不明点やご相談がある場合は、動物のお薬の専門店『ねこあざらし薬店』にお気軽にお問い合わせください。

犬のてんかん~正しい知識とケアで支える、慢性疾患との向き合い方~【獣医師執筆】

愛犬が突然倒れ、手足をバタつかせる「てんかん発作」。
何の予兆もなく起こる場合が多いため、飼い主さんは発作を起こしている愛犬の姿に驚き、大きなショックを受けることも少なくありません。
しかし、てんかんは適切な知識と治療があればコントロールできるケースも多い慢性疾患です。

このコラムでは、てんかんの正しい知識から最新の治療薬、そしてご自宅で愛犬を支えるための具体的なケア方法までを分かりやすく解説します。


てんかん(Epilepsy)とは、「24時間以上あけて、少なくとも2回以上の原因不明の発作が生じる病態」と定義されています。

つまり、一度きりの発作ではてんかんとは診断されません。発作は、脳の神経細胞が一時的に異常な電気信号を放出し、過剰に興奮することによって引き起こされます。

ここで大切なのは、「てんかん発作」と「反応性発作」を区別することです。

・反応性発作(非てんかん)
低血糖や肝臓の病気、中毒など、脳以外の全身的な病気が原因で起こる一時的な発作です。原因となっている病気を治療することで発作が起きなくなります。

・てんかん
全身性の病気が除外され、脳自体に原因がある、あるいは原因不明の発作ことをいいます。

てんかんはその原因によって、遺伝的な体質の可能性か、脳の疾患かの二つに分類されます。

分類説明犬での割合(目安)主な原因
特発性てんかん(IT)脳に明らかな異常や病変が見つからないタイプ。多くは遺伝的な体質が関わると考えられている。約69%(約7割)遺伝的素因、神経細胞の機能的なバランスの崩れ
構造性てんかん(ST)脳腫瘍、脳炎、外傷、脳血管障害など、脳に器質的な病変(異常な構造)があるタイプ。約31%(約3割)脳炎、脳腫瘍、脳の奇形、外傷など

【年齢と原因の目安】
てんかんの初発年齢は、原因を探るための重要な手がかりです。

  • 若齢(5歳未満)で初発:特発性てんかん(IT)の可能性が高い。
  • 高齢(5歳以降)で初発:脳腫瘍や脳炎など、構造性てんかん(ST)の可能性が非常に高くなる。

てんかんの診断は、実際の発作が起きている場面を獣医師が直接見る機会は少ないため、飼い主さんからの情報と精密検査によって進められます。

まず、発作の頻度、持続時間、発作時の様子などを詳しく獣医師に伝えます。
最も重要なのは、発作時の様子をスマートフォンなどで動画撮影しておくことです。
真のてんかん発作であるか、どのような発作型であるかを正確に判断する大きな手掛かりとなります。

また、発作が起きていない間欠期に神経学的検査を行います。
もしこの検査で異常があれば、脳に病変がある構造性てんかん(ST)の可能性が高まります。特発性てんかん(IT)の場合、間欠期は正常で異常所見が認められません。

てんかんと診断する前に、低血糖や肝臓病などの全身性の病気(反応性発作の原因)を除外する必要があります。このため、血液検査や尿検査などの基本的なスクリーニング検査が必須となります。

全身性の病気が除外されたら、特発性か構造性かを鑑別します。

・MRI検査:脳の腫瘍、炎症、出血などの器質的病変がないかを確認するために行われます。このMRIで異常が見つからなければ、臨床的に「特発性てんかん」と診断されます。

・脳波検査(EEG):動物への負担が少なく、抗てんかん薬で脳の異常興奮がしっかり抑えられているかなどを判断します。治療効果を客観的に評価する上で有用です。


抗てんかん薬(AEDs)による治療は、発作を抑えることだけでなく、『発作が繰り返されることで脳に生じる不可逆的なダメージを防ぐこと』が最大の目的です。

発作が軽度で間隔が2ヶ月以上あいている場合は治療を見送ることもありますが、以下のいずれかの条件を満たす場合は、速やかに治療を開始する必要があります。

  1. 発作間隔が2ヶ月を切る場合(頻繁な発作)
  2. 群発発作(24時間以内に複数回発作)を繰り返す場合
  3. 重積発作(5分以上発作が続く、または発作の間に意識が戻らない状態)を繰り返す場合

てんかん治療の理想的な目標は「発作の完全抑制」ですが、現実的には、発作の頻度、重症度、持続時間を減らし、副作用を最小限に抑えることで愛犬のQOL(生活の質)を維持することを目指します。


てんかん治療の基本は、発作を抑えるための抗てんかん薬(AEDs)による内科療法です。
抗てんかん薬の役割は、脳の異常な興奮を落ち着かせ、発作の頻度や重症度を下げ、発作が繰り返されることによる脳のダメージを防ぐという重要な目的があります。

現在、犬のてんかん治療で主に使用される薬剤には、主に以下の種類があります。

薬剤名選択の目安主な作用(興奮を抑える仕組み)
ゾニサミド (ZNS)第一選択薬
併用薬
神経細胞の異常興奮を抑える(Na+チャネル抑制など)。
フェノバルビタール (PB)昔からある第一選択薬抑制性の神経伝達物質(GABA)の働きを強める。高用量では肝障害のリスクがある。
イメピトイン(IMP)獣医療で最も新しいAEDs
(2025年現在)
抑制性の神経伝達物質(GABA)の働きを強める。神経細胞の異常興奮を抑える働きもある。近年日本でも発売され、副作用が比較的少ない薬として注目されている。
臭化カリウム (KBr)第二選択薬
併用薬
神経細胞の膜を安定化させる。
効果の発現・安定に時間がかかる。
レベチラセタム (LEV)救急薬
併用薬
興奮物質の放出を抑える(SV2A結合)。
1日3回の投薬が必要。

どの薬を選ぶかは、愛犬の状況によって異なります。薬の選択は薬効だけでなく、副作用の特性、投与のしやすさ、愛犬の健康状態を総合的に判断して行われます。

・愛犬の健康状態:特に肝臓や腎臓に基礎疾患がある場合、薬ごとにその代謝や排泄経路が異なるため、特定の薬剤(例:肝臓に負担がかかりやすいフェノバルビタール)は避けて、より負担の少ない薬剤を選択することがあります。

・副作用を考慮:薬によって、沈静、多飲多尿、食欲不振など、現れやすい副作用が異なります。愛犬の性格や生活環境を考慮し、なるべく負担なくQOL(生活の質)を維持できる薬を選びます。

・投与の頻度:薬の種類により、1日1~3回程度の投薬が必要になります。お仕事の都合で、日中の投薬が難しいなどのケースも少なくありません。飼い主さんが確実に、決まった時間に投薬できるかどうかも重要な判断基準です。

ゾニサミドは、現在、犬の特発性てんかんの治療において、フェノバルビタールと並ぶ主要な第一選択肢の一つとして推奨されています。

ゾニサミドの有用性

・広域スペクトラム
幅広いタイプの発作に有効です。

・肝臓への配慮
従来の標準薬であるフェノバルビタールと比較して、肝臓の酵素を誘導する作用が少なく、肝臓への負担が少ないことが大きなメリットです。既存の肝機能に不安がある犬や、フェノバルビタールによる重度の副作用が懸念される場合に特に優先されます。

・投与のしやすさ
比較的作用時間が長く、1日2回の投与で安定した血中濃度を保てるため、飼い主さんにとっても負担が少なく、投薬コンプライアンス(規則正しい投薬)を維持しやすいです。

・注意点
一般的な副作用は軽度な沈静や食欲不振などですが、長期投与では稀に腎結石のリスクが指摘されています。定期的な血液・尿検査によるモニタリングは他の薬と同様に必要となります。

抗てんかん薬の治療では、定期的な「薬の血中濃度のモニタリング」が非常に重要です。
薬の効き目には個体差があるため、この検査によって「効きすぎ(副作用が頻発)でもなく、効かなすぎ(発作が再発)もしない」最適な投薬量を見つけ出し、長期的に調整していく必要があります。


てんかんは動物病院での治療だけでなく、ご自宅での日々のケアが発作コントロールの重要なカギとなります。

ご自宅でのケアで重要なのは、発作日誌の記録をつけることです。
日誌は、獣医師が薬の用量調整を行うための大切な客観的データとなります。

記録すべき内容

  • 発作が発生した日時と時間帯
  • 発作の持続時間
  • 発作型(全身の痙攣、顔面だけの引きつりなど)
  • 発作前後の愛犬の行動(いつもと違う行動、沈静など)
  • いつもと違う重篤な発作が起きた場合の詳細

発作は突然起こりますが、飼い主さんは決してパニックにならず、冷静に対応することが最も重要です。発作中に慌てて抱きかかえたりすると、かえって危険な場合もあるため注意が必要です。

発作時には、以下のような対処がおすすめです。

ポイント具体的な対処方法
安全の確保発作中の犬が怪我をしないよう、周囲の危険物から遠ざけます。口の中に手を入れるのは噛まれる危険があるため厳禁です。
動画撮影可能であれば、発作の様子を動画で記録します。
注意深く見守る体を揺さぶったりせず、発作が終わるのを待ちます。呼吸が止まったり、チアノーゼを起こしていないかなどもチェックしましょう。

以下の状態では、脳に大きなダメージを与えるリスクが高いため、速やかに動物病院に連絡して指示を受けましょう。

  • 発作が5分以上継続している場合(重積発作)
  • 24時間以内に複数回、発作を繰り返している場合(群発発作)
  • 発作中あるいは発作後に呼吸が確認できない場合

てんかんの治療は長期にわたりますが、病態を正しく理解し、定期的な通院と日々のケアを続けることで、発作の頻度を抑えてあげることが可能です。
かかりつけの動物病院でよく相談し、愛犬が穏やかな毎日を送れるように支えていきましょう。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • てんかんは24時間以上あけて2回以上の原因不明の発作が生じる病態
  • 特発性てんかん(約7割)と構造性てんかん(約3割)に分類される
  • 発作時の動画撮影が診断に非常に有効
  • 治療は抗てんかん薬(AEDs)による内科療法が基本
  • ゾニサミドは肝臓への負担が少ない第一選択薬の一つ
  • 自宅での発作日誌の記録が治療効果の判断に重要
  • 発作が5分以上続く、または24時間以内に複数回起こる場合は緊急受診が必要

犬のてんかんは適切な知識と治療でコントロールできる慢性疾患です。

愛犬の発作に不安を感じたら、まずはかかりつけの動物病院を受診し、獣医師と相談しながら最適な治療方針を決めていきましょう。日々の観察と記録、そして適切な投薬管理が、愛犬の穏やかな生活を支える大きな力となります。

動物用医薬品に関するご不明点やご相談がある場合は、動物のお薬の専門店『ねこあざらし薬店』の薬剤師にお気軽にお問い合わせください。

【獣医師監修】犬猫の療法食の選び方は?種類や切り替え方法を解説(腎臓・尿路・消化器・肥満・アレルギー)

療法食は、特定の健康状態に応じた栄養管理をサポートするために、栄養成分が調整された特別なペットフードです。
この記事では、犬猫の療法食について、主な種類や選び方、切り替え方法、食べない時の対策などを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 療法食は特定の健康状態に応じて栄養成分が調整されたフード
  • 腎臓サポート、尿路疾患サポート、消化器サポートなど目的別に種類がある
  • 療法食への切り替えは基本的には段階的に行うことが重要
  • 食べない場合はトッピングや温める、メーカーを変更するなどの対策が有効
  • 療法食の使用は必ず獣医師の指導のもとで行う

最後まで記事を読んで、犬猫の療法食について学んでみましょう。

療法食の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


療法食とは、特定の健康状態や疾患に対応するために、栄養成分が調整された動物用のフードです。

通常のペットフードとは異なり、タンパク質やミネラル、脂質などの特定の栄養素の量が調整されており、獣医師の指導のもとで使用されます。

療法食は以下のような目的で使用されます。

『栄養管理のサポート

腎臓病や尿路結石、消化器疾患などの健康問題を抱える犬猫に対して、適切な栄養バランスを提供します。

例えば、腎臓病用の療法食では、リンやナトリウム、タンパク質の含有量が調整されており、腎臓への負担を軽減するように設計されています。

『健康維持の補助かつ疾患の治療』

療法食は栄養管理を通じて健康維持をサポートすると共に疾患の治療方法の1つとして使用することがほとんどです。

適切な栄養バランスを維持することで、疾患の原因を減らしたり、再発を防いだりなどの効果が期待されます。

『症状の進行管理』

特定の健康状態において、食事による栄養管理を行うことで、症状の進行に配慮した対応が可能になります。

獣医師の診断と指導に基づいて適切な療法食を選択することが、犬猫の長期的な健康管理に役立ちます。


犬猫の療法食には、健康状態に応じてさまざまな種類があります。

項目内容
対象慢性腎臓病の犬猫
特徴リン、ナトリウム、タンパク質の含有量を調整
目的腎臓への負担を軽減し、健康管理をサポート

腎臓サポート療法食は、慢性腎臓病の犬猫のために、特定の栄養素が調整されたフードです。
腎臓は主に体内の老廃物をろ過する重要な器官ですが、機能が低下するとその働きが十分に行われなくなります。

このフードは、リンやナトリウムの含有量を制限し、良質なタンパク質を適切な量で配合することで、腎臓への負担を軽減します。

また、水分含量が多めのウェットタイプも用意されており、適切な水分補給を促進する役割も果たします。

腎臓病は進行性の疾患であるため、早期からの栄養管理が重要です。

項目内容
対象尿路結石、膀胱炎のある犬猫
特徴尿のpHバランスを調整、ミネラル含有量を制限
目的尿路の健康維持をサポート

尿路疾患サポート療法食は、尿路結石や膀胱炎などの尿路トラブルを抱える犬猫のためのフードです。

尿のpHバランスを適切に保つことで、結石の形成リスクに配慮した栄養管理を行います。

また、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル含有量が調整されており、結石の原因となる成分の過剰摂取を防ぎます。

さらに、犬猫が十分な水分を摂取できるように、ウェットタイプの製品が多く用意されています。

適切な食事選択と水分摂取により、尿路の健康を配慮した栄養管理が期待できます。

項目内容
対象下痢、嘔吐、消化不良のある犬猫
特徴消化しやすい成分、食物繊維を配合
目的消化器の健康維持をサポート

消化器サポート療法食は、消化器系に問題を抱える犬猫のために設計されたフードです。

消化に優しい成分で構成されており、胃腸への負担を軽減します。

また、適切な食物繊維が配合されており、腸内環境を整える役割を果たします。

下痢や嘔吐、食欲不振などの症状がある場合、消化器サポート療法食を使用することで、消化器系の健康維持と栄養管理が期待できます。

項目内容
対象体重管理が必要な犬猫
特徴低カロリー、高タンパク質、食物繊維を配合
目的適切な体重管理をサポート

肥満予防サポート療法食は、体重管理が必要な犬猫向けに開発されたフードです。

低カロリーでありながら、犬猫に必要な栄養素をバランスよく含んでおり、満腹感を得られる工夫がされています。

肥満は糖尿病や関節疾患、心臓病などさまざまな健康リスクを高めるため、適切な体重管理は犬猫の健康維持にとって重要です。

療法食を通じて、適切な体重管理をサポートすることが期待されます。

項目内容
対象食物アレルギーのある犬猫
特徴アレルゲンとなる成分を除去または低減
目的アレルギー症状の管理をサポート

アレルギー対応療法食は、特定の食物アレルギーを持つ犬猫のために開発されたフードです。

アレルギー反応が起きにくい原材料と成分が使用され、一般的に単一のタンパク源と炭水化物源で構成されています。

これにより、飼い主はアレルギーの原因を特定しやすくなります。

皮膚炎や消化器症状などのアレルギー症状がある場合、獣医師の診断のもとで適切な療法食を選択することが推奨されます。


療法食への切り替えは、獣医師からすぐに切り替えるよう指示がない限り、基本的に1週間かけて段階的に行いましょう。

急激な食事の変更は、犬猫にストレスを与え、消化不良や食欲不振の原因となることがあります。

療法食への切り替えは、一般的に以下のようなステップで行います。

日数従来のフード療法食
1〜2日目75%25%
3〜4日目50%50%
5〜6日目25%75%
7日目以降0%100%

最初の数日は、従来のフードに療法食を少量混ぜて与え、徐々に療法食の割合を増やしていきます。
この方法により、犬猫が新しいフードに慣れることができ、消化器官への負担も軽減されます。

  • 獣医師の指示に従って切り替えのペースを調整する
  • 犬猫の様子を観察し、下痢や嘔吐などの異常があればすぐに獣医師に相談する
  • 切り替え期間中は、他のフードやおやつを与えないようにする
  • 十分な水分摂取を促す

犬猫が療法食を食べてくれない場合、以下のような対策を試してみましょう。

獣医師の指導のもと、疾患の治療に影響を与えないトッピングを加えることで、嗜好性を高めることができます。

例えば、以下のようなトッピングが効果的です。

  • 鶏肉や魚のゆで汁
  • 少量の鶏ささみ(茹でたもの)
  • 犬猫用のスープ

ただし、トッピングの成分が療法食の目的に影響を与えないよう、必ず獣医師に相談してから使用しましょう。

ドライフードやウェットフードを少し温めることで、香りが引き出され、犬猫が食べやすくなることがあります。

電子レンジで10〜15秒程度温めるか、ぬるま湯をかけてふやかすなどの方法が有効です。

温めすぎると栄養素が損なわれる可能性があるため、人肌程度の温度を目安にしましょう。

食事をする場所を静かで落ち着いた場所に移すことで、ストレスを軽減し、リラックスして食事を取ることができるかもしれません。

周囲の騒音や刺激を排除し、落ち着いた環境を提供することが大切です。

また、食器の種類や高さを変えることで、食べやすくなる場合もあります。

1日の給餌回数を増やし、1回あたりの量を減らすことで、食べやすくなることがあります。

また、決まった時間に食事を与えることで、食事のリズムが生まれ、犬猫が食事を期待するようになります。

上記の対策を試しても療法食を食べない場合は、必ず獣医師に相談しましょう。
獣医師は、メーカーが異なっても目的が同じ療法食や、他の栄養管理方法を提案してくれます。

また、食欲不振の背景に病気の進行や他の問題がある可能性もあるため、早めの相談が重要です。


療法食を使用する際には、以下の点に注意しましょう。

療法食は必ず獣医師の指示に基づいて使用する必要があります。

自己判断での変更や中止は、犬猫の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
獣医師は、犬猫の健康状態に応じた最適な療法食を提案してくれます。

療法食の効果を最大限に引き出すためには、他のフードやおやつを与えないことが重要です。

特定の成分に制限がある療法食の場合、他の食べ物を与えることで、その効果が損なわれる可能性があります。
どうしてもおやつを与えたい場合は、必ず獣医師に相談しましょう。

犬猫の体重や健康状態に応じて、適切な給餌量を守ることが大切です。
過剰な給餌は肥満を招き、不足は栄養不足の原因となります。

療法食のパッケージに記載されている給餌量を参考にし、獣医師と相談しながら調整しましょう。

療法食を使用している間は、定期的に動物病院で健康状態を確認することが重要です。

獣医師の診察を受けることで、療法食の効果をモニタリングし、必要に応じて種類や給餌量を調整することができます。
血液検査や尿検査などを定期的に行い、健康状態の変化を把握しましょう。

療法食を使用する際は、十分な水分摂取を促すことが大切です。

特に腎臓病や尿路疾患の場合、適切な水分摂取が健康管理に重要な役割を果たします。
新鮮な水を常に用意し、複数の場所に水飲み場を設置するなどの工夫をしましょう。


A. はい。療法食は総合栄養食として設計されており、療法食と水だけで必要な栄養を満たせます。

A. 獣医師が優先すべき疾患を判断し、最適な療法食を選択します。必ず相談しましょう。

A. 疾患の種類や進行度によります。慢性腎臓病など継続が必要な場合と、一時的な使用で済む場合があります。

A. 療法食による適切な栄養管理は、病気の進行に配慮し、長期的な医療費の軽減にもつながります。


ここまで、犬猫の療法食について、主な種類や選び方、切り替え方法、食べない時の対策などを幅広く解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 療法食は特定の健康状態に応じて栄養成分が調整されたフード
  • 腎臓サポート、尿路疾患サポート、消化器サポートなど目的別に種類がある
  • 療法食への切り替えは段階的に行うことが重要
  • 食べない場合はトッピングや温めるなどの工夫が有効
  • 療法食の使用は必ず獣医師の指導のもとで行う

療法食は、犬猫の健康管理において重要な役割を果たすものであり、獣医師の指導のもとで適切に使用することが大切です。

愛犬・愛猫の健康状態に応じた療法食を選択し、栄養管理を通じて健康維持をサポートしましょう。
療法食に関して疑問や不安がある場合は、必ず獣医師に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

療法食の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了から最短翌日にお薬をお受け取りいただけます。
また、療法食に関するお悩みは、24時間いつでもLINEから薬剤師へご相談いただけます。
ねこあざらし薬店で販売している療法食は、以下からご覧ください。

【獣医師監修】犬猫の歯肉炎の治療薬は?インターベリーαの効果や使い方を解説

犬や猫の歯肉炎の症状を和らげるインターベリーαという医薬品があります。
この記事では、犬猫の歯肉炎について、主な原因や症状、インターベリーαの効果や使い方、自宅でできる口腔ケアなどを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 2歳以上の犬猫の約8割が歯周病に罹患している
  • インターベリーαは歯肉炎の症状を和らげる医薬品
  • 歯周病の悪化と慢性腎臓病の発症には強い相関関係がある
  • 自宅での口腔ケアは歯磨きが基本

最後まで記事を読んで、犬猫の歯肉炎とインターベリーαについて学んでみましょう

インターベリーαの購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


歯肉炎とは、口腔内に溜まった歯垢や歯石によって細菌が繁殖し歯茎に炎症が起こった状態のことをいいます。

歯周病は歯肉炎が悪化してしまった結果、歯の周囲の歯肉や骨などの組織が炎症を起こし破壊される疾患のことを示し、歯肉炎は歯周病の初期症状の一つです。

歯肉炎とは

2歳以上の犬や猫の約8割が歯周病に罹患しているといわれており、非常に多くのペットが歯周病のリスクにさらされています。

リスクの高い個体では1歳未満から歯周病が始まっていることもあるため、早期からの予防が重要です。

歯周病になると、以下のような症状が見られます。

  • 口臭
  • 食欲不振・体重減少
  • 眼の下の腫れ
  • 歯茎の赤み・腫れ
  • 口からの出血

歯周病の細菌が体内に侵入すると、さまざまな病気を引き起こすリスクが高まります。

特に猫では、歯周病の悪化と慢性腎臓病の発症との間に強い相関関係があることが指摘されております。
健康な歯を持つ猫と比較し中等度の歯周病の猫では約14倍、重度歯周病の猫では約35倍も慢性腎臓病を発症するリスクが高まると報告されています。

また、犬においても心臓の弁に菌が付着することで僧帽弁閉鎖不全症や感染性心内膜炎などの心疾患のリスクが高まるとの報告があります。


項目内容
有効成分改変イヌインターフェロン アルファ-4発現イチゴ果実凍結乾燥粉末
適応症犬および猫の歯肉炎の症状軽減
対象動物6ヶ月齢以上の犬および猫
内容量2.75g(10回分)

インターベリーαは、犬と猫の歯周病の初期症状の一つである歯肉炎の症状を和らげるための医薬品です。

2023年2月10日付けで猫の歯肉炎に対する適応症が承認され、犬だけでなく猫にも使用できるようになりました。

インターフェロンαは口腔内の免疫を活性化させる効果を持っています。
口の中の免疫バランスを改善し、歯周病の原因となる細菌数を減少させます。
それにより、歯肉炎の症状を軽減する効果が期待できます。

  • イチゴ風味で使いやすい
  • 動物用医薬品として国から承認を得ており、ペット保険の適用になる場合もある
  • スケーリングや歯みがき等、適切なオーラルケアを並行しながら定期的に使用することで歯周病の進行を抑制することが期待できる

『用法・用量

インターベリーαの使い方は以下のとおりです。

  1. 獣医師が本剤1包装分(2.75g:10回分)を1回分ずつに分包する
  2. 飼い主は指先を水道水で濡らして本剤の1回分を1日1回、犬または猫の歯肉に塗り込み投与する
  3. 投与は3~4日に一回の間隔で合計10回行う

大体週2回、合計5週間使うイメージです。

『使用時の注意点

インターベリーは歯肉に塗る薬です。飲ませても効果はありません
・指先に水を少しつけて、その水でインターベリーの粉を溶かしながら歯肉に塗る
・力加減に注意し、できるだけ優しく行う


歯周病を予防するためには、日頃の口腔ケアが重要です。

最も良いとされる方法はペット用のデンタルブラシで歯磨きをしてあげることです。
できれば毎日、お家でのデンタルケアを実践しましょう。

嫌がる犬や猫も少なくないので、少しずつ時間をかけて習慣づけてあげることが大切です。

まずはお口周りを触ってみて嫌がらなければ、前歯から始めて奥歯までタッチできるか挑戦します。

問題なく歯に触れるようになれば、愛犬や愛猫が好きな風味のデンタルジェルなどを指先につけてゆっくりと歯を磨いてあげるようにしましょう。

デンタルジェルでの歯磨きが上手にできるようになったら、いよいよ歯ブラシを使用して磨いてあげてみてください。

歯ブラシでの歯磨きが難しい場合は、以下のような方法もあります。

・使い捨てタイプの歯磨きシート
・おもちゃタイプ:楽しく遊びながらケア
・おやつタイプ:自然と噛むだけでケア
・デンタルジェル

・歯周病の兆候がある場合、歯茎がもろくなっていて出血や痛みを感じやすいことがあります
・犬や猫が不快感を覚えると、後々の歯のケアが難しくなる可能性があります


ここまで、犬猫の歯肉炎について、主な原因や症状、インターベリーαの効果や使い方、自宅でできる口腔ケアなどを幅広く解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 2歳以上の犬猫の約8割が歯周病に罹患している
  • インターベリーαは歯肉炎の症状を和らげる医薬品
  • 歯周病の悪化と慢性腎臓病や心疾患の発症には強い相関関係がある
  • 自宅での口腔ケアは歯磨きが基本

犬猫の歯周病は多くのペットが抱える問題であり、早期からの予防と適切な治療が重要です。

インターベリーαは歯肉炎の症状を和らげる効果が期待できますが、日頃の口腔ケアも並行して行うことが大切です。歯肉炎の症状が見られたら、まずはお近くの動物病院を受診し、獣医師の指示を理解した上で適切にお薬を使用しましょう。

なお、インターベリーαの購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了から最短翌日にお薬をお受け取りいただけます。
また、お薬に関するお悩みは、24時間いつでもLINEから薬剤師へご相談いただけます。
ねこあざらし薬店で販売しているインターベリーαは、以下からご覧ください。

犬猫の主な寄生虫は?各寄生虫の駆虫薬について解説【獣医師執筆】 

この記事では、犬や猫の主な寄生虫について解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 犬や猫の寄生虫は「内部寄生虫」と「外部寄生虫」の大きく2種類に分かれる
  • 犬の主な内部寄生虫は犬回虫や犬鉤虫、瓜実条虫など
  • 猫の主な内部寄生虫は猫回虫や猫鉤虫、瓜実条虫など
  • 外部寄生虫にはノミやマダニ、ヒゼンダニなどがある
  • 寄生虫を予防するためには、定期的な駆虫薬の投与や衛生管理が重要

最後まで記事を読んで、犬や猫の主な寄生虫について学んでみましょう。

犬猫のお薬についてお悩みの方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


犬や猫の寄生虫は、大きく分けてA. 内部寄生虫B. 外部寄生虫の2種類に分かれます。

それぞれの寄生虫について、その特徴や代表的な種類について見ていきましょう。

内部寄生虫とは、その名のとおり体の中に寄生する寄生虫です。

内部寄生虫はその種類によって、胃や腸、肝臓など、さまざまな臓器に寄生します。

犬や猫の内部寄生虫は、大きく分けて線虫と条虫の2種類が存在し、線虫はさらに回虫や鉤虫、鞭虫などの種類に分類されます。

分類 代表的な寄生虫 主な宿主 
回虫 犬回虫、犬小回虫、猫回虫 犬、猫 
鉤虫 犬鉤虫、猫鉤虫 犬、猫 
鞭虫 犬鞭虫 犬 
分類 代表的な寄生虫 主な宿主 
条虫 瓜実条虫、猫条虫、マンソン裂頭条虫、エキノコックス 犬、猫 

以下に、内部寄生虫における詳細をご紹介します。

線虫とは、線形動物門に分類される、細長い形をした内部寄生虫の総称です。

代表的な線虫には回虫や鉤虫、鞭虫などがあり、さらに寄生する動物によって犬回虫や猫鉤虫などに細かく分類されます。

分類 代表的な寄生虫 主な宿主 
回虫 犬回虫、犬小回虫、猫回虫 犬、猫 
鉤虫 犬鉤虫、猫鉤虫 犬、猫 
鞭虫 犬鞭虫 犬 

代表的な線虫について、その詳細を解説します。

回虫は、主に虫卵の付いた食べ物を食べたり、回虫に感染した母親の胎盤を介して妊娠中に感染したりします。

症状は無症状のことが多いですが、寄生数が多くなると下痢や食欲不振、成長不良、体重減少などが現れ、重症例では腸閉塞を起こす場合があります。

寄生虫は最終的に腸に寄生し、感染した犬や猫は糞便中に虫卵を排出するようになります。

この虫卵を介して同居の犬や猫、人にも感染するため、糞便はしっかりと処理し、日頃から外に落ちている食べ物を食べさせないことが重要です。

感染してしまった場合は駆虫薬を投与し、完全に寄生虫を駆除できるまでお薬を投与します。

鉤虫とは、頭部に鉤(かぎ)のような構造を持った、体長1cm〜2cmほどの細長い寄生虫です。

鉤虫は、小腸の壁に鉤を引っ掛けて吸血することで寄生します。

鉤虫に感染すると、下痢や血便、食欲不振などの症状が見られますが、寄生虫の数が少ないと症状が出ないこともあります。

寄生した鉤虫は虫卵を排出し、その虫卵は犬や猫の糞便によって環境に排泄され孵化します。

この孵化した幼虫を体内に取り込むことで、鉤虫は新しい動物に感染します。

鉤虫の感染経路は以下のとおりさまざまです。

【鉤虫の感染経路】

  • 経皮感染
  • 経口感染
  • 経乳感染
  • 経胎盤感染

鉤虫に感染してしまったら、駆虫薬を投与し、貧血を起こしている場合は輸液・輸血なども行います。

条虫(サナダムシ)とは、扁形動物門の条虫網に分類される、扁平で細長い形が特徴の内部寄生虫です。

条虫の体は、図のように片節(へんせつ)が多数つながってできています。

犬や猫に寄生する代表的な条虫には以下のようなものがあります。

分類 代表的な寄生虫 主な宿主 
条虫 瓜実条虫、猫条虫、マンソン裂頭条虫、エキノコックス 犬、猫 

代表的な条虫について、その詳細を解説します。

瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)とは、犬と猫の両方に寄生する条虫です。

原因はノミやハジラミで、瓜実条虫を持ったノミやハジラミを口にすることで感染します。

【主な症状】

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 体重減少

瓜実条虫への感染が疑われる場合は、糞便検査を行って糞便中の片節を確認します。

治療には駆虫薬が使用され、治療開始後は継続して糞便検査を行い、完全に駆虫されるまで駆虫薬を投与します。

猫条虫は、猫に感染する条虫の一種です。

その原因はネズミで、猫条虫を持ったネズミを捕食することで猫は感染します。

【主な症状】

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 体重減少

猫条虫は小腸に寄生して成長し、糞便中に米粒のような片節を排泄するようになります。

治療には駆虫薬を使用し、完全に駆除できるまで継続して駆虫薬を投与します。

外部寄生虫とは、その名のとおり体の外に寄生する寄生虫です。

主に、犬や猫の皮膚や毛に寄生し、炎症やかゆみを引き起こします。

ノミは体長1mm〜2mmほどの小さな昆虫で、犬や猫、人の血液を吸い、かゆみを引き起こします。

野良犬や野良猫に寄生していることが多いです。

マダニとは体長3mm〜8mmほどの昆虫で、犬や猫の血液を吸い、かゆみや皮膚炎などを引き起こします。

また、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のような致死率の高い感染症を媒介します。

森林や公園、河原などに生息し、散歩中のペットや人に寄生します。

関連記事:マダニから感染する猫のSFTSとは?感染経路や症状、予防法を解説

ニキビダニ(毛包虫)は体長0.2mm〜0.3mmほどの非常に小さな昆虫です。

健康な犬や猫でもニキビダニが常在しており、症状がないことがほとんどですが、子犬や免疫の弱った成犬では脱毛が部分的〜全身に広がることがあります。

ヒゼンダニは、体長0.2mm〜0.4mmほどの非常に小さな昆虫です。

疥癬症(かいせんしょう)という皮膚疾患の原因となり、非常に強いかゆみやフケ、かさぶたなどを引き起こします。

すでに感染している動物との接触により感染するため、定期的なシャンプーや部屋をきれいに掃除することが予防には重要です。

シラミ・ハジラミは、体長2mm〜3mmほどの小さな昆虫です。

シラミは血を吸い、ハジラミは主にフケや皮脂を食べます。

症状は無症状〜強いかゆみが現れるものまでさまざまで、フケや脱毛が生じる場合もあります。


ここまで、犬猫の主な寄生虫を紹介してきましたが、寄生虫を予防・早期治療するためには以下のような対策が重要です。

  • 動物病院で定期的に健康診断を受ける
  • 獣医師の指示を理解し、定期的に駆虫薬を投与する
  • カーペットや布団などを清潔にし、寄生虫の繁殖を抑える

日頃から駆虫薬の投与や清掃を徹底し、愛犬・愛猫を寄生虫から守りましょう。


ここまで、犬や猫の主な寄生虫について解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 犬や猫の寄生虫は「内部寄生虫」と「外部寄生虫」の大きく2種類に分かれる
  • 犬の主な内部寄生虫は犬回虫や犬鉤虫、瓜実条虫など
  • 猫の主な内部寄生虫は猫回虫や猫鉤虫、瓜実条虫など
  • 外部寄生虫にはノミやマダニ、ヒゼンダニなどがある
  • 寄生虫を予防するためには、定期的な駆虫薬の投与や衛生管理が重要

犬猫の寄生虫感染を防ぐには、動物病院への定期的な通院や駆虫薬の投与が重要です。

獣医師の指示を理解した上で、適切にお薬を使用しましょう。

犬猫のお薬についてお悩みの方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了から最短翌日にお薬を受け取れます。

また、お薬に関するお悩みは、24時間いつでもLINEから薬剤師へ相談可能です。

ねこあざらし薬店の詳細は以下からご覧ください。

犬や猫で多い皮膚疾患は?症状や原因、治療法を解説【獣医師執筆】 

この記事では、犬や猫で多い皮膚疾患について、主な原因や症状、治療薬、自宅でできる対策などを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 犬や猫に多い皮膚の病気には、マラセチア症や膿皮症、アレルギー性皮膚炎などがある
  • 治療は外用薬やシャンプー、駆虫薬など疾患によってさまざま
  • 皮膚疾患を予防するには、日頃のブラッシングやシャンプー、栄養管理が大切

最後まで記事を読んで、犬や猫で多い皮膚疾患について学んでみましょう。

犬猫のお薬についてお悩みの方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


犬や猫の皮膚疾患は、以下のとおり症状によってさまざまなものが考えられます。

【犬】

症状原因
痒みがある外耳炎、耳ダニ、疥癬、皮膚糸状菌症、マラセチア症、食物アレルギー、アレルギー性皮膚炎など
皮膚が赤いマダニ・ノミの寄生、皮膚糸状菌症、毛包虫症、疥癬、膿皮症、アレルギー性皮膚炎、マラセチア症など

【猫】

症状原因
痒みがあるノミ・ハジラミ・マダニの寄生、毛包虫症、疥癬、膿皮症、マラセチア症、アレルギー性皮膚炎など
皮膚が赤い毛包虫症、皮膚糸状菌症、ノミ・マダニの寄生、疥癬、膿皮症、アレルギー性皮膚炎、マラセチア症など

1つの症状から特定の疾患を診断することは難しく、複数の症状や年齢、検査結果などを考慮して皮膚疾患を診断していく必要があります。


原因マラセチアというカビ(真菌)
症状痒み、赤み、フケ、脱毛など
治療抗真菌薬(外用薬・内服薬)、シャンプー、外耳道洗浄など
予防定期的なシャンプーや耳道ケア

マラセチアとはカビの1種で、健康な犬や猫の皮膚に元からいる常在菌です。

このマラセチアが何らかの原因で過剰に増殖し皮膚炎が起こった状態をマラセチア症(マラセチア皮膚炎)といいます。

猫では珍しく、犬で一般的な疾患です。

原因にはアレルギーや甲状腺機能低下症などさまざまな疾患があり、垂れ耳で耳の中が蒸れやすい犬種で起こりやすいという特徴があります。

発症すると、痒み、赤み、フケ、脱毛などが現れ、慢性化すると特有の臭いが出る、色素沈着が起こる、皮膚が分厚くなるといった症状が出ます。

治療は抗真菌作用のある薬用シャンプーを使うほか、シャンプーだけでは効果がない場合は外用薬あるいは内服薬の抗真菌薬も用います。

マラセチア性外耳炎の場合は、外耳道洗浄を行うこともあります。

関連記事:犬が耳を痒がる原因は?治療薬や自宅でできる対策を解説【獣医師執筆】

原因細菌感染
症状痒み、赤み、ぶつぶつ、皮剥け、腫れ、痛みなど
治療抗生剤(内服薬)、シャンプーなど
予防湿度を適切に保つ、定期的なブラッシングで皮膚を清潔に保つ

膿皮症(のうひしょう)とは、細菌感染による皮膚病です。

他の皮膚病によって皮膚のバリア機能が低下していたり、免疫力が低下していたりすると発症しやすいです。

猫よりも犬に多い疾患で、細菌が感染する皮膚の深さによって、浅在性膿皮症と深在性膿皮症に分けられます。

浅在性膿皮症では赤みや痒み、ぶつぶつ、皮剥けなどが、深在性膿皮症では赤紫色の腫れや痛み、血や膿が出るなどの症状が現れます。

治療には抗生物質の内服のほか、抗菌作用のあるシャンプーを併用することもあります。

原因カビや花粉などによるアレルギー
症状痒み、脱毛など
治療シャンプー、保湿剤、ステロイド外用薬などによる症状緩和が中心
予防遺伝的要因が大きいため難しい

アレルギー性皮膚炎とは、顔、手足、お腹、脇の下、耳などに皮膚炎が繰り返し起こる病気です。

カビや花粉などによるアレルギーが原因と考えられていますが、発症の詳細なメカニズムは不明です。

強い痒みが生じる、かくことによって脱毛が起こります。

慢性化すると皮膚がベタつく、黒ずむ、厚くなるなどの症状が出ることもあります。

アレルギー性皮膚炎は完全に治すことが難しいため、症状を抑える治療が中心です。

主にシャンプーや保湿剤、ステロイドのような外用薬を用いて、痒みや炎症を抑え、皮膚を健康に保つことを目指します。

原因毛包虫(ニキビダニ)
症状脱毛など
治療駆虫薬、シャンプーなど
予防生活環境をきれいにする、ストレスを与えない

毛包虫症(ニキビダニ症)とは、毛包虫(ニキビダニ)という寄生虫が毛穴に寄生する病気のことです。

毛包虫は健康な動物に常在していることが多く、子犬や子猫、免疫力の低下した個体で発症することが多いです。

発症すると、顔や口、目、手足の先端に部分的な脱毛が起こり、状態によっては全身に脱毛が広がることもあります。

治療にはニキビダニを殺す駆虫薬を投与するほか、シャンプーにより皮脂やフケを減らしたり、免疫力を低下させる他の病気がある場合はその治療も行います。

予防には、生活環境をきれいにし、ストレスを与えないことが重要です。

原因皮膚糸状菌というカビ(真菌)
症状フケやかさぶた、脱毛、赤み、ぶつぶつなど
治療抗真菌薬(内服薬・外用薬)、抗真菌薬を含んだシャンプーなど
予防感染した動物へは触らない、土の上をなるべく歩かない

皮膚糸状菌症とは、皮膚糸状菌というカビが感染することにより引き起こされる病気です。

「土」や「皮膚糸状菌に感染した他の動物」から感染し、フケやかさぶた、脱毛、赤み、ぶつぶつなどの症状を引き起こします。

治療には抗真菌薬の内服薬や外用薬を用いるほか、抗真菌薬を含んだシャンプーも有効です。

人や他の動物にうつるため注意が必要で、世話をする時は感染した動物へは触らず、毛を家の中に広げないようにしましょう。


犬や猫の皮膚疾患を予防するためには、以下のような日常のケアが重要です。

  • 定期的なブラッシングやシャンプーで皮膚と被毛を清潔に保つ
  • 栄養バランスの良い食事を与える
  • ノミやダニの予防薬を継続的に使用する
  • 室温や湿度を適切に保つ
  • 部屋をこまめに掃除する
  • 症状があれば早めに獣医師に相談する

皮膚トラブルは慢性化することも多いため、何か異常が見られたら早めに動物病院へ相談するようにしましょう。 


ここまで、犬や猫で多い皮膚疾患について、主な原因や症状、治療薬、自宅でできる対策などを幅広く解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 犬や猫に多い皮膚の病気には、マラセチア症や膿皮症、アレルギー性皮膚炎などがある
  • 治療は外用薬やシャンプー、駆虫薬など疾患によってさまざま
  • 皮膚疾患を予防するには、日頃のブラッシングやシャンプー、栄養管理が大切

犬猫の皮膚疾患にはさまざまな種類があり、原因や治療法も疾患によって大きく異なります。

皮膚トラブルが見られたら、まずはお近くの動物病院を受診し、獣医師の指示を理解した上で適切にお薬を使用しましょう。

犬猫のお薬についてお悩みの方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了から最短翌日にお薬をお受け取りいただけます。

また、お薬に関するお悩みは、24時間いつでもLINEから薬剤師へご相談いただけます。

ねこあざらし薬店の詳細は以下からご覧ください。

犬の胃腸薬のおすすめは?薬の種類や使い分けを解説【獣医師執筆】

犬の適切な胃腸薬は、症状や原因によって異なります。

この記事では、犬の胃腸症状について、主な症状や原因、薬の種類、使い分けなどを解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 犬の主な胃腸症状は、嘔吐や下痢、食欲不振など
  • 犬の胃腸薬は「消化管の運動を改善」「腸内バランスを整える」など種類は様々
  • 症状と原因に応じて、適した治療薬を選択することが重要
  • 嘔吐や下痢の裏に重大な病気が隠れていることもある

最後まで記事を読んで、犬の胃腸薬について学んでみましょう。

胃腸薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


犬の胃腸症状の種類には、主に嘔吐や下痢、食欲不振などがあります。

以下に、それぞれの症状から考えられる原因をまとめました。

症状考えられる原因
嘔吐・中毒
・寄生虫
・異物誤飲
・巨大食道症
下痢・中毒
・寄生虫
・腸リンパ管拡張症
・がん
食欲不振・中毒
・巨大結腸症
・急性腎障害
・巨大食道症

同じ症状でも原因によって様子が異なり、下痢であれば、ジアルジアという寄生虫に感染すると血便が生じます。

一方、腸リンパ管拡張症※では、脂肪が混ざった下痢や軟便が長時間続くことが特徴です。

※腸リンパ管拡張症:腸のリンパ管が詰まって、リンパ液が腸の中に漏れてしまう病気

このように、犬の胃腸症状は種類によってさまざまな原因が考えられます。


では、犬用の胃腸薬にはどのような種類があるのでしょうか。

ここからは、市販の主な犬用胃腸薬を6つ紹介します。

【市販の主な犬用胃腸薬の適応】

製品名プロナミド錠ディアバスター錠ビオイムバスター錠ボミットバスター錠デルクリアー動物用ビオスリー
適応嘔吐
食欲不振
下痢
腹痛
下痢
食欲不振
消化不良
嘔吐
食欲不振
下痢
食欲不振
消化不良
腹痛
下痢
有効成分モサプリドクエン酸塩水和物
適応嘔吐、食欲不振

プロナミド錠は、消化管の運動を促進することで、嘔吐や食欲不振を改善する治療薬です。

有効成分の「モサプリドクエン酸塩水和物」が、アセチルコリンという消化管の運動に働く神経伝達物質の分泌を促進することで、症状を緩和すると考えられています。

有効成分・タンニン酸ベルベリン
・次硝酸ビスマス
・ゲンノショウコ乾燥エキス
・五倍子末
・ロートエキス散
適応下痢、腹痛

ディアバスター錠は、5種類の有効成分を含む下痢のお薬です。

各成分が以下のようにさまざまな作用を示し、下痢の症状を抑えます。

有効成分作用
タンニン酸ベルベリン殺菌・収れん・止血
腸内でベルベリン(殺菌)とタンニン酸(収れん・止血)に分解される
次硝酸ビスマス粘膜保護・止瀉
潰瘍面に保護皮膜を形成、硫化水素と結合し腸運動を抑制
ゲンノショウコ乾燥エキス止瀉・収れん
小腸蠕動抑制、盲腸逆蠕動促進、タンニンによる粘膜保護皮膜形成
五倍子末抗炎症・収れん・抗菌
高濃度タンニンにより炎症抑制、収れん、止血、抗菌・抗ウイルス作用
ロートエキス散抗コリン・鎮静
ベラドンナアルカロイドによる副交感神経抑制、胃酸分泌抑制、腸運動抑制

後述のビオイムバスター錠と併用することで、より高い効果が期待できるといわれています。

有効成分・有胞子性乳酸菌
・パンクレアチン
適応下痢、食欲不振、消化不良

ビオイムバスター錠は、乳酸菌や消化酵素の働きによって下痢や食欲不振を改善するお薬です。

有胞子性乳酸菌が腸内細菌のバランスを整え「消化吸収の補助」「免疫機能の活性化」などの効果をもたらします。

また、パンクレアチンにはさまざまな消化酵素が含まれており、糖やタンパク質、脂肪を分解することで、消化吸収を助ける役割をします。

乳酸菌が含まれているため、抗菌薬との併用により本剤の効果が弱まる可能性があるため注意が必要です。

前述のディアバスター錠と併用することで、より高い効果が期待できるといわれています。

有効成分塩酸メトクロプラミド
適応嘔吐、食欲不振

ボミットバスター錠は、主に嘔吐を改善するお薬です。

有効成分の「塩酸メトクロプラミド」が、脳の嘔吐中枢に作用し、吐き気を抑えます。

また、アセチルコリンによって消化管の運動を促進する作用もあるといわれており、食欲不振にも効果が期待できます。

有効成分・タンニン酸ベルベリン
・ゲンノショウコ末
・ロートエキス3倍散
・ウルソデオキシコール酸
適応下痢、食欲不振、消化不良、腹痛

デルクリアーは、4つの有効成分が含まれた下痢のお薬です。

各成分が以下のようにさまざまな作用を示し、下痢や食欲不振を改善します。

有効成分作用
タンニン酸ベルベリン腸内の有害細菌に対する殺菌と収れん防腐作用
ゲンノショウコ末便通を整え、腹部膨満の改善作用
ロートエキス3倍散鎮痛及び鎮痙作用
ウルソデオキシコール酸利胆及びリパーゼ活性促進作用

タンニン酸ベルベリンはディアバスター錠にも含まれていますが、デルクリアーは2倍量のタンニン酸ベルベリンを含んでいる点が特徴です。

有効成分・ラクトミン
・糖化菌
・酪酸菌
適応下痢

動物用ビオスリーは、3種類の生きた菌が含まれたお薬です。

腸内に届いた菌が乳酸や酪酸を産生し、腸内を酸性にすることで病原菌の発育を阻害します。

また、これらの菌は消化酵素を産生し、消化吸収を助ける役割も担います。

生きた菌が含まれているので、本剤の効果を弱める可能性のある抗菌薬には注意しましょう。


犬の症状や原因によって、適した胃腸薬は異なります。

検査をしても原因が特定できない場合や、検査自体が難しい場合には、以下の様な症状を和らげるための対症療法が行われます。

一方で、症状の原因が明らかになった場合には、その原因疾患の治療が優先されます。

  • 胃潰瘍や食道炎が原因→消化管粘膜保護剤
  • 炎症性腸疾患が原因→ステロイド
  • 寄生虫感染が原因→駆虫薬

このように、胃腸薬の使い分けは症状や原因によって異なりますが、一般的な嘔吐や下痢でも重大な病気が隠れている可能性があります。

もし嘔吐や下痢が長引いたり、症状が悪化したりするようであれば、自己判断せず必ず獣医師に相談しましょう。


ここまで、犬の胃腸症状について、主な症状や原因、薬の種類、使い分けなどを解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 犬の主な胃腸症状は、嘔吐や下痢、食欲不振など
  • 犬の胃腸薬は「消化管の運動を改善」「腸内バランスを整える」など種類は様々
  • 症状と原因に応じて、適した治療薬を選択することが重要
  • 嘔吐や下痢の裏に重大な病気が隠れていることもある

胃腸薬は症状に対する対症療法として使用されることが多いですが、症状が続く場合は、自己判断せずに獣医師に相談することが大切です。

犬の胃腸薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了後、最短で翌日にお薬をお受け取りいただけます。

また、お薬に関するご不安やご相談は、24時間いつでもLINEを通じて薬剤師に相談可能です。

当店で取り扱っている胃腸薬は、以下よりご確認ください。

犬が耳を痒がる原因は?治療薬や自宅でできる対策を解説【獣医師執筆】

犬が耳をかゆがる主な原因は「外耳炎」です。

この記事では、犬の外耳炎について、主な原因や症状、治療薬、自宅でできる対策などを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 外耳炎には、湿気やアレルギー、寄生虫などさまざまな原因がある
  • 外耳炎の主な症状は「耳をかゆがる」「耳が臭う」「耳の中が赤い」など
  • 外耳炎は自然には治りにくく、動物病院における治療が必要
  • 外耳炎の主なお薬は「抗生物質」「抗真菌薬」「ステロイド」の3種類
  • 自宅では耳掃除は基本的に必要ない

最後まで記事を読んで、犬の外耳炎について学んでみましょう。

なお、外耳炎のお薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


犬が耳をかゆがる原因にはさまざまなものが考えられますが、そのほとんどは外耳炎です。

外耳炎とは、外耳道(がいじどう)に炎症が起こった状態の総称です。

外耳道:耳の穴から鼓膜までの間の通路

外耳炎の直接的な原因には、アレルギーや異物、耳ダニ、腫瘍などがあります。

また、耳の中の湿度の高さも、外耳炎を発症する要因となります。

湿度が高いと耳の中の壁が柔らかくなり、皮膚のバリア機能が低下して炎症が起こりやすくなるからです。

耳の中の毛が多い、耳が垂れている、耳の穴が小さいなどの特徴を持つ犬種は耳の中の湿度が高くなりやすいため、外耳炎を発症しやすいといわれています。

具体的には、以下のような犬種が外耳炎の好発犬種です。

  • ダックスフント
  • プードル
  • アメリカンコッカスパニエル
  • レトリバー
  • ウエストハイランドホワイトテリア
  • フレンチブルドッグ

関連記事:「獣医師がオススメする犬のノミダニ薬6選!効果の違いや選び方を解説」

犬が外耳炎にかかると、一般的には以下のような症状が見られます。

  • 耳のかゆみ
  • たくさんの耳垢
  • 耳の臭い
  • 耳の赤みや腫れ
  • 耳のただれ

また、「耳に触ると嫌がる」「頭を振る」「頭を壁や床にこすりつける」などの行動が見られます。


外耳炎は自然には治りにくいため、外耳炎を疑う症状が見られたら、まずはお近くの動物病院に相談しましょう。

外耳炎にはアレルギーや異物、耳ダニなどの根本的な原因があるため、まずは原因を診断し治療する必要があります。

また、外耳炎は耳掃除では治りません。

むしろ、適切な治療を受けずに耳掃除を続けると、外耳炎が慢性化し、中耳炎へと進行する可能性があります。

また、耳の状態によっては耳道を切り抜く手術が必要になることもあります。

出典:日本ペット栄養学会「ペット栄養学会誌」


外耳炎の治療薬は主に以下の3つがあり、耳に薬剤を滴下する点耳薬(てんじやく)が一般的です。

  • 抗生物質
  • 抗真菌薬
  • ステロイド

点耳薬は、耳道の洗浄や拭き取りとあわせて使用されます。

また、異物や耳ダニ、腫瘍のような根本的な原因がある場合は、それらの原因に対する治療も行われます。

外耳炎の治療薬は、以下のとおり種類によって作用が異なります。

作用
抗生物質(抗菌薬・抗生剤)細菌を殺したり、増殖を抑えたりする
抗真菌薬真菌(カビ)を殺したり、増殖を抑制したりする
ステロイド炎症を抑え、かゆみや痛みを改善する

また、同じ種類の薬でも有効成分が異なれば効果も変わり、抗生物質や抗真菌薬では効果のある菌種が、ステロイドでは抗炎症作用の強さが異なります。

有効成分の種類は製品によって異なり、上記のうち2種類以上の成分が配合されている製品(合剤)もあれば、1種類のみ配合されている製品(単剤)もあります。

合剤は抗菌作用や抗炎症作用などをあわせて期待できる、単剤は不要な薬剤を使用しない点がメリットです。

外耳炎の代表的な治療薬を、合剤と単剤でそれぞれ以下にまとめました。

製品名イズオティックオスルニアネプトラモメタオティックヒビクス
抗生物質
抗真菌薬
ステロイド
用法用量片耳あたり1回につきポンプ1プッシュを1日1回、連続5日間投与する本剤1本全量を耳道内に投与し、初回投与から7日後に再度投与する本剤全量を単回投与する片耳当たり1日1回滴下する症状に応じて、患部に1日1~3 回塗布する

どのお薬が適しているかは、外耳炎の原因や症状の程度によって変わります。

例えば、真菌性外耳炎と診断できる場合は抗真菌薬、アレルギーが原因の場合はステロイドが使用されます。

合剤は、抗菌作用や抗炎症作用など、複数の効果がある点がメリットです。

外耳炎は原因を特定する前に症状が進行することが多いため、まずは症状を抑える目的で合剤を使うことも多いです。

製品名ミミィーナコルトティック
お薬の種類抗真菌薬ステロイド
用法用量1回4~5滴、1日2回耳道内に滴下する片耳あたり1回につきポンプ2プッシュを1日1回、連続7~14日間投与する。

単剤は、外耳炎の原因が明らかである場合に適しています。

単剤は、他の薬剤による副作用のリスクが低い、不要なお薬により薬剤耐性菌が生じるリスクが少ないなどがメリットです。

薬剤耐性菌:抗生物質や抗真菌薬を使い続けていると生じる、お薬に抵抗力を持った菌


外耳炎の発症を防ぐためには、普段から以下の点に注意しましょう。

  • 基本的に耳掃除はしない
  • シャワーのときに耳に水が入らないようにする
  • 耳の中を強くこすらない

健康な犬の場合、耳の中にはほとんど耳垢がないか、黄色い耳垢が少し付いている程度です。

基本的に、頻繁に耳掃除が必要になることはありません。

湿気は外耳炎の原因になるので、シャンプーのあとはコットンやガーゼで優しく耳の中の水分を拭き取ってあげましょう。

耳の中はデリケートなので、シャンプーで耳の中を洗ったり、綿棒で強くこすったりすることはNGです。

外耳炎は耳掃除だけでは治らないため、もし耳の中が赤かったり、耳垢がたくさん溜まっていたりした場合は、まずはお近くの獣医師に相談してください。

出典:福岡市獣医師会「耳の病気」


ここまで、犬の外耳炎について、主な原因や症状、治療薬、自宅でできる対策などを幅広く解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 外耳炎には、湿気やアレルギー、寄生虫などさまざまな原因がある
  • 外耳炎の主な症状は「耳をかゆがる」「耳が臭う」「耳の中が赤い」など
  • 外耳炎は自然には治りにくく、動物病院における治療が必要
  • 外耳炎の主なお薬は「抗生物質」「抗真菌薬」「ステロイド」の3種類
  • 自宅では耳掃除は基本的に必要ない

犬が耳を痒がるときには、外耳炎や耳ダニなどさまざまな原因が考えられるため、まずは獣医師に耳のかゆみの原因を診断してもらうとよいでしょう。

また、外耳炎の治療に使われる抗生物質や抗真菌薬は、使い方を誤ると薬剤耐性菌というお薬が効かない菌が現れる可能性があります。

「外耳炎の症状かな?」と思ったら、まずはお近くの動物病院を受診し、獣医師の指示を理解した上で適切にお薬を使用しましょう。

なお、外耳炎のお薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了から最短翌日にお薬をお受け取りいただけます。

また、お薬に関するお悩みは、24時間いつでもLINEから薬剤師へご相談いただけます。

ねこあざらし薬店で販売している外耳炎のお薬は、以下からご覧ください。

動物用医薬品の個人輸入は違法?合法?農林水産省の最新の解釈を解説

この記事では、動物用医薬品の個人輸入について、法的な解釈や手続き、リスクなどを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 動物用医薬品の個人輸入は適切な手続きを行えば合法
  • 要指示医薬品の個人輸入には獣医師の処方箋が必要
  • 個人輸入には通関トラブル、偽造品、副作用等の様々なリスクが存在
  • 日本で承認されている動物用医薬品と海外輸入製品では安全性に大きな差がある

最後まで記事を読んで、動物用医薬品の個人輸入について正しい知識を身につけましょう。

なお、安全で確実な動物用医薬品の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

動物用医薬品の個人輸入の法的解釈


近年、インターネット上では動物用医薬品の個人輸入代行を行うサイトが存在していますが、これらの個人輸入は本当に合法なのでしょうか?

動物用医薬品の個人輸入について、農林水産省および東京都産業労働局の最新の見解をもとに、法的な解釈を詳しく解説します。

なお、動物用医薬品の個人輸入とは、海外で販売されている動物用医薬品を個人が直接購入または輸入代行を通じて購入し、日本に輸入することです。

基本的な合法性について

農林水産省の定める手続きを適正に行えば、動物用医薬品の個人輸入は合法です。

獣医師以外の者の場合は、自分が飼養する動物用として輸入することが可能とされています。
ただし、これはあくまで「適切な手続きを行った場合」に限られ、無制限に何でも輸入できるわけではありません。

要指示医薬品の個人輸入について

要指示医薬品を個人輸入する場合は、獣医師の処方箋または指示書が必要です。

※要指示医薬品の例:フィラリア予防薬、抗生物質、心臓病の薬、鎮静剤、ホルモン剤など

この規制は薬機法第49条に基づくもので、要指示医薬品は「その使用に当たって獣医師の専門的知識と技術を必要とするもの、副作用の強いもの、病原菌に対して耐性を生じやすいもの等、その使用期間中獣医師の特別な指導を必要とするもの」として指定されています。

薬機法第49条では、薬局開設者や医薬品販売業者は、獣医師から処方箋の交付や指示を受けた者以外に対して、要指示医薬品を販売・授与してはならないと規定されており、個人輸入においてもこの規制が適用されます。

【薬機法】
(処方箋医薬品(要指示医薬品)の販売)

第四十九条 薬局開設者又は医薬品の販売業者は、医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付(処方箋の交付又は指示)を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく、厚生労働大臣(農林水産大臣)の指定する医薬品を販売し、又は授与してはならない。ただし、薬剤師等に販売し、又は授与するときは、この限りでない。

2 薬局開設者又は医薬品の販売業者は、その薬局又は店舗に帳簿を備え、医師、歯科医師又は獣医師から処方箋の交付(処方箋の交付又は指示)を受けた者に対して前項に規定する医薬品を販売し、又は授与したときは、厚生労働省令(農林水産省令)の定めるところにより、その医薬品の販売又は授与に関する事項を記載しなければならない。

3 薬局開設者又は医薬品の販売業者は、前項の帳簿を、最終の記載の日から二年間、保存しなければならない。

出典:農林水産省「海外から動物用医薬品等を購入しようとされている方へ」

数量制限について

動物用医薬品の個人輸入には、輸入方法によって異なる数量制限があります。

海外から国内に持ち込む場合は2か月程度、1品目2箱以内等の数量制限があります。

ただし、牛、馬、豚、鶏、うずら、みつばち及び食用に供するために養殖されている水産動物の所有者が当該動物に使用するための動物用医薬品やワクチン等の生物学的製剤の輸入は禁止されています。

個人輸入に伴うリスク


動物用医薬品の個人輸入には、法的な問題だけでなく、様々なリスクが存在します。

通関トラブルのリスク

要指示医薬品を獣医師の処方箋なしに輸入しようとした場合、通関で止められ廃棄処分となるケースが多発しています。

2024年4月から6月の間だけでも、一月あたり20~30件が廃棄処分となっており、多くの場合、廃棄処分となっても代行業者から返金がなされることはありません。

フィラリア予防薬等の要指示医薬品を輸入する際には獣医師の処方箋等が必要である旨、法律に規定されているにも関わらず、「動物病院代が節約できる」という甘い言葉で購入を誘引している輸入代行サイトが存在するため注意が必要です。

偽造品のリスク

海外から個人輸入される動物用医薬品は、偽造品である可能性があります。

WHOの報告によれば、人用医薬品では非合法なサイトから購入した医薬品のうち50%が偽造品であったとのことです。偽造品は見た目では判断できないことがあり、本来入っているはずの成分が入っていない、入っていてはいけない成分が入っている、不衛生な環境で製造されている等の可能性があります。

重大な副作用のリスク

個人輸入された動物用医薬品を専門的な指導を受けずに使用した場合、重大な副作用等の健康被害が発生する可能性があります。

個人輸入された動物用医薬品については、獣医師などの専門家でも、その成分や作用等に関する十分な情報を有しておらず、副作用等に迅速に対応することができない場合があります。また、副作用や健康被害が生じていても、その状況が表面化されにくいという問題もあります。

購入先とのトラブルのリスク

輸入代行業者を通じて購入した未承認動物用医薬品により生じた健康被害については、輸入代行業者は責任を負わず、購入者の責任とされる可能性が極めて高いです。

多くの輸入代行業者は、メーカー正規品保証との記載をしていても、実際にはその事実を証明することができません。輸入代行業者が購入者に提供した書面(証明書等)が偽物であった事例も確認されています。

日本で承認されている動物用医薬品との違い


日本で承認されている動物用医薬品は、医薬品医療機器等法に基づき、品質、有効性及び安全性が確認されたものです。

一方で、海外で販売されている動物用医薬品は、日本国内における品質、有効性及び安全性の確認がされていない未承認動物用医薬品です。

日本では、動物用医薬品の開発から流通まで厳格な管理体制が敷かれており、承認された製品のみが市場に流通しています。個人輸入される動物用医薬品は、このような日本の品質管理体制を経ていないため、品質や安全性に不安があります。

違法な個人輸入代行サイトへの対策


現在、『うさパラ』・『ぽちたま薬局』・『わんにゃん薬局』のように、動物用医薬品の個人輸入代行を大々的に行っているサイトが存在しています。

これらのサイトでは、フィラリア予防薬等の要指示医薬品を処方箋なしで販売していますが、その合法性について根拠をもって説明することができません。要指示医薬品の処方箋なし販売は法律に違反する行為です。

農林水産省では、違法な広告を行うサイトに関する情報提供を受け付けており、違法な広告を行うサイトを発見した場合は、以下の連絡先に通報することができます。

通報先:yakuji_kanshi@maff.go.jp
通報内容:(ア)サイトの名称 (イ)URLアドレス

適切な動物用医薬品の入手方法


動物用医薬品を安全に入手するためには、以下の方法を推奨します。

動物病院での処方

最も安全な方法は、獣医師の診察を受け、適切な処方を受けることです。
獣医師は動物の状態を専門的に判断し、最適な薬剤を選択します。
また、副作用が生じた場合も迅速な対応が可能です。

動物用医薬品店舗販売業者からの購入

一部の動物用医薬品は、要指示医薬品に該当しないため、ねこあざらし薬店のような許可を持つお店で購入することができます。

また、獣医師に指示書を記載してもらえば、薬剤師からフィラリア予防薬等の要指示医薬品の購入も可能です。
詳細の購入手順はコチラにてご確認ください。

よくある質問


「個人輸入代行業者は本当に信頼できるの?」

ほぼ全ての個人輸入代行業者は、法的な問題やリスクについて十分な説明を行っていません。

輸出される医薬品には輸出元の国の規制がかからないため、『海外で承認されている』、『メーカー正規品保証』との記載があったとしても、事実かは不明です。

また、輸入代行業者が購入者に提供した書面(証明書等)が偽物であった事例も確認されており、信頼性に疑問があります。

「個人輸入した薬を他の人に分けても大丈夫?」

個人輸入した動物用医薬品を有償、無償を問わず他者に販売、授与等を行うことはできません。

個人輸入は、あくまで個人が自分の飼養する動物のために使用することを前提としており、他者への譲渡は法律で禁止されています。

「要指示医薬品でも2ヶ月分以内なら問題ない?」

多くの個人輸入代行業者は、「フィラリア予防薬等の要指示医薬品も2ヶ月分以内の個人輸入は問題ない」と主張していますが、これは誤解です。

要指示医薬品の個人輸入については、数量に関係なく、獣医師の処方箋が必要です。

薬機法第49条の規定により、要指示医薬品は獣医師から処方箋の交付や指示を受けた者以外には販売・授与できないため、個人輸入においても同様の規制が適用されます。

まとめ


ここまで、動物用医薬品の個人輸入について、法的な解釈やリスク、適切な入手方法などを幅広く解説しました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 動物用医薬品の個人輸入は適切な手続きを行えば合法
  • 要指示医薬品の個人輸入には獣医師の処方箋が必要
  • 個人輸入には通関トラブル、偽造品、副作用等の様々なリスクが存在
  • 日本で承認されている動物用医薬品と海外輸入製品では安全性に大きな差がある
  • 最も安全な方法は動物病院での適切な処方を受けること

この記事の内容を参考に、動物用医薬品の適切な入手と使用を心がけてくださいね。

安全で確実な動物用医薬品の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、法律に基づいた適切な販売を行っており、薬剤師が24時間いつでもLINEから相談を受け付けています。