犬猫の疥癬・耳疥癬~激しい痒みの原因と最新のダニ予防薬~

「うちの子、ずっとかゆがっている。アレルギーかな?」——そう思って病院に行ったら、実はダニの寄生が原因だったというケースは珍しくありません。
犬猫の「疥癬(かいせん)」「耳疥癬」は、それぞれ特定の種類のダニが引き起こす皮膚疾患で、非常に強いかゆみと急速な悪化が特徴です。放置すれば飼い主にも感染してしまう可能性のある人獣共通感染症(ズーノーシス)でもあります。
今回は、暖かくなると発生が増えてくる疥癬・耳疥癬について、主な症状や診断方法などを詳しく解説します。


疥癬の原因は「ヒゼンダニ(疥癬虫)」という節足動物です。
マダニのように体表に付着するのではなく、表皮の角質層の中にトンネル(疥癬トンネル)を掘り、その中で産卵・孵化・脱皮を繰り返します。このトンネル内での活動と、ダニ・糞・卵に対するアレルギー反応が激しいかゆみの正体です。
成虫でも肉眼では見えないほど小さいため、通常のダニと違い外見からは判らないのが厄介なところです。(ミミヒゼンダニは肉眼で確認できる場合あり)
また、犬と猫では寄生するダニの種が異なります。

疾患名 原因ダニ 対象動物 成虫の大きさ
犬疥癬 イヌセンコウヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei var. canis) 犬(人・猫に一時的感染あり) 約0.2〜0.4mm
猫疥癬 ネコショウセンコウヒゼンダニ(Notoedres cati) 猫(犬・人に一時的感染あり) 約0.2〜0.3mm
耳疥癬 ミミヒゼンダニ(Otodectes cynotis) 犬・猫 約0.35〜0.5mm 

Screenshot

上記表の3種類のダニの中で最も強い痒みを引き起こします。眠れないほど痒く、痒み止めや消炎剤といった対症療法の薬剤が効かないため、感染すると犬にとって非常にストレスがかかります。また、激しいかゆみで出血するほどかき続け、二次的な細菌感染(膿皮症)を合併することもあります。
重症化すると皮膚の肥厚・苔癬化・広範囲の脱毛・痂皮形成が起こり、衰弱に至る場合もあります。

感染数が少なく見つけにくいため、検査で検出できなくても、疑わしい場合には試験的駆虫として予防薬を投与することが一般的です。

【犬の疥癬を疑うべき症状チェックリスト】

  • 耳縁を触ると後ろ足でかく(耳介‐足反射陽性)
  • 肘・膝・耳縁・腹部に赤いブツブツとフケがある
  • かゆみが非常に強く、夜中もかき続けている
  • 他の犬や野生動物と最近接触した
  • 飼い主にも腕や腹部にかゆいブツブツが出ている
犬疥癬の特徴 内容
原因ダニ Sarcoptes scabiei var. canis(イヌセンコウヒゼンダニ)
対象動物 犬。人・猫に一時的な感染あり(定着しない)
潜伏期間 2〜6週間
好発部位(初期) 耳縁・肘・膝の突出部・腹部・鼠径部
かゆみの強さ 非常に強い。昼夜を問わず続き、出血するほどかき続けることも
飼い主への感染 一時的に感染あり(腕・腹部などにかゆいブツブツが出ることがある)

猫の疥癬の原因はネコショウセンコウヒゼンダニで、犬に寄生するイヌセンコウヒゼンダニとは別種です。まれに犬や人にも一時的に寄生しますが、ほとんど定着しません。
屋外への出入りや感染猫との接触が主なリスクです。
比較的検査で検出しやすいため、多くの場合は一度の検査で診断可能です。

【猫の疥癬を疑うべき症状チェックリスト】

  • 顔面・耳介・首にフケ・丘疹・かさぶたがある
  • 顔周りを頻繁に掻く
  • 野良猫や外出歴のある猫と接触した
  • 同居の猫に同じような症状がある
  • 飼い主にも一時的なかゆみ・ブツブツが出た
猫疥癬の特徴 内容
原因ダニ Notoedres cati(ネコショウセンコウヒゼンダニ)
対象動物 猫。犬・人に一時的な感染あり(定着しない)
感染リスクが高い状況 屋外へ出入りする猫、野良猫や感染猫との接触、多頭飼育環境
好発部位(初期) 顔面(鼻・まぶた周囲)・耳介・首・顎の下
かゆみの強さ 強い。顔・耳周りを絶えずひっかき続ける
飼い主への感染 一時的に感染あり(定着しない)

耳疥癬の原因は犬と猫で共通しており、耳道内に潜むミミヒゼンダニです。
ヒゼンダニ(疥癬虫)が角質層内に潜るのと異なり、外耳道の表面に寄生します。
特に猫で感染率が高く、猫の外耳炎原因の過半数を占めるともいわれています。
感染力が非常に強いため、多頭飼育では全頭同時に治療・予防を行うことが再発防止の鉄則です。
放置すると慢性外耳炎・中耳炎へ進行するケースもあります。
以下に複数当てはまる場合は速やかに受診しましょう。

【耳疥癬を疑うべき症状チェックリスト】

  • 耳を激しく掻く、頭を振り続けている
  • 耳道内に黒褐色のコーヒーかす状の耳垢が多い
  • 野良猫や外出歴のある猫と接触した、あるいは外に出た
  • 耳介(耳の外側)に引っかき傷がある
  • 同居の犬猫にも同じような耳の症状がある

主には、皮膚の一部を専用の器具で掻爬し皮膚内のダニを検出する「皮膚掻爬検査」、耳垢を採取して中のダニをチェックする「耳垢検査」があります。どちらの検査も、採取物を顕微鏡で観察して、ダニ本体や虫卵の有無を確認します。
ミミヒゼンダニ(耳疥癬)だけは、最大約0.5mmと3種の中で最も大きく白っぽい色をしているため、耳垢をよく観察すると動いている様子が肉眼でも確認できる場合があります。

疾患 検査方法 検出しやすさ・注意点
犬疥癬 皮膚掻爬検査(深部掻爬) ★検出率が非常に低い(20〜50%)。かならず皮膚の複数か所から採取して検査を行う
猫疥癬 皮膚掻爬検査(顔面・耳介の痂皮部) 犬疥癬より比較的検出しやすい。顔面・耳介の厚い痂皮部分からダニ・卵を検出できる
耳疥癬(ミミダニ) ①耳垢の顕微鏡検査
②耳鏡による肉眼確認
3種の中で最も検出しやすい。①綿棒で採取した耳垢を顕微鏡で確認 ②耳鏡で外耳道内の動く白い点(成虫)を目視で探す

疥癬の治療は駆虫薬によるヒゼンダニの駆除が基本です。
駆虫薬の多くは卵には効かないため、症状が改善しても2〜3週間おきに複数回の投薬が必要です。途中でやめると再発のリスクが高まります。多頭飼育の場合は、全頭同時に治療を行わないと再感染が繰り返されます。
二次的な細菌感染(膿皮症)を合併している場合は、抗菌薬による治療も並行して行います。

駆虫後もかゆみがしばらく残る場合には、ダニの死骸・産物に対するアレルギー反応が続いている可能性があるため、短期間のステロイド製剤やJAK阻害薬で対症療法を行うこともあります。
また、寝具・クッションの熱湯洗濯やケージ・グルーミング器具の消毒、治療中の感染動物の隔離も再感染予防に有効です。

ヒゼンダニは一度寄生すると痒みが強く、夜も熟睡できずに愛犬愛猫に強いストレスを与えてしまいます。
定期的な予防・駆除薬の投与は、ヒゼンダニ・ミミヒゼンダニを含む寄生虫感染全般のリスクを大幅に下げる最も効果的な手段です。
愛犬愛猫の体重・年齢・既往歴・生活環境を踏まえ獣医師と相談の上、適切な製品を選びましょう。

ヒゼンダニ(疥癬)とミミヒゼンダニ(耳疥癬)の予防・駆除薬の製品のほとんどは、基本的にノミやマダニへの効果をメインとしています。ヒゼンダニ・ミミヒゼンダニへの効果は国内未承認の場合も多く、効果効能に記載のある製品は少ないのが現状です。
しかし、臨床の現場では学術的根拠に基づき、獣医師の裁量によって適応外処方として活用されるケースもあります。これらの使用に関しては、愛犬・愛猫の健康状態や感染状況に合わせた専門的な判断が不可欠ですので、必ず動物病院で獣医師による診察と指示を受けてください。

表の見方:◎=適応あり △=適応なし・査読論文に有効性の報告あり

【犬用製品】

製品名(剤形) 有効成分 犬疥癬 耳疥癬 製品の特徴
シンパリカ
(チュアブル錠)
サロラネル 牛肉フレーバーで投与しやすい。ノミ・マダニ・イヌニキビダニにも対応。
(注意:シリーズ製品のシンパリカトリオには、現在、犬疥癬・耳疥癬に対しての適応なし)
レボリューション
(スポット剤)
セラメクチン 犬疥癬には適用外。
特に耳ダニに対してよく使用されている。ノミ・フィラリア・回虫・鉤虫にも有効。
アドボケート
(スポット剤)
イミダクロプリド/モキシデクチン 耳疥癬には適用外。
ノミ・イヌニキビダニ・フィラリア・回虫・鉤虫にも対応。
ブラベクト錠
(チュアブル錠)
フルララネル 耳疥癬には適用外。
3ヶ月に1回投与。現在承認されているスポットオン製剤では最も長く予防効果が続く。ノミ・マダニ・イヌニキビダニにも対応。

【猫用製品】

製品名(剤形) 有効成分 猫疥癬 耳疥癬 製品の特徴
レボリューション
(スポット剤)
セラメクチン 猫疥癬には適用外。
耳ダニ・猫疥癬では臨床現場で使用率が高い。ノミ・フィラリア・回虫にも対応。
レボリューション プラス
(スポット剤)
セラメクチン/サロラネル 猫疥癬には適用外。
レボリューションにマダニ・鉤虫駆除も追加のオールインワン製剤。

アドボケート
(スポット剤)

イミダクロプリド/モキシデクチン 猫疥癬には適用外。
ノミ・フィラリア・回虫・鉤虫にも対応。
ネクスガードキャットコンボ
(スポット剤)
エサフォキソラネル/エプリノメクチン/プラジクアンテル 猫疥癬には適用外。
ノミ・マダニ・フィラリア・条虫・回虫・鉤虫にも対応。

※本表は一般的な学術情報および海外の報告に基づく一覧です。一部の疾患に対し、国内未承認の適応外処方として獣医師の判断で使用されるケースもありますが、当サイトがその使用を推奨するものではありません。実際の使用にあたっては、必ず動物病院で診察を受け、獣医師の指示に従ってください。


  • 犬疥癬・猫疥癬・耳疥癬はそれぞれ原因となるダニの種類が異なり、好発部位・症状も異なります。
  • 犬疥癬の皮膚掻爬検査は検出率が20〜50%程度と低く、陰性でも否定できません。症状・接触歴から強く疑う場合は診断的治療(試験的投薬)が有効です。
  • 疥癬・耳疥癬は感染力が非常に強く、多頭飼育では全頭同時治療が再発防止の鉄則です。
  • 治療は複数回の駆虫薬投与が必要です。二次感染(膿皮症などの皮膚症状)がある場合は同時に治療を行います。

予防薬の選択肢が広がり、飼い主様の意識が高まったことで、重症化するケースは以前より抑えられるようになりました。しかし、疥癬や耳疥癬の感染リスクはいまだに高く、一度発生するとその治療には長い時間と費用を要し、何より愛犬・愛猫に「眠れないほどの激しい痒み」という大きな負担を強いることになります。
疥癬は、放置すれば同居動物や飼い主様にも広がる恐れがある、油断できない感染症です。
「あの時、予防していれば……」と後悔しないために。動物病院に通い、愛犬・愛猫の体質や生活環境に合ったお薬で、日頃から確実な予防を心がけましょう。

  • Six, R.H. et al. Efficacy and safety of selamectin against Sarcoptes scabiei on dogs and Otodectes cynotis on dogs and cats presented as veterinary patients. Veterinary Parasitology, 91(3-4):291-309, 2000. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10940530/
  • Itoh, N. et al. Treatment of Notoedres cati infestation in cats with selamectin. Veterinary Record, 154(13):409, 2004. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15083980/
  • Hellmann, K. et al. Efficacy of imidacloprid 10%/moxidectin 1% spot-on in the treatment of Notoedres cati infestation in cats. Parasitology Research, 112(8):2837-2845, 2013. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23760872/
  • Taenzler, J. et al. Efficacy of fluralaner against Otodectes cynotis infestations in dogs and cats. Parasites & Vectors, 10:30, 2017. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5240227/
  • Beugnet, F. et al. Efficacy of sarolaner against Sarcoptes scabiei and Otodectes cynotis in naturally infested dogs. Parasites & Vectors, 9:1, 2016.
  • Knaus, M. et al. Efficacy of a novel combination of esafoxolaner, eprinomectin and praziquantel (NexGard Combo) against Otodectes cynotis and Notoedres cati in cats. Parasite, 28:39, 2021. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8019547/
  • Longstaff, L. et al. Efficacy of a spot-on combination product containing selamectin and sarolaner (Stronghold Plus) in the treatment of naturally occurring Notoedres cati infestations in cats. Frontiers in Veterinary Science, 2025. https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2025.1652148/full
  • 農林水産省動物医薬品検査所. 動物用医薬品等データベース(ブラベクト錠添付文書). https://www.vm.nval.go.jp/public/detail/16271

猫の甲状腺機能亢進症~早期発見のポイントと治療の基本~【獣医師執筆】

「食欲旺盛なのに体重が減る」、「夜中に鳴き止まず、落ち着きがない」これらの症状は高齢猫に最も多く見られる、甲状腺機能亢進症という病気のサインかもしれません。
甲状腺機能亢進症は進行性の疾患ですが、適切な知識と治療によってコントロールできる慢性疾患です。

このコラムでは、病気のメカニズムと愛猫の生活の質(QOL)を最大限に高めるための治療の基本を分かりやすく解説します。


この疾患は、喉元にある甲状腺から「甲状腺ホルモン(T4)」というホルモンが過剰に分泌されることによって起こります。

このホルモンは、身体の代謝(エネルギー消費)をコントロールするアクセルのようなもので、過剰になると全身の臓器が異常に活発になり、心臓、腎臓、消化器などの全ての臓器が疲弊してしまいます。

8歳以上の高齢猫に多く、初期の症状は加齢による変化と見過ごされがちです。
しかし、早期に診断し治療を開始することが、心臓や腎臓への不可逆的なダメージを防ぐために極めて重要です。

甲状腺機能亢進症の原因の大部分は、甲状腺組織における良性の増殖、すなわち機能性甲状腺腺腫または腺腫様過形成に起因します。

分類詳細発生割合
機能性甲状腺腺腫/過形成甲状腺組織の中にできる良性腫瘍によるもの。腫瘍化した甲状腺が自律的にホルモンを過剰に作り出す。約98%以上
腺癌悪性の甲状腺腺癌(がん)によるもの。稀にみられる。約1〜2%

飼い主様が気づく愛猫の初期の変化には、以下のようなものがあります。

この病気の最も典型的なサインです。
食欲が非常に旺盛であるにもかかわらず、代謝率の異常な亢進により、体重が急激に減少していきます。

以前に比べて活動性が増す、落ち着きがない、夜鳴きが増えるといった神経質な行動が目立つようになります。

腎臓への血流増加や、ホルモン自体の作用により、水を飲む量と尿の量が増加します。

毛艶が悪化したり、部分的な脱毛が見られたりすることもあります。

心臓への過剰な負担による潜在的な心臓病の悪化(肥大型心筋症の悪化)や、二次的な高血圧などが認められることがあります。


症状、身体所見、および血液中の甲状腺ホルモン濃度の測定を組み合わせて行われますが、基本として血液検査により確定診断します。

最も大事な検査として甲状腺ホルモン(T4)の測定を行います。
T4には総T4(TT4)と遊離T4(fT4)があります。猫では主としてTT4を用い、補助的にfT4を用います。

甲状腺機能亢進症を強く疑う症状があるにもかかわらず、総T4(TT4)が正常高値である場合など、診断がグレーゾーンの際には、遊離T4(fT4)の検査値を用いることがあります。
fT4のほうが他の疾患の影響を受けにくいのですが、猫では偽高値になることがあるのでfT4単独では用いません。

TT4が高値であれば甲状腺機能亢進症と診断します。

甲状腺シンチグラフィーは、放射性同位元素を用いて、甲状腺組織がホルモンを取り込む能力を画像化する特殊な検査です。
有用ですが国内で行える施設は非常に少なく、代用として触診による甲状腺の大きさのチェック、超音波検査での測定があります。


治療方法は、根治を目的とする外科手術と、ホルモン値のコントロールを目的とする内服薬などの内科療法に分けられます。愛猫の性格や全身状態に応じて、最適な計画を立てていきます。

治療法作用機序特徴
内服薬(チアマゾール錠)T4合成を抑制する。
最も選択されている治療法。
症状に合わせて薬の量がコントロールしやすいが、毎日の投薬管理が必要。
塗布薬(外用チアマゾール製剤)T4合成を抑制する。
一日一回、耳の内側に塗布する。
投薬困難な猫でも使用できるため、治療の新しい選択肢として注目されている。(日本では未承認)
外科的切除原因となる甲状腺部位の切除を行う。根治が見込めるが、手術に伴う一般的なリスクがあり、取り切れないと再発する場合もある。
食事療法(ヨウ素制限食)食事中のヨウ素摂取を強く制限する。排他的給餌の徹底が必須。他の食物を摂取させると効果が期待できない。

甲状腺機能亢進症の治療において、最も注意すべきなのが「腎臓機能低下」の併発の有無です。

甲状腺ホルモンが過剰な状態は、腎臓の血流を一時的に増加させることで、隠れていた慢性腎臓病の兆候を覆い隠してしまっている可能性があります。
ホルモン値を正常化する治療を行うと、慢性腎臓病が急に悪化することがあるため注意が必要です。

T4を過度に抑制すると慢性腎臓病の進行を加速させる可能性があるため、腎臓保護の観点から、血清T4濃度を下げすぎないことも重要です。
腎機能の急速な悪化が認められる場合には、甲状腺機能亢進症の治療を中断する場合もあり、このバランスのコントロールに慎重な判断が求められます。


猫の甲状腺機能亢進症自体は適切な治療によってコントロール可能であり、T4正常化による予後は一般的に良好です。

しかし、予後を最終的に決定づけるのは、併発している重度の慢性腎臓病や心筋症の程度です。
甲状腺機能が安定した後も、少なくとも6か月ごとにホルモン値や腎数値などを血液検査、心臓精査による心筋症のチェックを行い、継続的にモニタリングすることが推奨されています。


甲状腺機能亢進症は、早期発見と適切な治療により良好なコントロールが可能です。
愛猫の行動の変化を見逃さず、気になることがあれば早めに動物病院を受診しましょう。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 猫の甲状腺機能亢進症は、高齢猫に多く見られる進行性の病気で、食欲旺盛なのに痩せていくのが特徴
  • 診断は血液中の総T4(TT4)測定が基本ですが、他疾患との鑑別のための遊離T4(fT4)の解釈には慎重な判断を要する
  • 治療方法には内服薬、塗布薬、外科的切除、食事療法があり、愛猫の状態に応じて選択する
  • 腎臓病を併発している場合は、腎血流を保護するため、T4値の厳密な管理が推奨される
  • 治療後も少なくとも6か月ごとの定期的なモニタリングが重要

猫の甲状腺機能亢進症は適切な知識と治療でコントロールできる慢性疾患です。

愛猫の症状に不安を感じたら、まずはかかりつけの動物病院を受診し、獣医師と相談しながら最適な治療方針を決めていきましょう。日々の観察と記録、そして適切な投薬管理が、愛猫の穏やかな生活を支える大きな力となります。

【獣医師監修】猫のワクチン接種は本当に必要?科学的根拠から考える適切な予防接種

「完全室内飼いだから、ワクチンは必要ないのでは?」「毎年接種するのは猫の負担が大きすぎる」「副反応が心配」——そんな疑問や不安を抱えている飼い主さんは少なくありません。
猫のワクチン接種は法律で義務付けられていないからこそ、飼い主さん自身が正しい知識を持ち、愛猫にとって最適な選択をする必要があります。

このコラムでは、ワクチンの必要性を科学的根拠に基づいて客観的に解説し、接種のメリット・デメリットを踏まえた上で、愛猫に適した予防接種プログラムを考えるための情報を提供します。

【この記事を読んでわかること】

  • ワクチンで予防できる感染症の実態と致死率
  • コアワクチンとノンコアワクチンの違いと選択基準
  • ワクチン接種のメリットと副反応のリスク
  • 最新ガイドラインに基づく適切な接種スケジュール
  • 完全室内飼いの猫にもワクチンが必要な理由
  • 副反応を最小限に抑えるための実践的な対策

ワクチンとは、病原体の毒性を弱めたり無毒化したりしたものを体内に投与し、あらかじめ免疫を作っておく予防医療です。ワクチンには大きく分けて2つの効果があります。

ひとつは感染予防効果です。これは病原体の侵入を防ぐ、または感染しにくくする働きです。もうひとつは重症化予防効果で、仮に感染しても症状を軽く抑え、愛猫の命を守ることができます。

重要なのは、ワクチンは「100%感染を防ぐ」ものではなく、「感染リスクを大幅に下げ、感染しても重症化を防ぐ」手段であるという点です。

猫がかかる感染症には、非常に高い致死率を持つものがあります。例えば、猫パルボウイルス感染症の場合、子猫における致死率は50〜90%にも達し、治療が遅れるとわずか数日で命を落としてしまうこともあります。

さらに深刻なのは、多くのウイルス感染症には特効薬が存在しないという事実です。治療は対症療法が中心となり、猫自身の免疫力に頼るしかありません。また、猫ヘルペスウイルスのように一度感染すると体内に潜み続け、免疫力が低下するたびに再発を繰り返すウイルスもあります。猫白血病ウイルスは猫白血病ウイルス感染症の原因となることもあります。

感染力の高さも無視できません。猫パルボウイルスは環境中で数ヶ月間生存可能かつ、感染猫の少量の糞便に触れることで容易に感染してしまう危険性があります。

「うちの猫は完全室内飼いだから、感染症とは無縁」と考えている飼い主さんもいるかもしれません。しかし、実際には完全室内飼いの猫でも感染リスクはゼロではないのです。

人を介した感染経路として、飼い主の衣服や靴にウイルスが付着したり、来客が持ち込んでしまったりする場合があります。また、災害時の避難所など予期せぬ環境の変化、新しく迎え入れた猫や動物病院での接触なども感染の機会となります。

猫パルボウイルスのような環境中で長期間生き残るウイルスの場合、完全に感染を防ぐことは困難です。完全室内飼いにもかかわらず猫風邪を発症するケースは珍しくありません。


世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインでも、生活環境に関わらず全猫への接種が強く推奨されているのがコアワクチンです。これは3種混合ワクチンとして提供されています。

1. 猫パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)

激しい嘔吐と下痢(しばしば血便を伴う)、高熱、食欲不振、脱水といった症状が現れます。さらに白血球の著しい減少により免疫不全状態に陥ります。子猫の致死率は50〜90%と非常に高く、発症後数日で死亡するケースも少なくありません。

感染経路は感染猫の糞尿や嘔吐物との接触です。このウイルスは環境中で数ヶ月〜数年生存する極めて強いウイルスで、特効薬は存在せず、輸血・点滴などの支持療法のみとなります。治療費も数万円〜十数万円と高額です。

2. 猫ヘルペスウイルス感染症(猫ウイルス性鼻気管炎)

大量の目やにと鼻水、結膜炎、角膜炎が特徴的な症状で、くしゃみの連発、発熱、食欲不振も見られます。重症化すると肺炎を併発することもあります。

このウイルスの厄介な点は、一度感染すると体内に潜伏し続け、免疫力が低下するたびに再発を繰り返すことです。慢性鼻炎や結膜炎に移行することも多く、生涯にわたる治療が必要になる場合もあります。感染経路は感染猫のくしゃみや鼻水による飛沫感染、食器やトイレの共有、グルーミング時の接触などです。

3. 猫カリシウイルス感染症

くしゃみ、鼻水、目やにといった症状に加えて、口内炎や舌・口腔粘膜の潰瘍が特徴的です。口内炎の痛みで食事ができなくなることもあり、子猫では脱水と栄養失調で死亡することもあります。

感染経路は感染猫のくしゃみや鼻水による飛沫感染、食器やトイレの共有、グルーミング時の接触などとなります。特効薬がなく対症療法のみとなり、回復後もウイルスを排出し続けることがあるため、多頭飼育では特に注意が必要です。

ノンコアワクチンは、猫の生活環境や感染リスクに応じて接種を検討するワクチンです。

4. 猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

接種推奨対象:外出する猫、多頭飼育で他の猫との濃厚接触がある猫、FeLV陽性の猫と同居している猫に接種が推奨されます。症状としては免疫不全、貧血、慢性口内炎、下痢などが現れ、進行するとリンパ腫、白血病、腎不全を引き起こします。発症後3〜4年以内の死亡率が高い深刻な病気です。

感染経路は感染猫との濃厚接触(グルーミング、食器の共有)、咬傷、母子感染などです。重要なのは、初回接種前に必ず血液検査でFeLV感染の有無を確認する必要があるという点です。

5. 猫クラミジア感染症

接種推奨対象:多頭飼育環境にいる猫や、キャッテリー、ペットホテルを利用する猫に接種が推奨されます。結膜炎(特に初期は片目から始まることが多い)、大量の目やに、軽度の鼻炎やくしゃみが主な症状です。

症状は比較的軽度ですが、慢性化しやすいのが特徴です。また、稀ではありますが人に感染する可能性もある人獣共通感染症です。

6. 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV・猫エイズ)

接種推奨対象:外出する猫や野良猫との接触機会がある猫に推奨されます。主な感染経路は咬傷、つまりケンカによる噛みつきです。初回接種前に血液検査が必須で、ワクチン接種後は抗体検査で陽性となるため、実際の感染との区別が困難になるという点に注意が必要です。


1. 致死率の高い感染症から命を守る

猫パルボウイルスの場合、ワクチン接種猫の致死率は10%以下との報告もありますが、未接種猫では50〜90%にも達します。猫ヘルペスウイルスやカリシウイルスについても、接種することで発症率が減少することが分かっています。仮に感染しても症状が軽く、回復も早いという効果も期待できます。

2. 治療費の軽減

感染症治療には高額な医療費がかかります。猫パルボウイルス感染症の場合、入院費用は5〜15万円以上、猫風邪の重症例でも通院・入院で3〜10万円かかるともいわれています。慢性化した場合は生涯にわたる治療費が必要になることも珍しくありません。一方、ワクチン接種費用は年間5,000〜10,000円程度です。

3. 多頭飼育での感染拡大防止

多頭飼育の場合、一匹が感染すると他の猫にも感染が広がるリスクが高まります。全頭へのワクチン接種は、家庭内での感染症蔓延を防ぐ「集団免疫」の形成に貢献します。

ワクチン接種には一定の副反応リスクが存在します。ただし、適切な対応で重症化を防げるケースがほとんどです。

1. 軽微な副反応

接種部位の痛みや腫れ、軽度の発熱(24時間以内に自然回復)、元気消失、食欲低下(1〜2日程度)、嘔吐、下痢といった症状が見られることがあります。発生率は比較的高いものの、ほとんどは24時間以内に自然回復します。症状が強い場合や24時間以上続く場合は動物病院へ連絡しましょう。

2. アナフィラキシーショック

接種後数分〜30分以内に呼吸困難、虚脱、意識障害といった症状が現れます。猫のワクチン接種後のアナフィラキシー発生率は約0.01%、つまり10,000回に1回程度と稀です。

対策としては、接種後30分は動物病院内または近くで待機することが重要です。一度アナフィラキシーを起こした猫は、次回接種前に必ず獣医師に相談しましょう。

3. 注射部位肉腫

ワクチンを接種した部位に発生する悪性腫瘍で、発生率は10,000回の接種につき1〜4例といわれています。接種してから数年後に発症することもあります。

予防策として、毎回異なる部位(特に後肢など切除しやすい場所)に接種することが推奨されています。経過観察の目安として、接種後1ヶ月以上しこりが残る、しこりが2cm以上の大きさになる、しこりが大きくなり続けるといった場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

4. 慢性腎臓病との関連性

最近の研究では、ワクチン接種頻度が高い猫が慢性腎臓病を発症する可能性があるとの報告があります。ただし、因果関係は完全には解明されていません。適切な接種間隔を守ることでリスクを最小化できます。

ワクチン接種をしない場合、致死率50〜90%の感染症に無防備な状態となり、治療費も数万円〜十数万円と高額になります。一方、ワクチン接種をする場合のリスクは、軽微な副反応(多くは24時間以内に回復)と重篤な副反応(発生率0.01〜0.04%)です。

科学的データから見れば、適切な頻度でのワクチン接種は、リスクを大きく上回るメリットがあると考えられます。


接種回時期目的
1回目生後6〜8週齢移行抗体が減少するタイミングでの初回免疫
2回目1回目から3〜4週後抗体価の上昇
3回目生後14~16週齢以降確実な免疫獲得
ブースター生後26〜52週齢(6〜12ヶ月)長期免疫の確立
※要否には個体差があります。

子猫接種で重要なのは、母猫からの初乳により得た移行抗体が生後8〜12週で消失するため、その時期に合わせて接種を開始することです。特に16週齢以降の接種が長期免疫の鍵となります。

コアワクチン(3種混合)の場合

完全室内飼いの猫には2つの選択肢があります。

ひとつは抗体価検査を活用した個別プログラムです。年に1回の健康診断時に抗体価検査を実施(費用6,000〜7,000円)し、抗体価が十分であれば接種を見送ります。最大3年間隔まで延ばすことが可能だと言われています。

もうひとつは3年に1回の定期接種です。抗体価検査を行わない場合の標準プログラムで、コアワクチンの免疫持続期間は7.5年以上との研究報告もあります。

一方、外出する猫や多頭飼育の猫には年に1回の定期接種が推奨されます。感染リスクが高いため、より確実な予防が必要になります。

ノンコアワクチンの場合

猫白血病ウイルス(FeLV)や猫クラミジアは免疫持続期間が短いため、年に1回の接種が推奨されます。

シニア猫には特別な配慮が必要です。接種前に血液検査で腎臓や肝臓などの機能を確認し、完全室内飼いであれば3年間隔も検討可能です。獣医師と相談しながら、個体ごとのリスク評価を行うことが大切です。


まず、愛猫の健康状態を確認しましょう。食欲や元気があるか、嘔吐・下痢はないかをチェックし、体調不良時は接種を延期します。

接種日は午前中が理想的です。万が一異変があった場合に対応できる時間的余裕があるからです。週初めや平日を選び、週末や祝日前は避けましょう。接種後24時間は在宅できる日を選ぶことも大切です。

獣医師には過去のワクチン接種歴と副反応の有無、現在服用中の薬やサプリメント、アレルギー体質や基礎疾患の有無をしっかり伝えましょう。

アナフィラキシーショックは接種後30分以内に発症することが多いため、接種後30分は病院付近で待機し、車中や待合室で猫の様子を観察します。

帰宅後は静かで落ち着ける場所を用意し、無理に遊ばせたり運動させたりしないようにします。食欲がなければ無理に食べさせる必要はありません。

呼吸が荒い・苦しそう、顔が急激に腫れる、嘔吐を繰り返す、立てない・ぐったりしているといった緊急度が高い症状が見られたら、すぐに動物病院に連絡しましょう。

また、24時間経過しても食事を全く食べない、元気がまったくない、高熱が続く、接種部位の腫れが拡大しているといった症状がある場合も受診が必要です。

接種後2〜3日間は、シャンプーや入浴、激しい運動や遊び、他の猫との濃厚接触、長時間の外出や旅行を避けましょう。愛猫の体が免疫を作り上げるために、安静な環境を提供することが大切です。


完全室内飼いでも感染経路は多様です。飼い主の衣服や靴に付着したウイルス、来客による持ち込み、災害時の避難所など、予期せぬ感染リスクが存在します。ただし、コアワクチン(3種混合)を3年に1回、または抗体価検査を併用するプログラムで十分なケースが多いです。

最新のガイドラインでは、コアワクチンは3年に1回でも十分な免疫が維持されることが分かっています。ただし、外出する猫、多頭飼育の猫、ペットホテル利用が多い場合は年1回接種が推奨されます。重要なのは、猫の生活環境と感染リスクに応じて獣医師と相談して決めることです。

高齢猫は確かに副反応リスクがやや高まりますが、同時に感染リスクも高まります。接種前に血液検査で健康状態を確認し、完全室内飼いであれば接種間隔を延ばす(3年に1回など)、抗体価検査を活用するなど、獣医師と相談して個別に判断することが重要です。

副反応への不安は理解できます。しかし、データで比較してみましょう。重篤な副反応の発生率は約0.01〜0.04%です。一方、猫パルボウイルス感染時の致死率(未接種)は50〜90%にも達します。

統計的に見れば、ワクチン接種のメリットは副反応のリスクを大きく上回ります。健康状態が良い時に接種し、接種後30分は病院付近で待機するなど、副反応を最小限に抑える対策を取ることで、安全性を高めることができます。


猫の感染症には致死率50〜90%の病気があり、治療薬がない感染症も多く存在します。予防が最善の対策であり、完全室内飼いでも感染リスクはゼロではありません。ワクチンは命を守る確実な予防手段といえます。

重篤な副反応の発生率は約0.01〜0.04%と低く、未接種での感染リスクと比較すれば、メリットは大きいです。また、適切な対策を取ることで副反応リスクは最小限に抑えられます。

「一律の毎年接種」ではなく、個別に獣医師と計画を立てましょう。完全室内飼いの子にはコアワクチンは3年に1回でも十分で、抗体価検査を活用すれば必要な時のみ接種できます。なお、外出猫や多頭飼育では年1回接種が推奨されます。

副反応対策としては、健康状態が良い時に午前中接種し、接種後30分は病院付近で待機、24〜48時間は注意深く観察することが重要です。

猫は自分の不調を言葉で伝えることができません。だからこそ、飼い主さんが正しい知識を持ち、愛猫にとって最適な選択をすることが求められます。

「ワクチンは絶対に毎年必要」という考えも、「ワクチンは危険だから打たない」という考えも極論です。大切なのは、愛猫の生活環境とリスクに応じた個別の判断です。情報に振り回されず、科学的根拠に基づいた判断を心がけましょう。そして愛猫の健康を守るため、獣医師と一緒に最適な方法を選びましょう。

動物用医薬品に関するご不明点やご相談がある場合は、動物のお薬の専門店『ねこあざらし薬店』にお気軽にお問い合わせください。

【獣医師監修】猫の目のケア完全ガイド ~目やに・涙やけから病気のサインまで、愛猫の瞳を守るために知っておきたいこと~

愛猫の目に目やにがついている・涙やけが気になる・目が充血している……そんな症状が見られたら、それは愛猫からのSOSかもしれません。
特に、目やにの色がいつもと違う、片目だけに症状が出ている、目をしょぼしょぼさせているといった変化があるときは、早めの対応が必要です。

このコラムでは、猫の目の健康を守るための正しい知識から日々のケア方法、病院を受診すべきタイミングまでを分かりやすく解説します。

【この記事を読んでわかること】

  • 正常な目やにと異常な目やにの見分け方
  • 目やにの原因となる主な病気(結膜炎、角膜炎、猫風邪など)
  • 自宅でできる正しい目のケア方法
  • 動物病院を受診すべきタイミングと緊急性の高い症状
  • 猫種別の注意点と日常的な予防法

最後まで記事を読んで、愛猫の目の健康について学んでみましょう。


猫の『目やに』は、涙、粘液、そして目の表面から剥がれ落ちた古い細胞などの老廃物やほこりなどの異物が混ざり合ってできた自然な分泌物です。

人間でも朝起きたときに目やにがつくことがあるように、猫にとっても目やには生理的な現象のひとつなのです。

健康な猫にも少量の目やには出ます。
以下のような特徴があれば、基本的には心配する必要はありません。

  • 色:薄い茶色から透明、あるいは黒っぽい茶色
  • 量:毎朝起きたときに目頭に少量ついている程度
  • 質感:乾燥してカサカサしている、またはやや湿っているが粘り気はほとんどない
  • 頻度:毎日少量出る程度で、日中に何度も拭く必要がない

以下のような目やには何らかの異常がある可能性が高いため、注意が必要です。

色が濃い、または異常な色

  • 黄色、黄緑色、緑色の目やに → 細菌感染の可能性
  • 血が混じった赤い目やに → 眼球に傷がある可能性

その他の異常サイン

  • ドロッとした膿のような質感
  • 悪臭がする
  • 一日に何度も拭く必要があるほど大量に出る
  • 片目だけに集中して出る
  • 目の充血、腫れ、涙が止まらない
  • くしゃみ、鼻水、発熱などの全身症状を伴う

これらの異常なサインが見られたら、早めに動物病院を受診することをおすすめします。


空気の乾燥やハウスダスト、花粉、煙草の煙、芳香剤などが目を刺激すると、涙の分泌量が増えて目やにも増加します。

対策

  • 室内の湿度を50〜60%に保つ
  • こまめに掃除をして清潔な環境を維持
  • 猫の近くで喫煙や強い香りのスプレーの使用を避ける

花粉、ハウスダスト、ダニ、カビ、特定の食物などが原因で、目のかゆみや充血、目やにの増加などが起こります。透明から白っぽい水っぽい目やにが特徴です。

秋はヨモギやブタクサなどの花粉によって症状が出やすい時期です。目をこすることで二次的に細菌感染を起こすと、黄色い目やにに変わることもあります。

猫ヘルペスウイルスやカリシウイルス、クラミジアなどによる感染症は、目やにの主要な原因のひとつです。

症状の特徴

  • 黄色から黄緑色、緑色のドロッとした膿のような目やに
  • 大量に出て目が塞がってしまうことも
  • 目の充血と腫れ
  • 発熱、くしゃみ、鼻水、食欲低下

子猫や高齢猫、免疫力が低下している猫は重症化しやすいため、早期の治療が必要です。
ワクチン接種で抵抗力を高められる病気も多いので、定期的なワクチン接種も重要です。

まぶたの内側と眼球の白目部分を覆っている結膜に炎症が起こる状態です。感染性、アレルギー性、刺激性などさまざまな原因で起こります。

症状

  • まぶたの内側が赤く腫れる
  • 白目が充血する
  • 目やにが増える((透明〜黄色)
  • 涙が多く出る
  • 目をこする、しょぼしょぼさせる
  • 目を開けにくそうにする

早期に適切な治療を行えば比較的短期間で改善しますが、放置すると慢性化したり、角膜炎に進行したりする恐れがあります。

目の表面を覆っている角膜に炎症や傷ができる病気です。猫同士のケンカによる引っかき傷、異物混入、ウイルス感染などが主な原因です。

症状

  • 透明から黄色の目やに
  • 涙が大量に出る
  • まぶしそうに目を細める
  • 目を開けられない
  • 目の表面が白く濁る

重症化すると角膜に穴が開き、最悪の場合は失明する危険性もあります。緊急性の高い疾患なので、すぐに動物病院を受診しましょう。

涙が常に目から溢れ出して、目の周囲の毛が茶色く変色してしまう状態です。鼻涙管という細い管が詰まると、涙が正常に排出されず目から溢れ出てしまいます。

特に短頭種(ペルシャ、ヒマラヤン、エキゾチックショートヘアなど)は、生まれつき鼻涙管の流れが悪かったり、鼻涙管の構造が正常でなかったりすることがあります。

対策

  • 鼻涙管閉塞の原因が先天的か疾患によるものかまずは受診する
  • 目の周りの毛を短くカットする
  • 毎日こまめに涙や目やにを拭き取る

準備するもの

  • 清潔なコットンやガーゼ
  • ぬるま湯(人肌程度)または動物用アイローション

※ティッシュペーパーは繊維が粗く、目を傷つける恐れがあるため避けましょう。

拭き取りの手順

  1. コットンやガーゼにぬるま湯を含ませます
  2. 目尻から目頭へ向かって優しく拭き取ります
  3. 強くこすらず、優しく押し当てるようにします
  4. 使用したコットンは一度使ったら必ず捨てます
  5. 片目だけに症状が出ている場合は、別のコットンで使い分けます

目やにが乾燥して固まっている場合は、無理に引っ張らず、まずぬるま湯で湿らせてふやかします。数秒間優しく押し当てて、目やにが柔らかくなってから取り除きましょう。

動物病院で目薬を処方された場合の点眼方法です。

  1. 利き手に目薬を持ち、反対の手で猫の下あごを支えます
  2. 上まぶたを軽く持ち上げ、目の上から点眼します
  3. 猫の背中側から、体を包み込むような体勢で行うとスムーズです
  4. 点眼後はたくさん褒めてあげましょう

清潔な環境を保つ

  • 飼育環境のこまめな掃除(週2〜3回以上が目安)
  • 空気清浄機の使用
  • 寝具の定期的な洗濯(週1回程度が目安)
  • 湿度管理(湿度50〜60%を保つ)

アレルゲンとの接触を減らす

  • 花粉の季節は体を拭く(外出する猫の場合)
  • 香りの強い芳香剤や柔軟剤は避ける
  • 猫の近くでの喫煙は絶対に避ける
  • 飛び散りにくい猫砂を選ぶ

毎日の触れ合いの中で、以下をチェックしましょう。

  • 目やにの色、量、質感
  • 目の充血や腫れ
  • 涙の量
  • 瞬膜が出ていないか
  • 目の周囲の毛の変色(涙やけ)

早期に異常を発見することで、適切に対処することができます。


以下のような症状が見られる場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

すぐに受診が必要な症状

  • 黄色・緑色・血の混じった目やに
  • 目を開けられない・痛がる
  • 片目だけに症状が出る
  • 目が腫れている・変形している
  • 目の表面が白く濁っている

目やにに加えて、くしゃみ、鼻水、発熱、食欲不振、元気がないなどの全身症状がある場合は、猫風邪などの感染症が疑われます。特に子猫や高齢猫では早急な治療が必要です。

自宅でケアをして1〜2日経っても症状が変わらない、あるいは悪化している場合は、早めに獣医師の診察を受けましょう。

  • いつから症状が始まったか
  • 目やにの色、量、質感の変化
  • どちらの目に症状があるか(片目/両目)
  • 他に見られる症状
  • 最近の環境や食事の変化
  • ワクチン接種の状況

また、自宅での目をこする様子や目やにの状態などを動画で撮影しておくと、獣医師への説明がより正確になります。

特に、普段は見せない行動や、夜間に激しくかゆがる様子など、診察室では確認できない症状を記録しておくことで、診断の大きな手がかりになります。


顔の骨格が独特で、鼻涙管が圧迫されやすく、生まれつき鼻涙管閉塞による涙やけになりやすい傾向があります。また、目が大きく飛び出しているため、異物が入りやすく、傷つきやすいリスクもあります。

ケアのポイント

  • 毎日必ず目やにと涙を拭き取る
  • 目の周りの毛を短くカットする

長い被毛が目に入りやすく、それが刺激となって涙や目やにが増えることがあります。

ケアのポイント

  • 目の周りの毛を定期的にカットまたはトリミング
  • ブラッシングで抜け毛が目に入らないよう注意する

7歳以上のシニア猫は、涙の分泌量や質の変化、免疫力の低下、自浄作用の低下などが起こり、目やにが増えやすくなります。

ケアのポイント

  • 飼い主さんが毎日ケアしてあげる
  • 年に1〜2回の健康診断で目の状態もチェック
  • 栄養バランスの良い高齢猫用フードを与える

愛猫とのスキンシップの時間を使って、毎日、目の状態をチェックする習慣をつけましょう。
少量の目やにであれば、毎朝清潔なコットンで優しく拭き取ります。

特に換毛期(春と秋)は、こまめなブラッシングで抜け毛を取り除きましょう。

健康そうに見えても、年に1〜2回は動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。若い猫は年1回、7歳以上のシニア猫は年2回が目安です。

猫風邪など、目やにの原因となる感染症の多くは、ワクチンで重症化を防ぐことができます。

猫はストレスに弱い動物といわれており、ストレスが免疫力を低下させ、さまざまな病気にかかりやすくなるとの報告もあります。

対策

  • 静かで落ち着くことができる場所を用意する
  • 高い場所に登ることができるようにキャットタワーを設置する
  • 隠れられる場所を複数用意する
  • 規則正しい生活リズムを保つ

多頭飼いの場合は、感染症が広がりやすいため、一匹に『目やに』や『猫風邪』などの症状が出たら、すぐに隔離して他の猫への感染を防ぐようにする必要があります。


猫の目やには、単なる汚れではなく、愛猫の健康状態を知らせてくれる大切なサインです。

この記事のまとめ

  • 正常な目やには薄い茶色〜透明で少量、異常な目やには黄色・緑色・血混じりで大量
  • 主な原因は環境要因、アレルギー、感染症、結膜炎、角膜炎、鼻涙管閉塞など
  • 自宅ケアは清潔なコットンで優しく拭き取り、環境を清潔に保つことが基本
  • 黄緑色の目やに、目を開けられない、片目だけの症状などは早急に受診が必要
  • 短頭種や長毛種、高齢猫は特に注意が必要
  • 日常的な予防として定期的なケア、健康診断、ワクチン接種が重要

早期発見・早期治療が鍵
目のトラブルは、放置すると急速に悪化したり、慢性化したり、最悪の場合は失明につながったりする可能性があります。異常なサインが見られたら、できるだけ早く受診しましょう。

日常のケアと観察が予防につながる
毎日の目やにチェックと拭き取り、清潔な環境の維持、バランスの取れた食事、ストレス管理など、日常的なケアが目のトラブルの予防につながります。

飼い主としての責任
猫は自分の不調を言葉で伝えることができません。だからこそ、飼い主さんが日々の観察を通じて、小さな変化に気づいてあげることが大切です。

愛猫の目がいつもキラキラと輝いていられるように、日々のケアと観察を大切にしていきましょう。少しでも気になることがあれば、遠慮せずにかかりつけの動物病院に相談してください。

動物用医薬品に関するご不明点やご相談がある場合は、動物のお薬の専門店『ねこあざらし薬店』にお気軽にお問い合わせください。

【獣医師監修】犬猫の皮膚トラブル、アレルギーかも?と思ったら知っておきたいこと

愛犬や愛猫が頻繁に体を掻いている、皮膚が赤くなっている、毛が抜けている…そんな症状が見られたら、それはアレルギーのサインかもしれません。
特に、食事内容や生活環境を変えた後にこれらの症状が現れたときは、何らかのアレルゲンが影響している可能性があります。

このコラムでは、アレルギーの正しい知識から治療法、そしてご自宅でできる具体的なケア方法までを分かりやすく解説します。

【この記事を読んでわかること】

  • アレルギーは免疫システムが無害なものに過剰反応して起こる
  • 犬アトピー性皮膚炎が最も多く、食物アレルギーを併発することも多い
  • かゆがる様子の動画撮影が診断に有効
  • 治療にはアレルゲンの回避、薬物療法、食事療法などがある
  • 環境管理(掃除、湿度管理)と定期的な皮膚の状態チェックが重要
  • ノミ・マダニもアレルギーの原因になるため定期的な予防が必要
  • おやつや人の食べ物を与えない、疾患によっては療法食を続けることが大切

最後まで記事を読んで、犬と猫のアレルギーについて学んでみましょう。


アレルギーとは、体の免疫システムが本来は無害な物質に対して過剰に反応し、炎症を起こす状態です。

私たちの体には、ウイルスや細菌などの外敵から身を守る「免疫応答」が備わっています。免疫応答では「抗体」という武器をつくりだして異物を排除します。この戦いの過程で炎症が起こります。

アレルギーは、この免疫応答が花粉など体にとって問題のないものに対しても起こってしまい、炎症を引き起こすことをいいます。

アレルギーというと皮膚の病気を連想する方が多いと思いますが、実は皮膚症状以外にも鼻炎や下痢などさまざまな症状を引き起こすことがあります。

アレルギーの原因となるもの(アレルゲン)には、ノミ、マダニ、ダニ、花粉、食べ物などがあります。

犬のアレルギー性皮膚炎の中で最も多いものが犬アトピー性皮膚炎となっています。
犬アトピー性皮膚炎では食物アレルギーを併発していることも多いと報告されています。

アレルギーの種類主な原因
犬アトピー性皮膚炎花粉、ダニ、カビ、ハウスダスト
食物アレルギー牛肉、鶏肉、小麦、卵、乳製品
ノミ、マダニアレルギー性皮膚炎ノミやマダニの唾液
接触性アレルギーシャンプー、洗剤、植物、化学物質

アレルギーは複数の原因がかさなって起こっている場合もあるため、総合的な対策が必要です。

食物アレルギーは食べ物が原因でおこるアレルギーのことですが、実はアレルギー全体から見ると、純粋に食物が原因のアレルギーはそれほど多いわけではありません。

食物アレルギーの場合は、食べ物に含まれるタンパク質が主な原因といわれています。ただ、どのタンパク質が原因なのかは犬・猫1頭1頭それぞれで異なります。

●犬でアレルゲンとして報告されることが多い食材
犬のアレルゲンとして報告されている主な食材には、牛肉、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、鶏肉、小麦、卵、大豆、ラム肉、トウモロコシなどがあります。

猫でアレルゲンとして報告されることが多い食材
猫のアレルゲンとして報告されている主な食材には、牛肉、魚類(特にキャットフードによく使用されるマグロ、サバ、サーモンなど)、鶏肉、乳製品、小麦、卵、ラム肉などがあります。
これらの食材は一般的なペットフードに含まれることが多いため、長期間摂取することでアレルギーを発症する可能性があります。

食物アレルギーの特徴
食物アレルギーは初めて食べたものに対して起こることがある一方で、過去に摂取したことのある食材が原因となることも多いと報告されています。
つまり、今まで問題なく食べていたものでも、ある時から突然アレルギー反応を示すようになることがあります。


激しいかゆみが最も特徴的で、頻繁に体を掻いたり、床や壁などに顔や足をこすりつけたりするしぐさが見られます。皮膚の赤みや炎症、かさぶたや脱毛も一般的です。足先を執拗に舐める行動や外耳炎も多く見られ、重症化すると皮膚が黒く厚くなることがあります。また、消化器症状として嘔吐や下痢などが見られることもあります。

皮膚が薄い部位に症状が現れやすい傾向があります。具体的には、顔(目や口の周り)、耳の内側、お腹、足の裏、わきの下、内股などです。

過剰なグルーミング(執拗に体を舐め続ける)、脱毛(特に耳の後ろ、お腹、内股)、皮膚の赤みやかさぶたなどが見られます。

猫はもともとグルーミングをよく行う動物ですが、アレルギーがあるとかゆみからひたすら特定の部位を舐め続け、その部分の毛が薄くなったり脱毛したりすることがあります。また、消化器症状として嘔吐や下痢などが見られることもあります。

1歳までに発症した、うんちの回数が多い、季節に関係なくかゆがる、口や目のまわり・背中などに炎症がある、下痢や嘔吐を伴うなどの兆候がみられる場合は、食物アレルギーが疑われます。


かゆがっている様子をスマートフォンなどで動画撮影しておくことが診断に非常に役立ちます。

夜間に激しくかゆがる様子など、診察室では確認できない症状を記録することで、診断の大きな手がかりになります。

かゆみの原因は多く存在するため、段階的に検査を進めていきます。

ステップ1:外部寄生虫の検査
ノミやマダニなどの寄生虫の予防状況を確認します。この時点で適切な予防を行っていなければ、まずは駆除薬を投与して症状の有無を観察します。

ステップ2:感染症の検査
膿皮症、マラセチアなどの感染がないか確認します。多くの場合は症状がある部位の皮膚の一部を採取し、顕微鏡で観察します。感染が見られれば抗生剤や抗真菌薬などの投与を行います。

ステップ3:アレルギーの検査
食物アレルギーを疑う場合は、アレルゲンとなる食材が含まれている可能性の低いフードのみを与える「除去食試験」という検査を行います。8週間ごとにフードの種類を変え、症状の改善が認められるかをみていきます。また、同時に、血液検査でアレルゲンに対する反応を調べる検査も行う場合があります。

ステップ4:アトピー性皮膚炎の可能性
1~3の検査や治療を行っても改善が見られない場合は、アトピー性皮膚炎の可能性が高くなります。
ステップ3のアレルゲンを調べる血液検査では、同時に環境のアレルゲン(ダニ・花粉など)についても調べることができますので、その結果も診断の大きな手掛かりになります。

診断の際には、いくつかの重要なポイントがあります。
まず季節性があるかどうか、つまりアレルゲンとなりやすい花粉の時期に悪化するかどうかを確認します。発症年齢も重要で、多くは1〜3歳で発症することが多いとされています。
また、症状の出る部位が特定の部位に集中する傾向があるかも診断の手がかりになります。

診断には時間がかかる場合がありますが、獣医師とよく相談しながら検査を進めることが重要です。


アレルギーの対処方法の基本はアレルゲンを取り除くことです。
ノミやマダニが原因であれば適切なスケジュールにて予防を行うと共に、清潔な環境を整えることが大切です。食物アレルギーであればアレルゲンを含まない食事を与えることが重要です。
アトピー性皮膚炎と診断された場合でも、フードを変更することで症状がよくなる場合も多くあります。

アレルゲンを取り除くことに加えて症状の程度によっては以下のような薬物を使用することもあります。

分子標的薬(JAK阻害薬・ヤヌスキナーゼ阻害薬

  • 比較的副作用が少なく、かゆみや炎症を抑える効果があります
  • かゆみ止めの第一選択として使われることも多い薬です
  • オクラシチニブは『犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドライン(2015年アップデート版)』において、急性及び慢性の犬アトピー性皮膚炎に「推奨度A」で推奨されています

抗ヒスタミン剤

  • かゆみや炎症を抑える効果があります
  • 副作用が少ないですが、効果も比較的穏やかで、効き目には個体差があります

ステロイド剤

  • 強力な抗炎症作用があります
  • 長期使用には副作用のリスクがあるため慎重な管理が必要です

免疫抑制剤

  • 重度のアレルギーに使われることがあります
  • 長期使用には副作用のリスクがあるため慎重な管理が必要です

抗生物質・抗真菌薬

  • 細菌やマラセチアなどによる二次的な皮膚感染症を治療します

食物アレルギーが疑われる場合は、食事療法が取り入れられます。
基本的には原因となっている食べ物を与えないことが大切です。
具体的には、今まで食べたことのないタンパク質を選ぶことになります。
その際、できるだけ消化性の高い良質のタンパク質を、できるだけ種類を限定して与えます。多くの場合、除去食試験の際に使用して改善が見られた療法食を継続して使用します。

●新奇タンパク食(今までに食べたことのないタンパク質の食事)
最近では、ペットフード会社から以下に示すような様々な新奇タンパク質源となる肉を使用したフードが販売されています。

  • ダック(鴨・アヒル)
  • ターキー(七面鳥)
  • 鹿肉
  • バイソン
  • カンガルー
  • うさぎ
  • うずら
  • ダチョウ

これらは一般的なペットフードにはあまり使用されないタンパク質源です。
ただし、個体ごとに食歴が異なるため、獣医師が今まで食べたことのないタンパク質を選択します。

加水分解タンパク食(アミノ酸オリゴペプチド食)
タンパク質をアミノ酸や、アミノ酸が2〜数十個結合したオリゴペプチド(ペプチド)にまで細かく分解することで、免疫システムが反応しにくくなるように調整した療法食となります。


食事アレルギーに対する食事管理は、一生のおつきあいとなります。獣医師の指導のもと、継続して行いましょう。また、その他の治療方法としてアレルゲンを洗い流したり、皮膚のバリア機能を正常化したりすることを目的としてシャンプー療法も行われることがあります。


食事管理は獣医師の指導のもと継続して行いましょう。

1. おやつ、人の食べ物は与えないようにしましょう
せっかく食物アレルギーに対応した療法食でタンパク質の種類を限定しているのに、おやつや人の食べ物を与えてしまうと、与えるタンパク質の種類を限定することができなくなってしまいます。
療法食以外は何も与えないようにしましょう。

家族のなかで知らない間におやつや人の食べ物を与えてしまっている人がいないように、家族全員におやつや人の食べ物をあげてはいけないことを知らせ、守ってもらうようにしましょう。また、拾い食いにも注意しましょう。

2. 食事療法食の使用を勝手にやめないようにしましょう
基本的にアレルゲンとなってしまった食べ物は生涯ずっとアレルゲンであり続けるため、療法食は生涯ずっと続けていく必要があります。
また、皮膚が新しく生まれ変わるには3~4週間ほどの時間が必要なこと並びに治療を始めてから変化が見られるまで少なくとも犬で5週間、猫で6週間かかり、90%以上の犬猫で症状が改善するには8週間かかるとの報告もあります。

よって、改善しないからといって使用をやめるのではなく、まずは獣医師が選んだ療法食を続けて様子を観察しましょう。


●清潔な環境を保つ
特にアトピー性皮膚炎の場合は環境アレルゲンを減らすために、家の中を清潔に保つことを心がけましょう。
こまめな掃除(週2〜3回以上が目安)、空気清浄機の使用、寝具の定期的な洗濯(週1回程度が目安)、湿度管理(湿度50〜60%を保つことが推奨されます)などが効果的です。

ダニやカビの発生を防ぐためにはこまめな掃除や湿度管理が効果的です。これにより、症状が悪化するのを防ぐことが期待できます。

●アレルゲンとの接触を減らす
アトピー性皮膚炎にすでに罹患してもいなくても、可能な限りアレルゲンとなる物質との接触は控えることが大切です。
花粉の季節は散歩後に足や体を拭くこと、香りの強い芳香剤や柔軟剤は避けることなども有効です。

毎日の触れ合いの中で、皮膚の赤みや腫れ、脱毛の有無、かさぶたや傷、耳の汚れや赤みなどをチェックしましょう。早期に異常を発見することで、適切に対処することができます。

皮膚と被毛の健康は、食事から摂る栄養にも大きく左右されます。良質なタンパク質を含むバランスの取れた食事を与えることで、皮膚トラブルを予防できる可能性があります。

適切なスケジュールにてノミ・マダニの予防を行っていない場合、脱毛の原因として、まずは外部寄生虫によるものかどうかの確認が大切です。

ノミアレルギー性皮膚炎は、たった1匹のノミに刺されただけでも激しいかゆみと脱毛を引き起こすといわれており、ノミ・マダニ駆除薬を使用することで症状が改善することがあります。

定期的なノミ・マダニに対する予防は、これらの寄生虫による皮膚トラブルを未然に防ぐために非常に重要です。

もし、皮膚に何かしらの皮膚炎症状を発見したら、患部を清潔に保ち、エリザベスカラーなどを利用して掻きむしりを防ぐこと、ストレスを軽減することが大切です。シャンプーや患部の洗浄は、かえって皮膚に刺激を与えることがあるため、無理に洗浄せず、そのまま動物病院を受診するのが最善です。

脱毛やかゆみが続く、膿や血が出ている、脱毛が広がっている、皮膚から悪臭がする、食欲がない、元気がないといった症状が見られたら、早めに獣医師に相談してください。軽度の皮膚トラブルでも、放置すると悪化し、治療が長引くことがあります。

診察の際には、自宅での様子、症状が出始めた時期、最近の環境や食事の変化、他に見られる症状、過去の病歴などの情報を獣医師に伝えると診断がスムーズになります。

また、自宅でのかゆがる様子や掻く頻度、グルーミングの状態などを動画で撮影しておくと、獣医師への説明がより正確になります。

特に、普段は見せない行動や、夜間に激しくかゆがる様子など、診察室では確認できない症状を記録しておくことで、診断の大きな手がかりになります。

これらの情報を基に、獣医師が正確な診断を行い、適切な治療を開始できるでしょう。

●人用の薬を勝手に使わない
人間用の薬は、犬や猫には有害なものがあります。例えば、猫はアセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)に対して中毒を起こすことが知られており、命に関わることもあります。お薬投与の際には必ず獣医師の診察を受けてください。

症状が改善しても勝手に治療をやめない
アレルギーは慢性疾患であり、症状が治まっても根本的な体質は変わりません。治療を中断すると再発する可能性が高いため、獣医師の指示に従って継続することが大切です。

過度な洗浄やシャンプー
かゆがっているからといって、頻繁にシャンプーをすると、かえって皮膚のバリア機能を低下させることがあります。獣医師から指示された通りの頻度と方法で行いましょう。


アレルギーの治療は長期にわたりますが、病態を正しく理解し、定期的な通院と日々のケアを続けることで、症状の頻度を抑えてあげることが可能です。

この記事のまとめ

  • アレルギーは免疫システムが無害なものに過剰反応して起こる
  • 犬アトピー性皮膚炎が最も多く、食物アレルギーを併発することも多い
  • かゆがる様子の動画撮影が診断に有効
  • 治療にはアレルゲンの回避、薬物療法、食事療法などがある
  • 環境管理(掃除、湿度管理)と定期的な皮膚の状態チェックが重要
  • ノミ・マダニもアレルギーの原因になるため定期的な予防が必要
  • おやつや人の食べ物を与えない、疾患によっては療法食を続けることが大切

犬と猫のアレルギーは適切な知識と治療でコントロールできる慢性疾患です。

アレルギー性皮膚炎は、犬や猫にとってつらい症状を引き起こしますが、適切なケアや治療で症状を和らげることができます。早期の発見と治療が大切であり、日常生活での予防やケアも欠かせません。

愛犬や愛猫の皮膚や被毛に気になることがあれば、早めに動物病院を受診することをおすすめします。まずはかかりつけの動物病院を受診し、獣医師と相談しながら最適な治療方針を決めていきましょう。日々の観察と記録、そして適切な投薬管理が、愛犬・愛猫の穏やかな生活を支える大きな力となります。

動物用医薬品に関するご不明点やご相談がある場合は、動物のお薬の専門店『ねこあざらし薬店』にお気軽にお問い合わせください。

【獣医師監修】犬猫の療法食『腎臓・尿路・肥満・アレルギー』症状別の選び方ガイド

療法食は、特定の健康状態に応じた栄養管理をサポートするために、栄養成分が調整された特別なペットフードです。
この記事では、犬猫の療法食について、主な種類や選び方、切り替え方法、食べない時の対策などを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 療法食は特定の健康状態に応じて栄養成分が調整されたフード
  • 腎臓サポート、尿路疾患サポート、消化器サポートなど目的別に種類がある
  • 療法食への切り替えは基本的には段階的に行うことが重要
  • 食べない場合はトッピングや温める、メーカーを変更するなどの対策が有効
  • 療法食の使用は必ず獣医師の指導のもとで行う

最後まで記事を読んで、犬猫の療法食について学んでみましょう。

療法食の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


療法食とは、特定の健康状態や疾患に対応するために、栄養成分が調整された動物用のフードです。

通常のペットフードとは異なり、タンパク質やミネラル、脂質などの特定の栄養素の量が調整されており、獣医師の指導のもとで使用されます。

療法食は以下のような目的で使用されます。

『栄養管理のサポート

腎臓病や尿路結石、消化器疾患などの健康問題を抱える犬猫に対して、適切な栄養バランスを提供します。

例えば、腎臓病用の療法食では、リンやナトリウム、タンパク質の含有量が調整されており、腎臓への負担を軽減するように設計されています。

『健康維持の補助かつ疾患の治療』

療法食は栄養管理を通じて健康維持をサポートすると共に疾患の治療方法の1つとして使用することがほとんどです。

適切な栄養バランスを維持することで、疾患の原因を減らしたり、再発を防いだりなどの効果が期待されます。

『症状の進行管理』

特定の健康状態において、食事による栄養管理を行うことで、症状の進行に配慮した対応が可能になります。

獣医師の診断と指導に基づいて適切な療法食を選択することが、犬猫の長期的な健康管理に役立ちます。


犬猫の療法食には、健康状態に応じてさまざまな種類があります。

項目内容
対象慢性腎臓病の犬猫
特徴リン、ナトリウム、タンパク質の含有量を調整
目的腎臓への負担を軽減し、健康管理をサポート

腎臓サポート療法食は、慢性腎臓病の犬猫のために、特定の栄養素が調整されたフードです。
腎臓は主に体内の老廃物をろ過する重要な器官ですが、機能が低下するとその働きが十分に行われなくなります。

このフードは、リンやナトリウムの含有量を制限し、良質なタンパク質を適切な量で配合することで、腎臓への負担を軽減します。

また、水分含量が多めのウェットタイプも用意されており、適切な水分補給を促進する役割も果たします。

腎臓病は進行性の疾患であるため、早期からの栄養管理が重要です。

項目内容
対象尿路結石、膀胱炎のある犬猫
特徴尿のpHバランスを調整、ミネラル含有量を制限
目的尿路の健康維持をサポート

尿路疾患サポート療法食は、尿路結石や膀胱炎などの尿路トラブルを抱える犬猫のためのフードです。

尿のpHバランスを適切に保つことで、結石の形成リスクに配慮した栄養管理を行います。

また、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル含有量が調整されており、結石の原因となる成分の過剰摂取を防ぎます。

さらに、犬猫が十分な水分を摂取できるように、ウェットタイプの製品が多く用意されています。

適切な食事選択と水分摂取により、尿路の健康を配慮した栄養管理が期待できます。

項目内容
対象下痢、嘔吐、消化不良のある犬猫
特徴消化しやすい成分、食物繊維を配合
目的消化器の健康維持をサポート

消化器サポート療法食は、消化器系に問題を抱える犬猫のために設計されたフードです。

消化に優しい成分で構成されており、胃腸への負担を軽減します。

また、適切な食物繊維が配合されており、腸内環境を整える役割を果たします。

下痢や嘔吐、食欲不振などの症状がある場合、消化器サポート療法食を使用することで、消化器系の健康維持と栄養管理が期待できます。

項目内容
対象体重管理が必要な犬猫
特徴低カロリー、高タンパク質、食物繊維を配合
目的適切な体重管理をサポート

肥満予防サポート療法食は、体重管理が必要な犬猫向けに開発されたフードです。

低カロリーでありながら、犬猫に必要な栄養素をバランスよく含んでおり、満腹感を得られる工夫がされています。

肥満は糖尿病や関節疾患、心臓病などさまざまな健康リスクを高めるため、適切な体重管理は犬猫の健康維持にとって重要です。

療法食を通じて、適切な体重管理をサポートすることが期待されます。

項目内容
対象食物アレルギーのある犬猫
特徴アレルゲンとなる成分を除去または低減
目的アレルギー症状の管理をサポート

アレルギー対応療法食は、特定の食物アレルギーを持つ犬猫のために開発されたフードです。

アレルギー反応が起きにくい原材料と成分が使用され、一般的に単一のタンパク源と炭水化物源で構成されています。

これにより、飼い主はアレルギーの原因を特定しやすくなります。

皮膚炎や消化器症状などのアレルギー症状がある場合、獣医師の診断のもとで適切な療法食を選択することが推奨されます。


療法食への切り替えは、獣医師からすぐに切り替えるよう指示がない限り、基本的に1週間かけて段階的に行いましょう。

急激な食事の変更は、犬猫にストレスを与え、消化不良や食欲不振の原因となることがあります。

療法食への切り替えは、一般的に以下のようなステップで行います。

日数従来のフード療法食
1〜2日目75%25%
3〜4日目50%50%
5〜6日目25%75%
7日目以降0%100%

最初の数日は、従来のフードに療法食を少量混ぜて与え、徐々に療法食の割合を増やしていきます。
この方法により、犬猫が新しいフードに慣れることができ、消化器官への負担も軽減されます。

  • 獣医師の指示に従って切り替えのペースを調整する
  • 犬猫の様子を観察し、下痢や嘔吐などの異常があればすぐに獣医師に相談する
  • 切り替え期間中は、他のフードやおやつを与えないようにする
  • 十分な水分摂取を促す

犬猫が療法食を食べてくれない場合、以下のような対策を試してみましょう。

獣医師の指導のもと、疾患の治療に影響を与えないトッピングを加えることで、嗜好性を高めることができます。

例えば、以下のようなトッピングが効果的です。

  • 鶏肉や魚のゆで汁
  • 少量の鶏ささみ(茹でたもの)
  • 犬猫用のスープ

ただし、トッピングの成分が療法食の目的に影響を与えないよう、必ず獣医師に相談してから使用しましょう。

ドライフードやウェットフードを少し温めることで、香りが引き出され、犬猫が食べやすくなることがあります。

電子レンジで10〜15秒程度温めるか、ぬるま湯をかけてふやかすなどの方法が有効です。

温めすぎると栄養素が損なわれる可能性があるため、人肌程度の温度を目安にしましょう。

食事をする場所を静かで落ち着いた場所に移すことで、ストレスを軽減し、リラックスして食事を取ることができるかもしれません。

周囲の騒音や刺激を排除し、落ち着いた環境を提供することが大切です。

また、食器の種類や高さを変えることで、食べやすくなる場合もあります。

1日の給餌回数を増やし、1回あたりの量を減らすことで、食べやすくなることがあります。

また、決まった時間に食事を与えることで、食事のリズムが生まれ、犬猫が食事を期待するようになります。

上記の対策を試しても療法食を食べない場合は、必ず獣医師に相談しましょう。
獣医師は、メーカーが異なっても目的が同じ療法食や、他の栄養管理方法を提案してくれます。

また、食欲不振の背景に病気の進行や他の問題がある可能性もあるため、早めの相談が重要です。


療法食を使用する際には、以下の点に注意しましょう。

療法食は必ず獣医師の指示に基づいて使用する必要があります。

自己判断での変更や中止は、犬猫の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
獣医師は、犬猫の健康状態に応じた最適な療法食を提案してくれます。

療法食の効果を最大限に引き出すためには、他のフードやおやつを与えないことが重要です。

特定の成分に制限がある療法食の場合、他の食べ物を与えることで、その効果が損なわれる可能性があります。
どうしてもおやつを与えたい場合は、必ず獣医師に相談しましょう。

犬猫の体重や健康状態に応じて、適切な給餌量を守ることが大切です。
過剰な給餌は肥満を招き、不足は栄養不足の原因となります。

療法食のパッケージに記載されている給餌量を参考にし、獣医師と相談しながら調整しましょう。

療法食を使用している間は、定期的に動物病院で健康状態を確認することが重要です。

獣医師の診察を受けることで、療法食の効果をモニタリングし、必要に応じて種類や給餌量を調整することができます。
血液検査や尿検査などを定期的に行い、健康状態の変化を把握しましょう。

療法食を使用する際は、十分な水分摂取を促すことが大切です。

特に腎臓病や尿路疾患の場合、適切な水分摂取が健康管理に重要な役割を果たします。
新鮮な水を常に用意し、複数の場所に水飲み場を設置するなどの工夫をしましょう。


A. はい。療法食は総合栄養食として設計されており、療法食と水だけで必要な栄養を満たせます。

A. 獣医師が優先すべき疾患を判断し、最適な療法食を選択します。必ず相談しましょう。

A. 疾患の種類や進行度によります。慢性腎臓病など継続が必要な場合と、一時的な使用で済む場合があります。

A. 療法食による適切な栄養管理は、病気の進行に配慮し、長期的な医療費の軽減にもつながります。


ここまで、犬猫の療法食について、主な種類や選び方、切り替え方法、食べない時の対策などを幅広く解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 療法食は特定の健康状態に応じて栄養成分が調整されたフード
  • 腎臓サポート、尿路疾患サポート、消化器サポートなど目的別に種類がある
  • 療法食への切り替えは段階的に行うことが重要
  • 食べない場合はトッピングや温めるなどの工夫が有効
  • 療法食の使用は必ず獣医師の指導のもとで行う

療法食は、犬猫の健康管理において重要な役割を果たすものであり、獣医師の指導のもとで適切に使用することが大切です。

愛犬・愛猫の健康状態に応じた療法食を選択し、栄養管理を通じて健康維持をサポートしましょう。
療法食に関して疑問や不安がある場合は、必ず獣医師に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

療法食の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了から最短翌日にお薬をお受け取りいただけます。
また、療法食に関するお悩みは、24時間いつでもLINEから薬剤師へご相談いただけます。
ねこあざらし薬店で販売している療法食は、以下からご覧ください。

【獣医師監修】犬猫の歯肉炎の治療薬は?インターベリーαの効果や使い方を解説

犬や猫の歯肉炎の症状を和らげるインターベリーαという医薬品があります。
この記事では、犬猫の歯肉炎について、主な原因や症状、インターベリーαの効果や使い方、自宅でできる口腔ケアなどを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 2歳以上の犬猫の約8割が歯周病に罹患している
  • インターベリーαは歯肉炎の症状を和らげる医薬品
  • 歯周病の悪化と慢性腎臓病の発症には強い相関関係がある
  • 自宅での口腔ケアは歯磨きが基本

最後まで記事を読んで、犬猫の歯肉炎とインターベリーαについて学んでみましょう

インターベリーαの購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


歯肉炎とは、口腔内に溜まった歯垢や歯石によって細菌が繁殖し歯茎に炎症が起こった状態のことをいいます。

歯周病は歯肉炎が悪化してしまった結果、歯の周囲の歯肉や骨などの組織が炎症を起こし破壊される疾患のことを示し、歯肉炎は歯周病の初期症状の一つです。

歯肉炎とは

2歳以上の犬や猫の約8割が歯周病に罹患しているといわれており、非常に多くのペットが歯周病のリスクにさらされています。

リスクの高い個体では1歳未満から歯周病が始まっていることもあるため、早期からの予防が重要です。

歯周病になると、以下のような症状が見られます。

  • 口臭
  • 食欲不振・体重減少
  • 眼の下の腫れ
  • 歯茎の赤み・腫れ
  • 口からの出血

歯周病の細菌が体内に侵入すると、さまざまな病気を引き起こすリスクが高まります。

特に猫では、歯周病の悪化と慢性腎臓病の発症との間に強い相関関係があることが指摘されております。
健康な歯を持つ猫と比較し中等度の歯周病の猫では約14倍、重度歯周病の猫では約35倍も慢性腎臓病を発症するリスクが高まると報告されています。

また、犬においても心臓の弁に菌が付着することで僧帽弁閉鎖不全症や感染性心内膜炎などの心疾患のリスクが高まるとの報告があります。


項目内容
有効成分改変イヌインターフェロン アルファ-4発現イチゴ果実凍結乾燥粉末
適応症犬および猫の歯肉炎の症状軽減
対象動物6ヶ月齢以上の犬および猫
内容量2.75g(10回分)

インターベリーαは、犬と猫の歯周病の初期症状の一つである歯肉炎の症状を和らげるための医薬品です。

2023年2月10日付けで猫の歯肉炎に対する適応症が承認され、犬だけでなく猫にも使用できるようになりました。

インターフェロンαは口腔内の免疫を活性化させる効果を持っています。
口の中の免疫バランスを改善し、歯周病の原因となる細菌数を減少させます。
それにより、歯肉炎の症状を軽減する効果が期待できます。

  • イチゴ風味で使いやすい
  • 動物用医薬品として国から承認を得ており、ペット保険の適用になる場合もある
  • スケーリングや歯みがき等、適切なオーラルケアを並行しながら定期的に使用することで歯周病の進行を抑制することが期待できる

『用法・用量

インターベリーαの使い方は以下のとおりです。

  1. 獣医師が本剤1包装分(2.75g:10回分)を1回分ずつに分包する
  2. 飼い主は指先を水道水で濡らして本剤の1回分を1日1回、犬または猫の歯肉に塗り込み投与する
  3. 投与は3~4日に一回の間隔で合計10回行う

大体週2回、合計5週間使うイメージです。

『使用時の注意点

インターベリーは歯肉に塗る薬です。飲ませても効果はありません
・指先に水を少しつけて、その水でインターベリーの粉を溶かしながら歯肉に塗る
・力加減に注意し、できるだけ優しく行う


歯周病を予防するためには、日頃の口腔ケアが重要です。

最も良いとされる方法はペット用のデンタルブラシで歯磨きをしてあげることです。
できれば毎日、お家でのデンタルケアを実践しましょう。

嫌がる犬や猫も少なくないので、少しずつ時間をかけて習慣づけてあげることが大切です。

まずはお口周りを触ってみて嫌がらなければ、前歯から始めて奥歯までタッチできるか挑戦します。

問題なく歯に触れるようになれば、愛犬や愛猫が好きな風味のデンタルジェルなどを指先につけてゆっくりと歯を磨いてあげるようにしましょう。

デンタルジェルでの歯磨きが上手にできるようになったら、いよいよ歯ブラシを使用して磨いてあげてみてください。

歯ブラシでの歯磨きが難しい場合は、以下のような方法もあります。

・使い捨てタイプの歯磨きシート
・おもちゃタイプ:楽しく遊びながらケア
・おやつタイプ:自然と噛むだけでケア
・デンタルジェル

・歯周病の兆候がある場合、歯茎がもろくなっていて出血や痛みを感じやすいことがあります
・犬や猫が不快感を覚えると、後々の歯のケアが難しくなる可能性があります


ここまで、犬猫の歯肉炎について、主な原因や症状、インターベリーαの効果や使い方、自宅でできる口腔ケアなどを幅広く解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 2歳以上の犬猫の約8割が歯周病に罹患している
  • インターベリーαは歯肉炎の症状を和らげる医薬品
  • 歯周病の悪化と慢性腎臓病や心疾患の発症には強い相関関係がある
  • 自宅での口腔ケアは歯磨きが基本

犬猫の歯周病は多くのペットが抱える問題であり、早期からの予防と適切な治療が重要です。

インターベリーαは歯肉炎の症状を和らげる効果が期待できますが、日頃の口腔ケアも並行して行うことが大切です。歯肉炎の症状が見られたら、まずはお近くの動物病院を受診し、獣医師の指示を理解した上で適切にお薬を使用しましょう。

なお、インターベリーαの購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了から最短翌日にお薬をお受け取りいただけます。
また、お薬に関するお悩みは、24時間いつでもLINEから薬剤師へご相談いただけます。
ねこあざらし薬店で販売しているインターベリーαは、以下からご覧ください。

犬猫の主な寄生虫は?各寄生虫の駆虫薬について解説【獣医師執筆】 

この記事では、犬や猫の主な寄生虫について解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 犬や猫の寄生虫は「内部寄生虫」と「外部寄生虫」の大きく2種類に分かれる
  • 犬の主な内部寄生虫は犬回虫や犬鉤虫、瓜実条虫など
  • 猫の主な内部寄生虫は猫回虫や猫鉤虫、瓜実条虫など
  • 外部寄生虫にはノミやマダニ、ヒゼンダニなどがある
  • 寄生虫を予防するためには、定期的な駆虫薬の投与や衛生管理が重要

最後まで記事を読んで、犬や猫の主な寄生虫について学んでみましょう。

犬猫のお薬についてお悩みの方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


犬や猫の寄生虫は、大きく分けてA. 内部寄生虫B. 外部寄生虫の2種類に分かれます。

それぞれの寄生虫について、その特徴や代表的な種類について見ていきましょう。

内部寄生虫とは、その名のとおり体の中に寄生する寄生虫です。

内部寄生虫はその種類によって、胃や腸、肝臓など、さまざまな臓器に寄生します。

犬や猫の内部寄生虫は、大きく分けて線虫と条虫の2種類が存在し、線虫はさらに回虫や鉤虫、鞭虫などの種類に分類されます。

分類 代表的な寄生虫 主な宿主 
回虫 犬回虫、犬小回虫、猫回虫 犬、猫 
鉤虫 犬鉤虫、猫鉤虫 犬、猫 
鞭虫 犬鞭虫 犬 
分類 代表的な寄生虫 主な宿主 
条虫 瓜実条虫、猫条虫、マンソン裂頭条虫、エキノコックス 犬、猫 

以下に、内部寄生虫における詳細をご紹介します。

線虫とは、線形動物門に分類される、細長い形をした内部寄生虫の総称です。

代表的な線虫には回虫や鉤虫、鞭虫などがあり、さらに寄生する動物によって犬回虫や猫鉤虫などに細かく分類されます。

分類 代表的な寄生虫 主な宿主 
回虫 犬回虫、犬小回虫、猫回虫 犬、猫 
鉤虫 犬鉤虫、猫鉤虫 犬、猫 
鞭虫 犬鞭虫 犬 

代表的な線虫について、その詳細を解説します。

回虫は、主に虫卵の付いた食べ物を食べたり、回虫に感染した母親の胎盤を介して妊娠中に感染したりします。

症状は無症状のことが多いですが、寄生数が多くなると下痢や食欲不振、成長不良、体重減少などが現れ、重症例では腸閉塞を起こす場合があります。

寄生虫は最終的に腸に寄生し、感染した犬や猫は糞便中に虫卵を排出するようになります。

この虫卵を介して同居の犬や猫、人にも感染するため、糞便はしっかりと処理し、日頃から外に落ちている食べ物を食べさせないことが重要です。

感染してしまった場合は駆虫薬を投与し、完全に寄生虫を駆除できるまでお薬を投与します。

鉤虫とは、頭部に鉤(かぎ)のような構造を持った、体長1cm〜2cmほどの細長い寄生虫です。

鉤虫は、小腸の壁に鉤を引っ掛けて吸血することで寄生します。

鉤虫に感染すると、下痢や血便、食欲不振などの症状が見られますが、寄生虫の数が少ないと症状が出ないこともあります。

寄生した鉤虫は虫卵を排出し、その虫卵は犬や猫の糞便によって環境に排泄され孵化します。

この孵化した幼虫を体内に取り込むことで、鉤虫は新しい動物に感染します。

鉤虫の感染経路は以下のとおりさまざまです。

【鉤虫の感染経路】

  • 経皮感染
  • 経口感染
  • 経乳感染
  • 経胎盤感染

鉤虫に感染してしまったら、駆虫薬を投与し、貧血を起こしている場合は輸液・輸血なども行います。

条虫(サナダムシ)とは、扁形動物門の条虫網に分類される、扁平で細長い形が特徴の内部寄生虫です。

条虫の体は、図のように片節(へんせつ)が多数つながってできています。

犬や猫に寄生する代表的な条虫には以下のようなものがあります。

分類 代表的な寄生虫 主な宿主 
条虫 瓜実条虫、猫条虫、マンソン裂頭条虫、エキノコックス 犬、猫 

代表的な条虫について、その詳細を解説します。

瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)とは、犬と猫の両方に寄生する条虫です。

原因はノミやハジラミで、瓜実条虫を持ったノミやハジラミを口にすることで感染します。

【主な症状】

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 体重減少

瓜実条虫への感染が疑われる場合は、糞便検査を行って糞便中の片節を確認します。

治療には駆虫薬が使用され、治療開始後は継続して糞便検査を行い、完全に駆虫されるまで駆虫薬を投与します。

猫条虫は、猫に感染する条虫の一種です。

その原因はネズミで、猫条虫を持ったネズミを捕食することで猫は感染します。

【主な症状】

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 体重減少

猫条虫は小腸に寄生して成長し、糞便中に米粒のような片節を排泄するようになります。

治療には駆虫薬を使用し、完全に駆除できるまで継続して駆虫薬を投与します。

外部寄生虫とは、その名のとおり体の外に寄生する寄生虫です。

主に、犬や猫の皮膚や毛に寄生し、炎症やかゆみを引き起こします。

ノミは体長1mm〜2mmほどの小さな昆虫で、犬や猫、人の血液を吸い、かゆみを引き起こします。

野良犬や野良猫に寄生していることが多いです。

マダニとは体長3mm〜8mmほどの昆虫で、犬や猫の血液を吸い、かゆみや皮膚炎などを引き起こします。

また、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)のような致死率の高い感染症を媒介します。

森林や公園、河原などに生息し、散歩中のペットや人に寄生します。

関連記事:マダニから感染する猫のSFTSとは?感染経路や症状、予防法を解説

ニキビダニ(毛包虫)は体長0.2mm〜0.3mmほどの非常に小さな昆虫です。

健康な犬や猫でもニキビダニが常在しており、症状がないことがほとんどですが、子犬や免疫の弱った成犬では脱毛が部分的〜全身に広がることがあります。

ヒゼンダニは、体長0.2mm〜0.4mmほどの非常に小さな昆虫です。

疥癬症(かいせんしょう)という皮膚疾患の原因となり、非常に強いかゆみやフケ、かさぶたなどを引き起こします。

すでに感染している動物との接触により感染するため、定期的なシャンプーや部屋をきれいに掃除することが予防には重要です。

シラミ・ハジラミは、体長2mm〜3mmほどの小さな昆虫です。

シラミは血を吸い、ハジラミは主にフケや皮脂を食べます。

症状は無症状〜強いかゆみが現れるものまでさまざまで、フケや脱毛が生じる場合もあります。


ここまで、犬猫の主な寄生虫を紹介してきましたが、寄生虫を予防・早期治療するためには以下のような対策が重要です。

  • 動物病院で定期的に健康診断を受ける
  • 獣医師の指示を理解し、定期的に駆虫薬を投与する
  • カーペットや布団などを清潔にし、寄生虫の繁殖を抑える

日頃から駆虫薬の投与や清掃を徹底し、愛犬・愛猫を寄生虫から守りましょう。


ここまで、犬や猫の主な寄生虫について解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 犬や猫の寄生虫は「内部寄生虫」と「外部寄生虫」の大きく2種類に分かれる
  • 犬の主な内部寄生虫は犬回虫や犬鉤虫、瓜実条虫など
  • 猫の主な内部寄生虫は猫回虫や猫鉤虫、瓜実条虫など
  • 外部寄生虫にはノミやマダニ、ヒゼンダニなどがある
  • 寄生虫を予防するためには、定期的な駆虫薬の投与や衛生管理が重要

犬猫の寄生虫感染を防ぐには、動物病院への定期的な通院や駆虫薬の投与が重要です。

獣医師の指示を理解した上で、適切にお薬を使用しましょう。

犬猫のお薬についてお悩みの方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店では、決済完了から最短翌日にお薬を受け取れます。

また、お薬に関するお悩みは、24時間いつでもLINEから薬剤師へ相談可能です。

ねこあざらし薬店の詳細は以下からご覧ください。

繰り返す皮膚トラブル、原因は何?犬猫に多い皮膚疾患と治療のはなし【獣医師執筆】 

この記事では、犬や猫で多い皮膚疾患について、主な原因や症状、治療薬、自宅でできる対策などを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • 犬や猫に多い皮膚の病気には、マラセチア症や膿皮症、アレルギー性皮膚炎などがある
  • 治療は外用薬やシャンプー、駆虫薬など疾患によってさまざま
  • 皮膚疾患を予防するには、日頃のブラッシングやシャンプー、栄養管理が大切

最後まで記事を読んで、犬や猫で多い皮膚疾患について学んでみましょう。

犬猫のお薬についてお悩みの方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


犬や猫の皮膚疾患は、以下のとおり症状によってさまざまなものが考えられます。

【犬】

症状原因
痒みがある外耳炎、耳ダニ、疥癬、皮膚糸状菌症、マラセチア症、食物アレルギー、アレルギー性皮膚炎など
皮膚が赤いマダニ・ノミの寄生、皮膚糸状菌症、毛包虫症、疥癬、膿皮症、アレルギー性皮膚炎、マラセチア症など

【猫】

症状原因
痒みがあるノミ・ハジラミ・マダニの寄生、毛包虫症、疥癬、膿皮症、マラセチア症、アレルギー性皮膚炎など
皮膚が赤い毛包虫症、皮膚糸状菌症、ノミ・マダニの寄生、疥癬、膿皮症、アレルギー性皮膚炎、マラセチア症など

1つの症状から特定の疾患を診断することは難しく、複数の症状や年齢、検査結果などを考慮して皮膚疾患を診断していく必要があります。


原因マラセチアというカビ(真菌)
症状痒み、赤み、フケ、脱毛など
治療抗真菌薬(外用薬・内服薬)、シャンプー、外耳道洗浄など
予防定期的なシャンプーや耳道ケア

マラセチアとはカビの1種で、健康な犬や猫の皮膚に元からいる常在菌です。

このマラセチアが何らかの原因で過剰に増殖し皮膚炎が起こった状態をマラセチア症(マラセチア皮膚炎)といいます。

猫では珍しく、犬で一般的な疾患です。

原因にはアレルギーや甲状腺機能低下症などさまざまな疾患があり、垂れ耳で耳の中が蒸れやすい犬種で起こりやすいという特徴があります。

発症すると、痒み、赤み、フケ、脱毛などが現れ、慢性化すると特有の臭いが出る、色素沈着が起こる、皮膚が分厚くなるといった症状が出ます。

治療は抗真菌作用のある薬用シャンプーを使うほか、シャンプーだけでは効果がない場合は外用薬あるいは内服薬の抗真菌薬も用います。

マラセチア性外耳炎の場合は、外耳道洗浄を行うこともあります。

関連記事:犬が耳を痒がる原因は?治療薬や自宅でできる対策を解説【獣医師執筆】

原因細菌感染
症状痒み、赤み、ぶつぶつ、皮剥け、腫れ、痛みなど
治療抗生剤(内服薬)、シャンプーなど
予防湿度を適切に保つ、定期的なブラッシングで皮膚を清潔に保つ

膿皮症(のうひしょう)とは、細菌感染による皮膚病です。

他の皮膚病によって皮膚のバリア機能が低下していたり、免疫力が低下していたりすると発症しやすいです。

猫よりも犬に多い疾患で、細菌が感染する皮膚の深さによって、浅在性膿皮症と深在性膿皮症に分けられます。

浅在性膿皮症では赤みや痒み、ぶつぶつ、皮剥けなどが、深在性膿皮症では赤紫色の腫れや痛み、血や膿が出るなどの症状が現れます。

治療には抗生物質の内服のほか、抗菌作用のあるシャンプーを併用することもあります。

原因カビや花粉などによるアレルギー
症状痒み、脱毛など
治療シャンプー、保湿剤、ステロイド外用薬などによる症状緩和が中心
予防遺伝的要因が大きいため難しい

アレルギー性皮膚炎とは、顔、手足、お腹、脇の下、耳などに皮膚炎が繰り返し起こる病気です。

カビや花粉などによるアレルギーが原因と考えられていますが、発症の詳細なメカニズムは不明です。

強い痒みが生じる、かくことによって脱毛が起こります。

慢性化すると皮膚がベタつく、黒ずむ、厚くなるなどの症状が出ることもあります。

アレルギー性皮膚炎は完全に治すことが難しいため、症状を抑える治療が中心です。

主にシャンプーや保湿剤、ステロイドのような外用薬を用いて、痒みや炎症を抑え、皮膚を健康に保つことを目指します。

原因毛包虫(ニキビダニ)
症状脱毛など
治療駆虫薬、シャンプーなど
予防生活環境をきれいにする、ストレスを与えない

毛包虫症(ニキビダニ症)とは、毛包虫(ニキビダニ)という寄生虫が毛穴に寄生する病気のことです。

毛包虫は健康な動物に常在していることが多く、子犬や子猫、免疫力の低下した個体で発症することが多いです。

発症すると、顔や口、目、手足の先端に部分的な脱毛が起こり、状態によっては全身に脱毛が広がることもあります。

治療にはニキビダニを殺す駆虫薬を投与するほか、シャンプーにより皮脂やフケを減らしたり、免疫力を低下させる他の病気がある場合はその治療も行います。

予防には、生活環境をきれいにし、ストレスを与えないことが重要です。

原因皮膚糸状菌というカビ(真菌)
症状フケやかさぶた、脱毛、赤み、ぶつぶつなど
治療抗真菌薬(内服薬・外用薬)、抗真菌薬を含んだシャンプーなど
予防感染した動物へは触らない、土の上をなるべく歩かない

皮膚糸状菌症とは、皮膚糸状菌というカビが感染することにより引き起こされる病気です。

「土」や「皮膚糸状菌に感染した他の動物」から感染し、フケやかさぶた、脱毛、赤み、ぶつぶつなどの症状を引き起こします。

治療には抗真菌薬の内服薬や外用薬を用いるほか、抗真菌薬を含んだシャンプーも有効です。

人や他の動物にうつるため注意が必要で、世話をする時は感染した動物へは触らず、毛を家の中に広げないようにしましょう。


犬や猫の皮膚疾患を予防するためには、以下のような日常のケアが重要です。

  • 定期的なブラッシングやシャンプーで皮膚と被毛を清潔に保つ
  • 栄養バランスの良い食事を与える
  • ノミやダニの予防薬を継続的に使用する
  • 室温や湿度を適切に保つ
  • 部屋をこまめに掃除する
  • 症状があれば早めに獣医師に相談する

皮膚トラブルは慢性化することも多いため、何か異常が見られたら早めに動物病院へ相談するようにしましょう。 


ここまで、犬や猫で多い皮膚疾患について、主な原因や症状、治療薬、自宅でできる対策などを幅広く解説してきました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • 犬や猫に多い皮膚の病気には、マラセチア症や膿皮症、アレルギー性皮膚炎などがある
  • 治療は外用薬やシャンプー、駆虫薬など疾患によってさまざま
  • 皮膚疾患を予防するには、日頃のブラッシングやシャンプー、栄養管理が大切

犬猫の皮膚疾患にはさまざまな種類があり、原因や治療法も疾患によって大きく異なります。

皮膚トラブルが見られたら、まずはお近くの動物病院を受診し、獣医師の指示を理解した上で適切にお薬を使用しましょう。

犬猫のお薬についてお悩みの方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

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マダニから感染する猫のSFTSとは?感染経路や症状、予防法を解説【獣医師執筆】

この記事では、猫のSFTSについて、感染経路や症状、治療法、予防法などを幅広く解説しています。

【この記事を読んでわかること】

  • SFTSはマダニに噛まれることで感染する
  • 猫の主な症状は「元気がなくなる」「食欲が減る」など
  • SFTSによる猫の死亡率は約60%
  • 猫のSFTSに対する有効な治療法はない
  • 感染を防ぐにはマダニ駆除薬を使い、猫を外に出さないこと

最後まで記事を読んで、猫のSFTSについて学んでみましょう。

なお、マダニ駆除薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。


最近、SFTSに関するニュースをよく目にしますが、いったいSFTSとは何なのでしょうか?

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、SFTSウイルスによる感染症です。

SFTSウイルスは2011年に中国で初めて発見されて以来、東アジア~東南アジアに広がりました。

日本では、2017年に和歌山県で初めて猫の発症が確認され、それ以降、西日本を中心に発生しています。

2024年には、国内で約200匹の猫が感染したとの報告があり、近年は茨城県や千葉県など、関東圏にも感染が広がりつつあります。

SFTSウイルスはいったい、何が原因となり感染するのでしょうか?

その答えは「マダニ」です。

ウイルスを持ったマダニに噛まれることで、猫はSFTSに感染します。

マダニと聞くと、「うちの猫は屋内飼育だから安全」と感じる方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、完全屋内飼育の猫でも、家の外に逃げ出したり、屋内に侵入したマダニに噛まれたりすることで感染する恐れがあります。

なお、マダニが猫に付着したり、猫を噛んだりしても必ずウイルスが移るわけではなく、感染しても発症しない場合があります。

感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は、約6日~14日といわれています。

猫がSFTSに感染し発症した場合、主に以下のような症状が見られます。

  • 元気がなくなる
  • 食欲が減る
  • 下痢になる
  • 吐きやすくなる
  • 粘膜や皮膚が黄色くなる(黄疸)

このような症状が猫に見られたら、まずは動物病院に相談しましょう。

猫はSFTSに対する感受性が高く、発症した場合の死亡率は約60%といわれています。

重症例では急速に状態が悪化し、5日程度で亡くなります。

出典:国立感染症研究所「獣医療関係者の SFTS 発症動物対策について」

死亡率の高さに驚いた飼い主さんも多いと思いますが、残念ながら、猫のSFTSに対する有効な治療法はありません(2025年7月時点)。

人では「アビガン」という抗ウイルス薬が、SFTSの治療薬として承認されていますが、動物での有効性や安全性はまだ研究段階です。

そのため、治療は点滴や抗菌薬などの対症療法が中心となります。

対症療法とは、病気の原因を取り除くのではなく、病気によって起きている症状を和らげたり、なくしたりする治療法

出典:国立国語研究所

猫のSFTSは有効な治療法がないため、SFTSに感染しないよう予防することが重要です。

マダニに噛まれないよう外に猫を出さない、マダニ駆除薬を定期的に使用するなどの対策を行いましょう。

完全屋内飼育の猫でも、外に逃げ出した際に感染した事例があります。

マダニに噛まれないよう猫は屋内飼育に努め、マダニ駆除薬を定期的に投与することがオススメです。

出典:茨城県「県内における飼い猫の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染事例について」


ここまで、猫のSFTSについて解説してきましたが、飼い主さん自身も感染に注意が必要です。

SFTSは、猫から人へも感染するといわれています。

近年、SFTSを発症した動物から人に感染する事例が増えており、2025年6月には、三重県でSFTSに感染した猫を診療していた獣医師が死亡しました。

猫の血液や唾液、尿、便にウイルスが含まれており、それに触れたり、噛まれたりすることで人は感染します。

人の主な症状は発熱、腹痛、嘔吐、頭痛などで、人がSFTSに感染したときの死亡率は約27%です。

人の死亡率も非常に高いため、日頃からマダニに噛まれないよう長袖の服を着る、猫との過剰なふれあいを避けるなどの対策を意識する必要があります。

出典:NHK「マダニ媒介ウイルス感染ネコ治療の獣医師死亡 三重」


マダニ駆除薬による予防の重要性が分かったら、マダニ駆除薬を購入できる場所が気になりますよね。

マダニ駆除薬が購入できる場所は大きく2つあり、「動物病院」または「ドラッグストア」で購入できます。

また、動物用医薬品であるマダニ駆除薬には「一般医薬品」と「要指示医薬品」の2種類があり、それぞれ購入方法が異なります。

動物用医薬品とは、もっぱら動物に使用する医薬品のこと

出典:日本動物用医薬品協会

一般医薬品と要指示医薬品の違いを以下の表にまとめました。

【一般医薬品と要指示医薬品の違い】

一般医薬品要指示医薬品
獣医師の処方箋や指示書不要必要
購入できる場所動物病院、ドラッグストアなど動物病院、薬局、ドラッグストアなど(処方箋や指示書の提出が必要)
医薬品の例・ディアバスター錠(下痢止め)
・ビオイムバスター錠(整腸剤)
ブラベクトスポット(マダニ駆除薬)
・ビクタスSS錠(抗生物質)
・ラプロス(慢性腎臓病の薬)
・チロブロック錠(ホルモン剤)

一般医薬品は誰でも購入できますが、要指示医薬品の購入には「獣医師の処方箋や指示書」が必要です。

一部のマダニ駆除薬は一般医薬品であり、ドラッグストアで処方箋なしに購入できます。
※獣医師の指導のもとご使用ください

【一般医薬品であるマダニ駆除薬の例】


ここからは、猫のSFTSについてよくある質問をまとめました。

疑問点がある方は、ぜひ参考にしてください。

残念ながら、マダニ駆除薬を使っていれば絶対に感染しないわけではありません。

薬はマダニを殺す効果があるだけで、ウイルスの感染を防ぐわけではないからです。

薬を使用していても、SFTSを持っているマダニに噛まれたら感染する可能性があります。

猫のウイルス感染を予防する薬やワクチンは今のところ開発されていません。

マダニ駆除薬を使っていても、猫はなるべく外に出さないようにしましょう。

マダニは翅(はね)を持たないため、猫についているマダニが人に飛び移ってくることはありません。

基本は、猫に直接触れることでマダニは人に移ります。

しかし、最近の研究では、直接触れなくても静電気の力によってマダニが付着できることが判明しました。

近づくだけでマダニが移る可能性があるため、マダニがついた猫にはなるべく近づかず、動物病院に相談しましょう。


ここまで、猫のSFTSについて、感染経路や症状、治療法、予防法など幅広く解説しました。

この記事のまとめは、以下のとおりです。

  • SFTSはマダニに噛まれることで感染する
  • 猫の主な症状は「元気がなくなる」「食欲が減る」など
  • SFTSによる猫の死亡率は約60%
  • 猫のSFTSに対する有効な治療法はない
  • 感染を防ぐにはマダニ駆除薬を使い、猫を外に出さないこと

この記事の内容を参考に、猫のマダニ対策を始めてみてくださいね。

なお、マダニ駆除薬の購入を検討中の方は、ぜひ動物のお薬の専門店「ねこあざらし薬店」にご相談ください。

ねこあざらし薬店なら、決済から最短翌日に薬を受け取れます。

薬についてお困りの場合は、24時間いつでもLINEから薬剤師に相談受付可能です。

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